天候に恵まれたので短時間ではありますがファーストライトに行ってきました。
ペルセウス座の二重星団の観望が一番好きなので、それだけじっくり観てきました。
ファーストライトの主観的印象を3点報告します。 あくまでも改造前の直視観望時の記憶との比較になります。
①想像どおり微光星の数が直視の場合と比べ、はるかに多く見えている印象でした。正に長時間露光による写真のようです。 プリズム(つまり長いガラス中光路と4回反射)を排除して、銀ミラーの2回反射としたことで、これだけ見え味が異なるもなのかと思いました。
②EMSによる90度対空による観望は、当然直視と比べて観望姿勢が楽になりました。 椅子に座ってじっくり対象を見続けられるというこは、今まで見ていなかった部分にも視線が走り、見えなかったものが見えてくる、そんな印象です。情報量が遥かに多い観望となりました。このことだけでもEMS改造をして良かったとつくづく思いました。
③アイピース交換式となり、80度を越える見掛け視界は、まるで‘’別機種‘’で星空を見渡している印象です。 フジノン純正の直視観望の時に「倍率40倍固定だと優秀な対物レンズがもったいないなぁ」と感じていましたが、EMS改造により対物レンズの性能をフル活用している印象です。 以上、短時間の二重星団の一点観望記でした。 この機材で星空探索を再度始めようと思っています。
Comment by Matsumoto / 管理者のコメント;
ご多忙の合間を縫っての頻度の高いリポートに感謝いたします。 実際の天体でのファーストライトリポート、好結果は予想していたものの、実際にこうしてご報告いただくと、感激ひとしおです。
古い教科書では、「プリズム双眼鏡はプリズムで発生する諸収差(色収差、球面収差他)を対物、接眼レンズを含めたトータルでキャンセルするように設計されているため、プリズムを撤去、あるいはミラーと交換すると、光学性能が悪化する。」 と書かれていたはずで、専門家になるほど、今回のような改造には批判的であることを承知しています。
しかし、現実はそう単純ではなく、机上の計算による予測が当たらないことも多いのです。 エレメントの収差を他のエレメントでキャンセルして行くのが光学設計の基本ではありますが、構成エレメントが複雑になるほど別のノイズが集積して、コントラストを低下させる一面もあります。
何はともあれ、200mm近いガラス中の光路(大型ポロプリズム)を排除し、銀ミラーによる2回反射に置き換えたことで、総合的な性能が向上したことが立証されたわけです。