SKY90-BINO

 昨年夏、佐治アストロパークの星祭に参加して、初めてEMS-BINOを覗いて以来、その虜になってしまいました。 松本様・山内様をはじめ多くの方から貴重なご意見を頂き、自分に最適のEMS-BINOを持ちたいと思うようになりました。

 私のEMS-BINOのコンセプトは、「優れた光学系を備え、コンパクト且つ軽量であること」です。海外へも手軽に持ち出せることを念頭におきました。 フローライトあるいはEDレンズを備え、軽さと短さを実現できる鏡筒は限られていますが、スペックだけでは絞りきれませんでした。

最終的には、昨年秋に開催された双眼鏡・望遠鏡サミットに参加して種々の鏡筒を覗かせてもらい、また、 オーナーの方々から助言を頂いて、高橋SKY90に決めました。

 三脚を含めた全重量は15.8Kgです。コンパクトなのに全体を持ち上げるとかなりの重量を感じます。 しかし、組み立てた状態でも短い距離であれば無理なく移動することができます。 重量の内訳は、鏡筒(SKY90 2本:EMS含む)6.0kg、目幅調整機構付台座4.0kg、架台(ビクセン経緯台)3.2kg、三脚(ビクセン90cm)2.6kgです。アイピースはテレビュー4-22mmと4.8mmを使っています。  このEMS-BINOはまだ海を渡っていませんが、鏡筒を機内持ち込み荷物とするために、2本の鏡筒を収納するのに最適な袋物がないかこれから探すところです。 このEMS-BINOを持ってイータカリーナ星雲などの南天の星々を見に行くのが夢です。

EMS-BINOから見た昼間の景色

とにかく明るくかつ美しい。

 まるで船底の丸窓から水中の景色を眺めるがごとく、向かいの山の木々の小枝が風にそよぐ様子をありありと 立体的に眺めることができる。 その奥行き感は言葉で表現できないすばらしさ。 媒体としての空気の存在を感じさせる。 正にリアルな立体絵とでも云おうか。

 星空

 自宅は名古屋から30キロ圏にあり、夜空の状態はよくありませんが、自宅の庭から土星、木星、 オリオン大星雲などを見てみました。 木星及び土星はシャープな像で、単眼の望遠鏡だと星が別れて2重に見えると言っていた家内もEMS-BINO だと1つに見えてとてもきれいだと喜んでいます。 22mmのアイピースを使うと、約3.5°の視界となり、先日プレセペ星団と木星が接近したときには、星団と その星団を背景においた木星を1つの視界の中で見ることができ、実にすばらしい景色でした。 また、オリオン大星雲は、20cm反射望遠鏡だとぼんやりとしか見えない部分のガスの濃淡がはっきりと 見えたのがとても印象的でした。M81,M82も確認できましたが、自宅は淡い光の系外銀河などを見るのに 適していません。

 昨年は双眼鏡・望遠鏡サミットに20cm反射鏡を持参して超感動の二晩を過ごしましたが、今年はこの EMS-BINOも持っていって、漆黒の背景の下で星雲・星団を飽きるまで見てみたいと思います。

尾形 誠
Makoto OGATA

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 尾形さんとは、去年の佐治アストロパーク(鳥取県)星祭りと双眼鏡・望遠鏡サミット(愛知県)でご一緒しました。  また、佐治星祭りの時には、当方にもお立ち寄りいただき、いろいろとお話をさせていただきましたので、 SKY90-BINOを作らせていただく上で、事前のコミュニケーションは十分でした。

 尾形さんの澄んだ感性で双眼視の醍醐味をリアルに表現してくださいました。   特に昼間の地上風景のくどいほどの立体感は、実際に覗いた方にしか理解できないものでしょう。この本来の立体感は、 鏡筒が2本の双眼であることと、像が完全正立であることがセットになって初めて達成されるものです。
  天体の場合には無意味と思われている効果ですが、山の稜線から木々をシルエットにして昇る月、月の前をよぎる黒雲、はたまた 明らかに惑星像より間近に見えるシーイングのカーテン等を見ると、肉眼の延長として当然必須の効果が対象を選ばないことを知り、 感動するものです。

  今年の双眼鏡・望遠鏡サミットは尾形さんのSKY90-BINOを含めて、去年以上の双眼望遠鏡ラッシュが予想されます。 今年のサミットには私も全日程で参加する予定ですので、尾形さん、またよろしくお願いいたします。