「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」とケンコーのSE-120鏡筒で自作の双眼望遠鏡を作成しましたので紹介の写真を送付します。
SE-120鏡筒の仕様のF5(焦点距離600mm)のままで既設接眼部をEMSでケラレなく使用できるようにする方法が見つからなかったので、入手して持っていたドロチューブの短い接眼部に交換しました。それでも120mmが117mm程度に若干ケラレましたが、程度が軽いので良しとしています。
F5の短焦点のアクロマートでもあり、収差を好まない人もいると思いますが、それなりには見えて実用範囲と思います。なんしろSE-120L鏡筒使用に比べ鏡筒が短いので、扱いやすいです。HF2経緯台にのせる双眼望遠鏡ユニットとしては12.5kgの重量になりました。
EMSやバランスウエイトをとりはずさ無くても、私ひとりでHF2経緯台に載せたり降ろしたりできるレベルの重量です。取り外せば時間はかかりますが更に容易となります。
天体の導入支援補助としてはタブレットなどの星座アプリで目標天体のその時の方位と高度情報を入手して方位環とデジタル傾斜計を用いて導入します。1度以内程度の誤差範囲で導入できてそうな感じで便利です。もちろん等倍目視LEDドットファインダーで直接導入できる人はそのほうが速いです。この程度の双眼望遠鏡では倍率のある光学ファインダーは口径50mmのものでは重量が500g程度あり、バランス調整の面倒さもあり必要ないと思います。
以下、詳細について追加説明します。
(1) SE-120鏡筒のバックフォーカスは127mmで既設接眼部のドロチューブ長さが158mmで先端開口が52mm径で「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」の光路長を確保しようとして鏡筒をカットすると大きく対物レンズ口径がケラレることになる。入手していた接眼部はドロチューブ長さが97mmで先端開口が51mm径でケラレが若干でおさまるものであり、これに交換して使用することにした。
(2) ケラレを少なくするために鏡筒間隔D=154mmとした。最大眼幅は制限されるが、私の眼幅の66mmは範囲内にあり70mm程度までは対応できるみたい。
アイピースのスリーブの段差の位置にアイピースの焦点位置のあるアイピースを用いる通常の無限遠合焦はドロチューブを25mm程度引出した位置であり、この位置で120mmが117mm
程度に若干ケラレるものになった。測定方法が正しいかは判らないが、接眼部のアイピース焦点位置にレンズを外した安価な1灯LED懐中電灯のLED部分をセットして点光源とし扱い対物レンズ側に紙を置き投影して透けた光円で計ってみた。
尚、鏡筒のカットは行っていません。
(3) 鏡筒が短いので鏡筒バンドとHF2経緯台のアームとの衝突を避けるために、鏡筒バンド固定つまみを内側とし、左右鏡筒バンドつまみが重ならないように位置を前後にずらした。
(4) バランスウエイトは31.7mmアイピース使用時は手前側とし、2インチアイピース使用時は対物側に移動で前後バランスはとれる。
(5) 交換した接眼部の取り付け誤差もあり、EMSの上下方向の調節範囲に入らなかったので片側に0.5mm厚のワッシャーを入れて、調節範囲内としました。
(6) 接眼部を交換したのでその分コストアップになってしまいました。大きさによる扱いやすさや、低倍率になりずらさをいとわなければ、先に紹介したSE-120Lのほうが見えが良いと感じますがSE-120では扱いやすさは格段に良くなり、ちょい見には使用頻度は多くなります。重量や大きさは物理寸法からはそれほど差が大きくはありませんが、私にとってはこのあたりに一つの壁があるように感じます。
蛇足ですが、光学性能に満足できない人はEDレンズなど使用の高価格品を使用するしかないと思います。特に高倍率になっても鮮明な像となることを望む人はEDレンズなど使用品を使用がストレスが少なくて良いと思います。
Comment by Matsumoto / 管理者のコメント;
東京のYNさんより、また自作双眼望遠鏡(EMS-ULセット使用)のリポートをいただきました。
20年前くらいと比べると、自作マニアの方の数が減って来た印象がございます。 その中でも、こうして果敢に自作に挑戦さえているご様子を拝見し、頼もしく思いました。
今回も鏡筒のバックフォーカスの確保に腐心されたようですが、市販鏡筒の実情、30年前と少しも変わっていませんね。
方位メモリを水平回転軸に設けられ、デジタル傾斜計を鏡筒にセットしておっれる写真に注目しました。SkySafari等の天文アプリと連携すれば、強力な導入支援が實現しますね。
YNさん、今回も素晴らしいユーザーリポートをありがとうございました。