私も当初は、主点の意味が分からずに悶絶した経験があります。しかし、分かれば簡単な話でした。
AB→の像がA’B’→になることは、すぐにご納得いただけると思います。
しかし、Pの像がP’になる、と言われたらどうでしょう?多分、かなりの抵抗を感じられるはずです。
AからA’、あるいはBからB’に至る光線が、本来の物と像の結像関係とは別に、もう一組の結像関係を秘めているのです。A~Bまでの無数の物点についても同じです。
Pに収斂する光線の束は、全てP’から発散するように射出する、ということです。
実際には光線はPもP’も通りませんけどね。
これを文章で表すと、「主点(複数)とは、横倍率=+1 の共役点の組。」ということになるわけです。また、主点を通って光軸に垂直な面を、主面と言い、横倍率=+1 の共役面、というわけです。
因みに、図の物と像の関係は、横倍率=ー1 ですね。
松本の光学講座 2024;Roundup-3 / 総まとめ-3/How to measure the focal length on the optical bench/ 光学台(レール)上で焦点距離を測る方法
厚さが無視できない厚いレンズや、複数レンズ系の焦点距離を光学台上で測る方法のご提案です。
主点位置が特定できなくても、レンズを固定して、「物体」と「像が投影されたスクリーン」を動かし、物体 と 像 の大きさの比が 2:1 になった時に物体の位置を記録し、さらに 物体 と 像 を移動して大きさが 1 : 1 になったとき、「物体」の 移動距離 が 焦点距離 と等しくなります。
この方法であれば、内部構造が分からない複数レンズ系を非破壊(非分解)で焦点距離を測ることが出来るわけです。
松本の光学講座 2024;Roundup-2 / 総まとめ-2
数式アレルギーの方のために、コアな部分を徹底的に可視化してみました。
近軸幾何光学で、お伝えしたいことはこれに尽きます。
青い角の合計 = 赤い角 です。
赤い角は、度数 Φ に h を掛けたもの。言い換えると、焦点距離の逆数、1/f に h を掛けたものです。
近軸領域では、入射光線の高さ h が同じなら、赤い角は常に一定だとういことです。
松本の光学講座 2024;Take a Break!/Quiz-2 / ちょっと息抜きのクイズ-2
ヒント; 直交するベクトルの内積=?
松本の光学講座 2024;Take a Break!/Quiz / ちょっと息抜きのクイズ
先日、9歳の天才少年が考えたクイズを、親御さんがFACEBOOKに投稿しておられた問題からの、応用問題を作ってみました。^^
いろんなアプローチがあると思いますが、出題者の意図は、上図の通りです。
”三角形の一つの角の外角=他の2つの角の和”; 近軸幾何光学で頻出するんです。
松本の光学講座 2024;Roundup/ 総まとめ
上の図が、一般的な近軸結像公式です。すでに中学校で習っておられるはずですが、物点位置、像点位置に符号(±)を考慮した一般式になっています。レンズより左は(-)、右は(+)です。
一般的な近軸結像公式は、s (物点距離)、s’ (像点距離)、f (焦点距離)の3つのパラメーターの関係式で、その内の1つが分からない時に、その数値を求めることが出来ます。
下の図は、距離の代わりに、光線の特定位置(この場合はレンズ上の光軸からの高さ)に於ける光線の角度(h/sで定義された角度)を使用します。もともと両者は同じ数式を変形したものであり、下の図の方法は、計算の効率を上げるのに有効です。
h が加わることで、パラメーターが4つになったようで、混乱されるかも分かりませんが、hは、αを定義する時にすでに設定しているわけですから、心配無用です。途中で尺度を変更しない限り、初期値は任意の数値を設定すれば良いのです。この h が後で、凄い役割を発揮するのですが、実際に運用して見られたら分かります。
Cherry blossom viewing after several years! /久しぶりの花見
私は滅多に腰を据えた花見をしない。前回は何年前だったかも覚えていない。
「時間は作るものだ!」とよく言われるけど、いつも何かに追われている感じがして落ち着かないのは、どうやら自分の性格のようで、治りそうもない。
今回は、義理の妹夫婦の勧めで、穴場(私は知らなかったので^^;)の花見スポットを案内してもらった。当家は鳥取城跡から徒歩5分で、花見と言えば、鳥取城跡しか知らなかったけど、この国府町の歴史的水道施設跡地は、静寂で秘境感もあって、すごく良かった。
戦前の欧風の施設が実にノスタルジックで良かった。
殿ダム周辺も途中下車しながら散策させてもらった。
久しぶりに日常を離れて、良い空気を吸わせてもらった。
義妹夫妻に感謝!
松本の光学講座 2024;Take a Break!/Proposal of the Innovative Binoscope ! / ちょっと休憩 / 常識破りの 巨大BINO の提案!
逆視のニュートン反射双眼が一般的なので、屈折式で逆視がいけないという法律はありません。^^;
屈折式の場合、2回反射で図の構成が実現し、裏像になりません。 また、倒立像でも、左右の眼が交代しているので、立体視も破綻しません。(遠近が逆にならない。)
観察者が観察用ゴンドラに乗るか、フロアが水平回転軸と連動して回転するターンテーブルになっているか、そうした超巨大なシステムに適した方法かと思います。
鏡筒の真下に広い空間がないと窮屈ですが、据え付け架台ならどうにでもなりますね。
予算がふんだんに使える巨大BINOプランであれば、巨大なEMSを用意すれば済むことですが、この方法は、既存のパーツや技術が利用できる利点があります。
一つ残念なのは、ミラーシステムの回転による目幅調整が出来ませんけどね。これは光学の原理の問題なので仕方ありません。
2枚鏡システムをロンボイドプリズム(菱形プリズム)風に構成して直視で見る方法が一般的ですが、巨大なシステムでそれをやると、仰角の変化による見口の高さの変化が著しいのと、遠近感が逆転するのが致命的ですね。巨大BINOの圧倒的な利点ですからね、立体感は。
180度俯視(逆視)の場合は、人間工学的に、見口の高さの変化に対応しやすいですからね。
松本の光学講座 2024;Your face in the 3-kinds of mirrors/ 3 種類の鏡で見たあなたの顔
右眼が効き目だと想定した図です。
逆に、効き目をミラーの合わせ線(稜線)が貫くため、効き目のチェックにもなります。
左が、普段ご使用の通常の鏡です。
中央が直角2枚鏡、右がコーナーキューブです。
1回反射の左の鏡と、右の3回反射のコーナーキューブは、鏡全体を回転させてもあなたの顔は回転しません。中央の鏡(2回反射)は、鏡を視線の回りに回転させると、その2倍角であなたの顔が同方向に回転します。
松本の光学講座 2024;復習8 How to estimate the principal points /主点位置の推定方法
主点の意味を理解したり、その位置を推定するのには、平行平板の振る舞いを見るのが有効です。
一番上が平行平板を通る光線です。前面と後面が全て平行なので、入射光線は食い違いながらも平行に射出します。赤い点が物側主点、青い点が像側主点になるのは、全て共通です。
次に平凸(凸平)レンズを考えてみます。前面の頂点の接平面と後面は平行なので、上の平行平板と同様に考察できます。
最後に、メニスカスレンズを考えてみます。
どこかに平行平板が隠れていないか?ということです。1-C1 と 2-C2が平行になるような光線が必ずあるはずで、それを図示したのが、一番下の図です。(C1,C2はそれぞれ、前面、後面の球心です。)1-C1 と 2-C2が平行ということは、1と2の接平面同士も平行ということになり、平行平板と全く同じように光線が振舞うことが明らかです。
赤い線と青い線は、それぞれ、物側主面と像側主面であり、物側主面に高さhに向けて入射する光線は、像側主面の同じ高さhから射出することが分かっています。
この2面のことを、「横倍率=+1 の共役面」と言います。倍率というと、どうしても、実際の物と像の結像を類推してしまうと思いますが、単凸レンズによる物と像が同じ大きさになる場合は、倍率=1ではなく、-1(倒立)になり、横倍率=+1 倍になる主面同士の関係とは異なります。
厳密には、図は節点(角倍率=+1となる共役点)の説明なのですが、空気中のレンズでは、主点と節点が同じになるので、節点でご説明した次第です。