PH130-BINO

 PH130-BINOを製作していただき、ありがとうございました。 完成から2ヶ月経ちGWに、やっとファーストライトとなりました。 この2ヶ月の間、出張の為ほとんど自宅にいない状態と、 いても(雨男ではないけど)晴れない男ぶりに感心してしまう状況でした。

 EMS-BINOを初めて知ったのは、今から3~4年程前でした。そのときに、” これが自分にとっての理想の望遠鏡” と思い、ネット上の関連した所を巡り、FL102をBINOにと思い貯金を開始し ましたが、FL102の販売中止・・・。 時が経つにつれ、いろんな事を考え始め100mmアポがいいか150mmアクロが いいか。それとも100mmをEDにして 150mmアクロと1つの架台で2種の鏡筒を使えるようにしてもらおうか。など妄 想していた頃にPH130の販売を知り、 FL102の事があったので、買わずに後悔するよりはという思いから購入し製作の お願いとなりました。

 届いたPH130-BINOの大きさは予想してはいましたが実際に見て持ってみる と大きいです。 2階の部屋から1階への持ち運びにちょっと苦労してます。 そして、最大の問題は車に入らないことです。無理な体勢なら入れることも出来るの ですがカーブ・ブレーキ等に対して 影響が有りそうで今の車ではダメです。車が変わるまでは移動しての観望はおあずけ となってしまいました・・・残念。

 ということでファーストライトは自宅前となり。1年半前までの自宅前は畑で空の条 件は良くはない けど人の目も気にせずにゆっくり観望できたのですが。今はアパートという条件悪の 場所となり、 アパートや駐車場の明かりとヘッドライトやテールランプによって浮かび上がるBI NOの雄姿が 艶やかに写し出され、アパートの住人がチラッと見ている視線を感じながら、まずは 30倍弱で見ると・・・空が白いです。

 仕方がないので惑星の観望に変更です。まずは土星に向けてみますとさすがに100 倍程度でもいい感じに見えますが、 高度が低くなってきており、覗きと間違えられるのもイヤなので木星に移動します。 200倍程度でみた木星は、イイです。 スゴイです。今まで小口径でしか見たことがなかったせいか、模様がこんなにもウネ ウネしていて衛星が木星表面に突入して いくし大赤斑が裏に隠れていくのを感動し見続けて、気がつくと木星だけで2時間以 上も経っていました(恐ろしいや)。 ちなみに気がついた原因はアパートの2階部屋の蛍光灯が点灯し光が差し込んできた せいで、カーテンが閉まる気配が無いので、 心の中で”何でカーテンを閉めないんだ~”と叫び撤退となりました。

 実際に使ってみて思ったことは、HF経緯台のリバウンドがちょっと大きい点(20 0倍程度までなら何とかなるんだけど) それと、左右の鏡筒に若干差を感じたのですが同時に見ると気にならない点です。 とにかく、EMS-BINOは自分にとって理想の望遠鏡になりそうです(車どうし ようかな・・・)。

横山

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 PH130は、凸玉にPHOTARONを使用した3枚玉だそうです。製造が中止されたのは、恐らく素材が入手できなく なったためかと思います。

  PHOTARONは、住田光学ガラスが製造したCaFK95と思われ、そうだとすると、凸玉は私の愛機の15cmホタロンと同じということに なります。CaFK95は、一般のEDガラスよりもフローライト(CaF2)に近い光学特性を持ち、従って光学性能もよりフローライトに近い ものが期待できます。

 私の愛機は2枚玉のF8ですが、横山さんのPH130は、F値は小さいものの、3枚玉ですので、少なくとも設計上は私の対物よりもさらに上の 性能が期待できるはずです。

  1991年、15cmPHOTARON-BINOを計画中に、私はポケコン(当時流行った電卓サイズのPC)のBASICで独学で光線追跡ソフトを作り、ビルトインの ミニロール紙プリンターで数値を打ち出し、それを手描きでグラフに表すという気の遠くなるような作業を経て 性能評価をしてみたことがありました。(当時のポケコンでは、1行の数値を打ち出すのに数秒かかりました。)

  相手ガラスで最高の結果を示したのはKzF5でしたが、その後にレンズメーカーに相談したところ、その硝材はすでに入手不可能であ ることと、たまたま、研磨、コーティング済みのKF3+CaFK95の15cmF8が2セット在庫ありとのことでしたので、 KzF5をKF3で妥協した組み合わせで計算してみました。
 すると、残存収差は理想値とは少し外れるものの、実用上問題ないレベルであることを確認し、 採用を決断したのでした。

  望遠鏡の性能が極限に迫るにつれて、架台も課題になって来ます。 フリーストップのフォーク式経緯台は、元来deep-skyを 低倍で流す前提での設計のようですが、私は、より高精度で大型の望遠鏡に対応できる汎用型のフォーク式経緯台を光学メーカーが 一日も早く発売してくれることを願って来ました。
 1991年に私が15cmPHOTARON-BINOを製作した時も、当時は信頼できる大型の自動追尾式 の架台として、ドイツ式赤道儀しか選択肢がなく、大がかりな回転装置を準備しなければなりませんでした。しかし、これから据え付けの 大型BINOを作る方には、2軸制御の経緯台をお勧めしています。

  光学メーカーは、十年一日のごとくドイツ式赤道儀の呪縛から逃れられないようですが、その目を覚ますには、消費者の方が 光学メーカーに対して、より強いメッセージを送ることが必要だと思います。 たとえば、望遠鏡のバックフォーカスやドローチューブ内径等に関しては、「ピントの出ない望遠鏡は買わない!」 くらいの強いご姿勢が求められると思います。