準備運動1,2が終わったところで、近軸結像公式を導いてみましょう。
まず、屈折の法則である、Nsinθ=N’sinθ’が、近軸領域では、Nθ=N’θ’となることを前回までにご説明しました。ここでは、よりシンプルにするために、N=1, N’ =N とします。
X座標の負領域(屈折面まで)を空気中(屈折率=1)とし、正領域の屈折率を1とします。
7.従って、θ=Nθ’ となります。
近軸を前提としているので、屈折面(半径r)はY軸と密着しているはずですが、作図の都合上、見やすいように描いています。
8. 上図から、θ=αーβ、θ’=αーγ となります。
9. 近軸前提なので、α=h/r1、β=h/S、γ=h/S’ となります。
(Sが物点(虚物点)で、S’がその像点とします。)
10. これらを(8)の式に代入すると、θ=h(1/r1ー1/S)、θ’=h(1/r1ー1/S’) となります。
11. これらを(7)の式に代入すると、h(1/r1ー1/S)=Nh(1/r1ー1/S’) → (1/r1ー1/S)=N(1/r1ー1/S’)
となります。
12. さらに整理して、N/S’=1/S+(N-1)/r1 となります。
13. 次に、屈折率1とNの領域を反転させたモデルで計算してみます。
つまり、薄レンズの第2面による屈折の考察です。S’が第2面での屈折の新たな物点になり、その像点S”を求める式を立ててみます。
(12)の式のエレメントを入れ替えて、1/S”=N/S’+(1-N)/r2 と表せます。
14. これと(12)の式から S’ を消去すると、1/S”=1/S + (N-1)(1/r1ー1/r2)、もしくは、
1/S”ー1/S =(N-1)(1/r1ー1/r2) と表せます。(近軸結像公式)
15. ここで、物点距離S→∞ とした時のS”が薄レンズの焦点距離 f なので、
1/f =(N-1)(1/r1ー1/r2) となり、これが薄レンズのパワー(度数)になります。
● r が入射光線に対して凹面の場合は、r < 0 となります。X-Y 座標に忠実に正負を設定する限り、どんなケースでも式は破綻しません。
ここまでご理解いただいてから、講座1に戻っていただきますと、より理解が深まるかと思います。
理解できないところがありましたら、その番号をお知らせいただけば、さらにご説明します。