FS102-BINO

 12cmF5のBINOを所有し始めて日も浅いというのに、手元の望遠鏡をBINO化してしまいました。それほど、12cm F5BINOの衝撃は大きいものでした。

 さて、BINO化したのはFS102です。この鏡筒で見る、単眼時での惑星のシャープさとコントラストには素晴らしいもの があり、以前は自宅観望のメインとして使用しておりました。12cmF5BINOに接して以来、FS102の双眼で見る月 ・惑星はどれほど凄い画を見せてくれるのか想像する日々でした。そこで、思い切ってもう1本購入し、BINO化した次第 です。

 さて、梅雨の合間を狙い、天気予報と睨めっこする週末が続きましたが、ついにチャンスが巡って参りました。前線はやや 南にあり、日本海側方面は晴れ予報、大気はやや不安定なものの、こうした時は、標高の高い場所では短時間でも雲海の上 に出る可能性があります。出撃です。

 現地に到着すると、霧が出ているものの、薄らいできます。直ぐに組立て、高く上がった天の川の観望体制に入ります。 EWV32mmで覗くと、針を突付いたようなシャープな微光星が迫ってきます。単眼以上に明るいせいか、痛いほど目に付き刺 さるような星々の輝きです。そして流していると、北アメリカ星雲が飛び込んできました。ややもやった空であるものの ノーフィルターで十分に見れます。そのうちに、霧が再び出始めました。慌てて、ネビュラフィルター装着し、天の川を 南下します。そして干潟星雲へ・・・・おぉぉおお!絹のような繊細な星雲構造が見えます!!ドブ以来の迫力です。 そして、急いでフィルターを外し、M6、7へ。散会星団の美しさはアポならではと言うぐらい、繊細な輝きを見せます。 そのうち、東から霧が覆って来ました。ざっと実観望時間30分程度ですが、FS102BINOの実力の片鱗を感じとれた日 となりました。

 そして、数日後、仕事から帰って駅を降りると、晴れています!!木星です!!急いで帰宅し、即、組立て観望体制に入り ます。
 まずは、PL20mmで木星を覗きます。プローセルですが、テレビュー製で、抜けの良さと、シャープさ、望遠鏡を選ば ない汎用性で、実は最も気に入っているアイピースです。広角を求めないならば、安価で非常にお勧めです。 さて、木星ですが、倍率40倍、十分に模様が見れます。低倍率、衛星、模様、BINOの立体感が相まって、本当にポッカリ 木星が浮いているように見えます。少し気流が安定しないようですが、UW4.7mm約170倍に上げます。気流がピタッと とまる瞬間、恐ろしいほど、うにゃうにゃした模様に彩られた木星が浮かび上がります。「口径10cm?倍率170倍? 嘘でしょう!!」。双眼装置で見るより、矛盾するようですが、立体感と平坦さが両立して、非常に自然な立体感で見え ます。また、12cmF5と違い、まだまだ倍率が上げれる余裕を感じます(アイピースへの物欲が・・・)。色収差も少 なく、両目で見ているため、長時間でも疲れません。ひたすらシーイングの良くなる瞬間を待てます。

 こうして、星雲星団、惑星と楽しんだ次第です。後は、お月様ですね・・・

 さて、12cmF5との比較も交えながら、ポイントをまとめますと、

①星雲の迫力は口径差があり、12cmの方が上に感じます。一方で散会星団は、シャープさがあり、色が楽しめる FS102です。むしろ最強の兵器かもしれません。

②月、惑星は口径差が小さいこともあり、長いF値を持ち、かつフローライトであるFS102が圧倒的です。また、気持 ち良さもFS102が圧勝です。

③一方で、調整はFS102の方がシビアになります。星像が鋭い分、周辺まで非常に気になります(覗きたくなる?)。 遠征時は、現地で、30分も鏡筒の位置の微調整を続け、ミラー調整前の光軸調整に時間を掛けていました。遠征時は明 るいうちに現地に着きたいですね。

④重量も、長さもFS102は楽なものではありません。逆に12cmF5は口径を考えると、驚くほど軽量、コンパクト だと言えます。したがって、自宅FS102、遠征は12cmF5が中心となりそうです。

⑤対象や好みによっては広角アイピースが必ずしも良いわけではありません。特に2インチ超広角アイピースは視野の制約 がないと思えるほど覗き回れる分、アイポイントが安定せず見やすいものではありません。楽に見るには、自分のポイント に合わせたアイカップを作成するなどの工夫が必要かもしれません。一方で、テレビューのプローセルなどは抜けシャープ さとも抜群で、コストパフォーマンスは高いと思います。視野も狭い分、アイポイントが安定し、楽に見えるメリットは大 きいと感じます。単眼時には感じなかった問題で、BINOの良さは低倍率超広角が得られる面にあるのも事実ですが、対象に よって使い分けるのも良いかと思います。

 最後に、FS102はバックフォーカスに余裕があり、非改造で、10分で鏡筒換装が終ります。このようなことが出来るの も、EMSおよび架台の汎用性の高さゆえです。シンプルな構造と楽な調整が相まってなし得る楽しさです。対象により長焦 点アポと短焦点アクロを使い分けるのは、BINOの楽しみの幅を大きく広げます。

 さて、目の前にボーグが転がっています。超軽量BINOが出来るかも・・・・(笑)

スノー

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

スノーさんが、初めての12cmF5BINO(アクロマート)を入手されてから、快進撃を続けておられます。

 最初のBINOの完成時に、わざわざ当方まで対面に来てくださいましたが、スノーさんの探求心と吸収力には、 目を見はらさせられます。

 元の12cmF5鏡筒とFS102鏡筒は、最大径が同じくらいなので、EMSも台座も共用が出来ます。ハンドルのロッドのみ、 少し長いのをお作りしました。

 自分で作って(組み立てて)みる、というのが、EMS-BINOの原理を理解するための好適かつ最終のレッスンだと思います。  スノーさんは、それを1か月ほどでクリアーされたわけです。 BINOの耐性菌に取り憑かれられたようで、ごしゅうしょうさまです。^^;

 続報を楽しみにしております。