光線の傾角の定義や、物点/像点 の位置の正負の約束を講座の最初にしっかりとご説明すべきでした。
後先になりましたが、改めてご説明します。まず、図から、角度の正負の方向の定義をご確認ください。
上図は、必ずしも物点Sと像点Sをお示ししたのではなく(そう解釈されても問題ありませんが)、光線が(進行方向に対して)上向き傾斜のベクトルAと、下向きのベクトルBに分けてご説明するものです。
S,S’が物点と像点だとすると、1/s’ – 1/s = 1/f から、3つのパラメーターの一つが分からなくても、その値が求められることはご承知の通りです。
今回の一連の講座は、一般的な結像公式を使わずに、光軸に垂直な基準面(線)上の(光軸からの)高さhの点を通る光線を、傾斜角αとhとの2元のベクトルで表し、屈折面と面間隔の通過による変化を追跡する方法をご紹介したものでした。
ただ、二次元平面上のベクトルと言うと、どうしてもXY座標中の位置ベクトルを想起されると思いますが、それとは異なります。この辺が混乱を招くのでは?と心配しております。
図中の2元ベクトル、A,Bの成分の下の方は、点PのY座標なので、問題ないと思いますが、上の成分はX座標ではないことにご注意ください。
上の成分は、図中で定義した傾角=α であり、それ自体に方向の情報を持っていますが、tanαというスカラーとしてご理解いただければ良いと思います。
なぜ、光線の傾角の正方向を、数学の慣例の半時計回りとしなかったか?ですが、x座標の正領域と、実像点の位置の正領域が合致するためには、図の方向を正とすることが必須でした。図のように定義すると、像点の位置の正負とxy座標とが矛盾なく合致します。