TMB: APM APO 130/F6-BINO

経緯

 1992年にMeade LX-200 20cmF10を購入しましたが、家の前の空きスペースで観望するためには、階段を10段少々 降りなければならず、また、住宅環境や転勤、多忙生活のため、自然と望遠鏡の稼働率は低くなってしまいました。 Al Nagler の名言 「望遠鏡は、使わない時間が長い。」

 時は流れ、2005年に家の建て替え計画が持ち上がりました。当然、“屋上にドーム”も頭をよぎりましたが、 2~3種類の望遠鏡を使い分けたかった事、予算が無かった事で見送りました。ただし、将来、簡易型ドームなどを 設置できるように、しっかり屋上にスペースは確保しておきました。紆余曲折あり、2007年2月に完成。膨大な音楽 関係の資料等の片付けに1年近くかかりましたが、一段落してくると、屋上が気になってきました。幸い、ペントハ ウスを望遠鏡収納スペースとして占領する事に成功し、以前の観望の煩雑さの反動から、Kowa High Lander Prominar を購入しました。屋上に出して2分後には観望できる簡便さ、10cm程度の優秀な屈折望遠鏡を無用としてしまう程 の恐ろしく優秀な光学系、アイピースを交換して21×(実視界3°)~96×(実視界0.8°:Meade UW 4.7mmを使用) まで対応できる応用力、アイピースまで純正トランクに収納できて総重量が11kgですから、非の打ち所がありません。
 その後、第1回双望会に参加する事ができ、天候には恵まれませんでしたが、圧感!の望遠鏡群を見る事ができま した。

 EMSを使用した2インチ・アイピースの双眼の世界は流石でした。双眼鏡もそうですが、一度広い見掛け視界に 慣れてしまうと(しかも、あっという間)、狭い視界は、随分と窮屈に感じてしまいます。また、ちょうどその 頃、仕事で大変お世話になった同世代の方が亡くなり、EMS双眼をやらずして死ねるか、という強い思いと、松本 さんと親交を持つに至り、ついにEMS双眼望遠鏡を発注する事となりました。

双眼の魅(威)力

 今は無き、Atom横浜店のA氏から同社の双眼装置を紹介され、Meade LX-200 20cmF10にPentax XL 21mmで使用し ていました。私の双眼装置は今も健在で、球状星団や惑星など、見事に見せてくれます。 我が家から700m離れた所に高圧線の鉄塔があり、屋上では、ちょうど手を伸ばした親指の先位の大きさに見えます。 私は、いつもこれで光学系のチェックをしています。この鉄塔のガイシを大きく視野に導く事も可能ですが、 近傍のパラボラ・アンテナの文字がはっきり見えるのは、Nagler 5mmでもTMB Super Monocentric 5mmでもなく、 双眼装置+ Pentax XL 21mmです。しかも見やすさは圧倒的です。これが双眼の魅力・威力でしょう。

鏡筒選びは楽しくもあり、悩ましくもあり

鏡筒を選ぶのは実に楽しいですが、明確なコンセプトがあったので、選択肢はあまり多くありませんでした。1. 優秀な屈折。
2. 低倍率指向(嗜好)。EWV 32mmで実視界3°確保。
3. EMS双眼望遠鏡を丸ごと移動可能(総重量20 kg、できれば18 kg以下)。
4. 生涯を共にするEMS双眼望遠鏡(only oneを目指す)。

 優秀な屈折というと、真っ先にTOA-130が候補に挙がります。今まで覗いた中で最高の1本でしたが、鏡筒重量が10.5 kgなので、これでは重くて移動できません。いくら高性能でも、観望する度に組み立てるのは、私の場合、結果的 に疎遠になってしまうのは体験済みなので、ここは諦めざるを得ません。また、TOA双眼はいくつか報告もあり、 追従では面白みに欠けます。
 ASTRO-PHYSICSは全ての点で条件を満たしていますが、納期に何年かかるか見当もつ きません。TECは140mmですが、F7で重さが8.6 kgという事で却下。BORG 125SDは重さがわずか3.5 kg、しかも焦点 距離は750mmですから、EMS双眼にうってつけです。実際に覗いてみると、ヌケが良いクリアーな像ですが、色収差 の点で、TOAに一歩譲ります。
 そこで登場したのが、TMB:APM APO 130/780 LW でした。780mmという焦点距離も、 7.4 kgという重量も申し分ありません。有り余るバックフォーカスも魅力です。解像度もTOA並み、という事でし たが、いかんせん予算がかなりオーヴァーしてしまいます。同シリーズには、3.5”フォーカサーのCNC-LW IIと いう、実に美しく眩しい鏡筒がありますが、重量は8.3 kgで、価格もさらに高くなってしまいます。松本さんに、 「2.5”のフォーカサーと3.5”のフォーカサーがあるのですが、どちらが良いでしょう?」と聞いたら、 「断然3.5”のフォーカサーの方が良い」との事。随分悩みましたが、ああ、もうこうなったらやるしかない!  円高も手伝って、一目惚れしたCNC-LW IIを注文する事となりました。焦点距離を1%以内で揃える、というリクエ ストも快諾していただきました。

鏡筒が到着。しかし…

 鏡筒を注文したのが2008年11月初旬で、1月末に出来上がるとの事。3ヶ月ありますから、その間に、まず架台の 準備をしました。ピラー脚にキャスターを付け、ペントハウスからゴロゴロと移動する事に決めていたので、ピラー 脚はVixen(85cm)を採用。足のネジは12mmφなので、東海キャスター F100N12Sがぴったり入ります。デザイン上、 グレイ色と100mm径を選択しました。

 我が家に鏡筒が届いたのは2月中旬ですから、ほぼ予定通りで、焦点距離も1%以内に収まっていました。何と 美しく魅力的な望遠鏡でしょう。フードを短縮すると、信じられない位短くなり、2本並べると、潜水ボンベが2本 並んでいるようです。名付けて “ツイン・タンク”。3.5”のフォーカサーも頼もしく、この鏡筒にして本当に 良かった!と思いました。
 ところが、メーカーが鏡筒出荷の段階で鏡筒バンドが品切れである事に気づき、これか ら製作するので1ヶ月待ってくれ、という連絡が入ってきました。その上、レンズには恐ろしい程のホコリが入って おり、へなへなと腰が抜けてしまいました。レンズ・セルを外してみると、幸いホコリはレンズ後面のものだった ので、きれいにクリーニング。さっそく覗いてみると、色収差の無い素晴らしい解像度の鏡筒でした。不思議なの は、TOAは、あっさりしたクリアな像ですが、TMB/APMは、PLフィルターを通して見たような濃い色で、ずいぶん 見え方が違っていた事でした。しかし、この“濃い色”が、きっと+の方向に働いてくれるに違いありません。 EMS双眼望遠鏡の大成功を予感し、鏡筒は松本さんの所へ旅立って行ったのでした。

EMS双眼望遠鏡の製作

 鏡筒バンドが届く間、フレーム以外の部分の製作開始です。製作は、松本さんに全て一任しました。たまたま注 文が少ない時だったので、あっという間に心臓部のEMS-LSが完成。ドロー・チューブの末端の所に接続するEMS専用 のアダプターを製作していただきましたが、この美しい鏡筒のデザインにマッチする、素晴らしい仕上げのアダプ ターでした。フレームは、鏡筒バンドを利用したシンプルなものとし、耳軸の連結部等はアルマイト加工を希望し ました。もっとも、私があれこれリクエストしなくても松本さんは全て把握していて、今回ほど以心伝心という 言葉を感じた事はありません。

 結局、鏡筒バンドは、到着まで1ヵ月半かかりました。もう3月中旬を過ぎています。この間、ジリジリとした 思いで待ちましたが、不安と夢は膨らむばかりでした。別な鏡筒バンドが届いたらどうしよう… 早くしないと トラペジウムが沈んでしまう! 春のメシエ・マラソンには間に合うのか?

 鏡筒バンドを松本さんの所へ送ってから完成までは、まさに電光石火。2日後にはフレームが出来上がり、 1週間後には完成してしまいました。何とシンプルで機能美あふれるフレームなのでしょう! HF経緯台の延長も 見事な仕上がりです。長年の松本さんの経験とエッセンスが凝縮されているのを感じ、すっかり感動してしまいま した。 

鳥取訪問

 遂に4月初旬の週末、“恋人”を引き取りに、鳥取へ行く事になりました。強風のため、飛行機が着陸できず、 空中旋回しています。フライト・アテンダントに聞いたら、「冬などは、よく名古屋か大阪に着陸する」との事。 夜に名古屋で下ろされたら、どうやって鳥取まで行けばよいのでしょう。フライト・アテンダントの答え 「私共 は、その後については分かりかねます」。また先週は、風の影響で成田で飛行機が落ちています。「半年も待って、 覗かずに死んでたまるか!!」 幸い30分程旋回したところで天候が回復し、無事鳥取へ着いたのでした。

 ワクワク・ドキドキ。半年の思いが脳裏を駆け巡ります。ああ、ついにこの瞬間が… 何と美しい佇まいなので しょう。さっそくBINOを覗いてみると、闇夜の水銀灯が高解像度で迫ってきます。色収差は全くわかりません。
 少し頭を冷やした所で、“鏡筒をねじる光軸調整”等を教わりました。夜も更けてきたところで空を見上げたら、天 候が回復し、月が見えてきました。少しモヤがかかっていますがBINOを外へ出し、観望する事になりました。EWV 32mmに続いてEthosへ。おおっ、何というシャープな像でしょう! Nagler 6 5mmでは、宇宙船の窓から顔を出し て、すぐ近くの月面を見ているようです。エラストテネスなどは、今、隕石が衝突してできたばかりのように見 えています。月齢8.9ですが表情豊かです。見慣れているクレーターなのに、BINOから目を離す事ができません。 さらにNagler Zoomでぐんぐん倍率を上げてみましたが、2mm 390倍でも像は崩れませんでした。感無量…

架台と合体

 BINOが横浜に無事届き、さっそく架台と合体です。耳軸高は137cmなので天頂付近を見るのには良いのですが、 BINOを持ち上げるのは大変です。翌日、近所の鉄工所でポールを12cmカットしてもらいました。これですと、 BINOを持ち上げて設置する時、両方の耳軸受けを見ながら載せられるので、安全です。

横浜でファースト・ライト

 さっそく我が家の屋上で観望開始です。鳥取で見た月面はどうでしょう。モヤが無い分、コントラストがくっきり しています。少しグリーンが入った月面の色がきれいで、月の砂の感触が伝わってくるような感じは初体験で した。これは、やはり“色が濃く見える”特色が+に働いているためだろうと思います。最初のねらい通り、 温度順応も迅速です。
 続いて、すぐ近傍の土星へ。表面の帯のみならず、輪の影など、恐ろしくシャープです。 シーイングの影響で、クックッと像が変化していきますが、時々見せる素晴らしい像には言葉もありません。
 「ご飯よ~」に応答が無いので、次女が様子を見に来ました。Nagler Zoom 2.5mmで土星を見せたら、「この前 の土星とぜんぜん違う~!」と目が離れません。この前の土星とは、ORIONドブ300mmF4.5(高精度+増反射マル チコート)+Baader V+2”GPC+Ethos 8mm だったのですが(都会では大口径が生かせず、オフ・アキシス・シャ ドウ・マスクを使用しても小口径/High Landerに負けてしまう事も度々です)。

 宇宙を100億分の1に縮小すると、いろいろな事が見えてきます。100億分の1の宇宙では、太陽は14cm、地球は 15m離れた所の1.3mmの粒です。シャトルは地球の表面0.03mmを飛んでいます。ちなみに、光速は毎秒3cm。我々は、 1.3mmの地球から、128m程離れた所の1.2cmの大きさの土星を見ています。望遠鏡って、凄いと思いませんか?

使い勝手

 操作ハンドルで空をスイープしていると機銃掃射みたいで、私などはラット・パトロール(1960年代の戦争アク ションTV)を思い出してしまいます。ファインダーは無くても導入には不自由しない程、全てが自然に動いてく れます。正面に見えている対象物を正像のままどんどん拡大して両目で見れる、という事が、どれ程人の生理に 適っているか、改めて実感します。

 ハンドルの下にはバランサーが付いていて、このハンドルをトロンボーンのようにスライドさせる事で、様々な 重さのアイピースに対応できるようになっています。しかも、このカウンター・ウエイトは、アイピースと対側 の低い位置にあるので、重量級アイピースでBINOが高仰角になった時の安定作用もあります。何という絶妙なアイ ディアなのでしょう。鏡筒が短いので、ハンドルを固定したままでもバランスは大きく崩れる事はありません。
 よく話題に上る“光軸調整”ですが、フォーカシングの時間よりも短いですし、幸いEWV32mm~Ethos 17-8mm間で は、わずかの補正で済んでいます。私の場合は、悩む間も無く、すぐに馴染んでしまいました。

 EMS調整ノブに付いた原点復帰 “←” マークの効果は絶大です。まず、この←2つ(水平用・垂直用)を手前に一 直線になるように向け、この時点で大きく光軸がずれていたら、鏡筒をねじって光軸を補正すれば良いのです。 ですから、安心して鏡筒を脱着できますし、移動の際、光軸がずれたとしても、冷静にすぐに復帰する事がで きます。EMS調整ノブを回しすぎて、迷路に迷う事もありません。この“鏡筒をねじる光軸補正”ですが、 実際に教わらないと理解は難しいかもしれません。鳥取までは遠いのですが、訪問の価値は計り知れませんで した。

 優れた製品・工芸品を使う、という事は、設計者・製作者の意匠を感じ対話をする、という事でもあります。 時に生き甲斐すら与えてくれる事もあります。生涯を供に過ごせるBINOを持つことができて、私は本当に幸せです。
  導入

 いつも、SkyScoutを使用しています。実視界3°あれば、ほとんど視野に導入してくれるので、大変重宝してい ます。基準星で設定する必要が無く、いきなり導入してくれるので、条件の悪い都会の空にもピッタリです。 しかし、経緯台でブンブン振り回して気ままに観望し、その上、導入や天体の確認ができるSky Tourは大変便利 でしたので、今回は奮発してスーパー・ナビゲーターを取り付けました。

 High Landerには、VixenのXYスポット・ファインダーを取り付けています。これをそのままBINOに取り付る事が 可能ですが、今回は、国際光器の正立ファインダーを取り付ける予定です(納入待ち)。“正立像”で統一です。 前述した通り、実際にはファインダーが無くても導入に不自由しない程、使い勝手は良いです。

都会の空も捨てたものではない

 都会の空は明るいです。私の住んでいる保土ヶ谷は、横浜駅から1駅なので、かなり明るいです。こんな所で星 なんか見えるの?と思う方も多いと思います。しかし、夜も10時を過ぎると、天頂付近は、条件が良ければス カッと見えます。夏はM57なども良く見えます。また、イザとなれば、1時間半少々で富士山・新五合目まで行 けますので、便利な都会かもしれません。ただ、最近は静かに観望を楽しんでいる脇で、我が物顔で発電機を ブリブリ回して撮影をする人が増えてきて、大変迷惑しています。もしお知り合いにこのような行為で写真を 撮って喜んでいる人がいたら、厳しくモラルを問いただし、即刻やめさせていただきたいと思います。 

腰痛対策

 BINOの総重量は、3.5”フォーカサーを採用した事で、22kgになってしまいました。鏡筒は8.3kgですが、 鏡筒バンドが1個1kgありますから、これだけで20.6kgになってしまいます。ですから、総重量が22kgで抑え られた、というのは驚異的です。

 とはいうものの、腰痛に悩まされないようにするには、BINOを持ち上げて移動する時間をできるだけ短くし なければなりません。幸い、ペントハウスから出して架台に載せた後は、キャスターでガラガラ移動すれば良 いだけですが、BINOの保管も考え、カンガルー・リフター:KGL-25を導入しました。
 普段は、地震が来ても大 丈夫なようにテーブルを低めにしておき、BINO設置の時は数回ペダルを踏めば、BINOの取手が1m位まで高く なります。床から持ち上げる時に一番腰に負担がかかりますから、これで腰痛対策は万全です。
 リフターは各社から様々な機種が出ていますが、カンガルー・リフターが、最も少ないペダル回数でテーブル をトップまで上昇できる機種でした。 

最後に

 写真歴は36年でカメラも大好きですが、徹底した眼視派で、天体写真を撮ることはありません。また、夜の仕事 をしている訳ではありませんが、1年の1/3は帰宅が遅く、星を見るチャンスは多くはありません。一つ一つの 機会を大切にしたいと願って、このBINOを注文しました。まだ満月なので、これからディープ・スカイへ旅立 つのを心底楽しみにしています。

 小学生の時は、ボール紙で作った屈折望遠鏡、某社の廉価版屈折望遠鏡で、すっかり屈折(挫折)してしまい ました。高校の頃は、木辺成麿さんの「反射望遠鏡の作り方」を幾度も幾度も読みましたが、資金が足りず計画 のみで終わってしまいました。友人は、20cmを作る、と意気込んでいましたが、そんな大きな物を作ってどうす るの?と真剣にアドヴァイスしたのを覚えています。35年前は20cmの反射は相当重く、据付方法を本気で考え なければならなかったのです。今のシュミカセやドブソニアン、見かけ視界100°のアイピースを考えると、 まさに隔世の感があります。

 EMSとの出会いは割と古く、1994年に松本さんにいろいろ問い合わせて沢山FAXを送っていただいた事があ ります。この時は、自作に自信が無く見送りましたが、それから15年。やっと実現に至りました。EMS双眼は、 鏡筒2本分の価格+αがかかりますが、効果は√2倍ではなく、2乗以上ではないか、と思います。鏡筒のクオリ ティが上がると、これまた2乗で効いてくるように感じます。

 今回のEMS双眼望遠鏡を通じて多くの事を学び、そして、心温まる交流が何よりも財産として残りました。 また、このBINOの製作にあたり、多くの方々から貴重なアドヴァイスをいただきました。国際光器の小山さん にも大変お世話になりました。この場を借りて、厚くお礼を申し上げます。そして何よりも松本さん、心より 感謝申し上げます。どうもありがとうございました!

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 YKさんは、4月4日から5日にかけて当方を訪問され、7日に後送したBINOを受け取られ、 12日の今日、神速のリポートをくださいました。 1994年にもFAXを交換させていただいているようですが、私が初めてYKさんとお会いしたのは、去年の双望会 でした。双望会からの帰路を豊橋駅までYKさんの車に便乗させていただいた時、少年時代より心酔して来られた 世界的に有名な某音楽家との劇的な出会いと、その方との現在に至るまでの濃密な交流の感動的な経緯を伺い、大いに 共感、感動し、「この方のBINOを、今までのノウハウを総動員して作ってみたい。」と、強く思ったのでした。 YKさんも”以心伝心”と書いてくださいましたが、お仕事はもとより、第二のライフワークであるはずの 音楽関係の活動を含めて、とりわけ多忙でいらっしゃるにもかかわらず、BINO作りの過程で送信させて いただいたメールのご返信は極めて迅速で、かつ当方の設計意図もよく理解してくださるので、非常に仕事がしやすかった印象があります。  また、ご訪問に先立って、ご指定の梱包材料を手配して当方に送ってくださり、こちらでのご滞在2日目に は BINOの梱包を手伝ってくださるという徹底ぶりでした。 私の製作技術はまだ発展途上と考えていますが、YKさんは製作者の意図を良く理解してくださり、まさしく 製作者をやる気にさせる依頼者でした。私は、自分自身を、褒められてばかりいないと仕事が出来ない人間だとは 思っていませんし、改善すべき点を指摘されれば、可能な限り対処する姿勢は持っているつもりですが、 YKさんの例のように、心の琴線に響く関係が構築されていますと、依頼者の方との相乗効果のようなものが 出来上がるBINOにも反映されるということを、この度、改めて痛感しました。 この度、YKさんの非凡な感性に響くBINOが製作できましたことが大変幸せで、誇りに思います。  また、YKさんの方で全て整えられたポール+キャスターがBINO本体と見事にコーディネートされ、その 美しさを高めていることにも、感心しました。 今回のリポートについて、YKさんは「長い文章になった・・・」と言われましたが、今までに交換させていただいた 情報の量からしますと、私は、非常に簡潔で短い文章だと思いました。 YKさん、数ヶ月後にぜひまた続報をお願いしたいと 思っています。
 また、このリポートによって、私自身もYKさん以上に感動をいただいたと思っています。