昨今大変お手間をおかけいたしました、ZenithStar80ED BINOですが 自宅屋上にて初飛行する事ができましたのでご報告させていただきます。
私は大阪市内のかなり明るい空の下に住んでおります。さらに当日は、 本が読めるくらい明るい月夜だったので月と土星くらいしか見るものがあ りませんでしたが、あまりにきれいなので見入ってしまいました。 特に月は、何かが生息しているのではないかと月面を探し回る感覚で、 あっという間に時間が経ってしまいました(当然何もいませんでしたが)。
私ですが、高倍率側では、LV2.5mm、アッベ・オルソ4mm、LV6mmの3種 のビクセンのアイピースを昨年注文時からこつこつ集めておりました。 これらを見比べた結果ですが、月と土星ではオルソ4mmが断然おもしろ かったです。写真のアイピースがそれですが、フタと見間違える小さいコレ が結構使えます。1つ3000円はお買い得でした。
しかし、このオルソの4mmを使って感じましたが、【新型目幅調整機構】 がなければ、操作に不慣れな私はこの針の穴のような覗き口のアイピース をうまく合わせられなかったと思います。この目幅調整ですが絶妙なタッチ が最高です。
それと便利であったのが、ほぼ完成した自作の【両耳ポルタ(仮称)】です。 ポルタの微動装置で、上下左右に月を嘗め回すように見る事ができ、逃げる 土星もダイアル操作で簡単に追尾できました。また、この両耳ポルタは、エレ ベータ付きの大型カメラ三脚(ベルボンMark7)に載せており、月と土星を同 じイスに座ったまま見る事ができ大変ラクチンです。 なお、私の両耳ポルタが活躍できるのは、完璧にBINOのバランスを調整 いただいた松本さんのおかげである点を補足させていただきます。
最後に、松本さんの確立された【正立】【双眼】【光軸調整】【アイピース交換】 【光路長確保】などなど多数のEMSの技術と、最近多少お安くなった【ED望遠鏡】、 そして今回の新ネタの【微動目幅調整】【微動両耳ポルタ】の要素が加わる事で、 このZenithStar80ED BINOですが、私の屋上展望スタイルに最適の機材になった のではないかと思います。
今度は暗い空にて星雲、星団の観測レポートができましたらご報告させていた だきます。その時は、両耳ポルタが完成できなかった場合を想定して購入いた しました、【T型経緯台】の使い勝手も合わせてご報告させていただくつもりです。
では失礼いたします。
大阪市 赤澤
Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;
実は、今日、赤澤さんより上記BINOのファーストライトの第一報をメールでいただきました。これは中間報告で、後日詳しいレポート をいただけるとのことでしたが、新鮮な情報に価値がありますので、無理を言ってまとめていただきました。
赤澤さんは、当初12cmF5(アクロマート)BINOをご希望でしたが、遠征よりも大阪市内で観察されることが主になることを 考慮され、月、惑星を主体にして、口径との trade-off の結果、より小口径のEDに変更されました。
今回は、ちょうどコンパクトなBINOの新型を考えていた時期と一致したため、製作段階で試行錯誤を繰り返しました。 最初は超軽量を目指したものの、市販鏡筒の重量の制約や”BINO”という構造上から来る不可避のモーメント増等があって、現実的な選択 を迫られる部分もありました。
しかし、最終的には、8~10cmクラスのBINOの汎用マウントの新型に大きく近付くという収穫を得ました。 現在設計が煮詰まりつつある汎用スライドマウントは従来の汎用型スライドマウントの新型となるもので、今回の赤澤さんのモデルとも 大きく異なりますが、このモデルが大きな方向転換のきっかけとなったことは間違いありません。
2月17日に豪雪の中を、完成したBINOの受け取りにお見えいただきましたが、その時点で赤澤さんが持ち込まれたポルタ改造両フォーク架台は まだ試作段階でした。 今日、仕上がった架台の写真を見せていただき、試作段階とは見違えるほど綺麗に仕上がっていて驚きました。
写真から、随所に工夫の跡が見えますが、ぜひ次回のリポートではその辺もご説明いただけましたら幸いです。
急なお願いにもかかわらず、急遽リポートをまとめてくださってありがとうございました。 追加のリポートも楽しみに お待ちしています。