何とか、”乱視”というものを可視化してみました。
直乱視では、水平成分と垂直成分が異なる位置に焦点を結びます。
正確には、焦点ではなく、線状に拡散した”焦線”となります。平面図(Top View)と側面図(Side View)と斜視図をじっくりと見比べていただくと、空間的にご認識いただけると思います。
天文マニアなら、近視(遠視)であってもフォーカサーの操作でピントが合うことはよくご存じだと思いますが、実は、乱視もあると、いくらフォーカサーを調整しても望遠鏡のポテンシャルを100%享受することは出来ません。
しかし、「自分には乱視があるけど、望遠鏡だとちゃんと見えるよ!」と言われると思います。
それは、射出瞳に関係があります。射出瞳径=2mm以下で見ることが多い方は、たとえば、通常の眼の瞳孔径が5mmとすると、絞り効果を2.5倍ほど利用していることになり、いわば、インチキなんです。
ご当人にとっては、残念な指摘かと思いますが、試しに最大瞳径(最低倍率)で望遠鏡を見てください。乱視の影響が顕著に出て来ますから。
乱視の方は、自律的に最小錯乱円(図をご参照ください)で見ているわけですが、望遠鏡のピント補正では補えないわけで、“点”にはならず、常に錯乱円を見ていることなります。 倍率を高めにして見る傾向の方には、そうした乱視未矯正の方が多いと推察します。
(斜視図では見にくいですが、両焦線の間に、光束が一番収束する、最小錯乱円が存在します。)
とかく天文マニアは、機材の欠点については、重箱の隅をつつくことに長けていますが、自身の眼の欠陥については無頓着なことが多いようです。