This website includes some English comments on the latest developments. Please don’t skip this page even if you don’t understand Japanese at all. You will find a lot of important information here.
EMS Product Line | English.

松本龍郎のホームページによくいらっしゃいました。
天体望遠鏡を人間工学的に追求した結果をご紹介します。

EMS Ultima Series EMSアルティマ・シリーズ

2回のみのミラー反射で、像質劣化なく正立像が得られる、理想的な90°対空オプションです。EMSシリーズは全て耐久性の高い増反射銀ミラーを採用しており、可視域平均で従来品に対し、約8%の光量アップと、700nm付近(赤い光)は約17%の光量アップを達成しています。

特殊増反射銀コートの詳細

EMS Product Line in English

単体鏡筒用のEMS-Ultimaシリーズ

EMS-UMA ¥50,000(税別)

31.7mmアメリカンサイズ・アイピース専用(36.4ネジ&31.7AD付)

望遠鏡取付部:2インチ( 50.8mmφ)差込
光路長:122mm (全ての屈折鏡筒で合焦します。)
見口(光軸)の横シフト量: 26.9mm
重量:395g

EMS-UMB ¥51,500(税別)

31.7mmアメリカンサイズ・アイピースと
2インチアイピース

防塵フィルター標準付属
望遠鏡取付部:2インチ( 50.8mmφ)差込
光路長:136mm (ほぼ全ての屈折鏡筒で合焦します。)
見口(光軸)の横シフト量: 26.9mm
重量:470g

EMS-UL ¥65,000(税別)

EMS-ULは2インチ、31.7mmスリーブ、防塵フィルター標準搭載。ハウジングはUMと共通だが延長筒(12mm)を介しより大きなミラーを搭載。

2インチ・アピーススリーブ標準付属
31.7mmアメリカンサイズ・アイピーススリーブ標準付属
(超low-profile”2mm”の31.7→50.8AD付)
防塵フィルター標準付属
望遠鏡取付部:2インチ( 50.8mmφ)差込
光路長:148mm (基礎光路長=90mm, 2″スリーブ長=58mm)(大半の屈折鏡筒で合焦します。特殊な鏡筒の場合はご相談ください。)
見口(光軸)の横シフト量: 35.4mm
重量:500g

BINO(双眼望遠鏡用)LRペアのEMS-Ultimaシリーズ

EMS-UXL Pair

X-Y光軸調整付きですので、単体用EMSの価格X2とは異なります。
また、光路長はBINOの場合、EMSのサイズで決まるのではなく、BINOの骨格を決定する鏡筒間隔”D”で決まります。

鏡筒間隔D

BINO用EMSのみをご注文いただく際には、”D”をお知らせください。(”D”は、固定する鏡筒間隔、平行移動式の場合は最小の鏡筒間隔です。普通は、鏡筒最大径とほぼ同じになります。)
ご希望の”D”に対して、最適な選択肢をご提案いたします。(”D”を可能な限り小さくするのが賢い設計です。)

目幅ヘリコイド・オプション

目幅調整には、以下の2つの方法があります。

1;片方、もしくは左右の鏡筒を平行のまま横にスライドさせる。
2:左右の鏡筒は平行に固定しておき、左右それぞれのEMSの構成ユニットの中間にヘリコイド(伸縮管)を挿入する。

1の方法は、目幅調整時にピント移動がない利点があります。 ただ、2本の鏡筒を正確に平行に固定したまま、少なくとも片方の鏡筒を 正確にスライドさせる必要があり、高精度なメカが必要になります。  それなりの重量増と体積増、またコストもかかります。

2の方法は、目幅調整時にピントが移動するというデメリットがあります(実際には微量であり、観察者が交代すれば視度は再調整するので大した問題にならない)が、左右の鏡筒を完全に固定でき、余分なメカを付加しなくても良いメリットは絶大です。  

大まかに言うと、中、大型のBINOでは、このヘリコイド方式に分があります。

ユニット間にヘリコイド(伸縮管)を挿入することで、左右の鏡筒を完全に固定したまま、目幅調整が可能になります。

目幅ヘリコイド小 LRペア ¥40,000(税別)

EMS-UMA, UMB, UL専用
ヘリコイド稼働長: 16mm
目幅レンジの初期設定: 60 – 78mm
ヘリコイド光路長: 22 – 38mm
重量: 110g

目幅ヘリコイド大 LRペア ¥60,000(税別)

EMS-UXL, UXL Premium専用
ヘリコイド稼働長: 16mm
目幅レンジの初期設定: 60 – 78mm
ヘリコイド光路長: 27 – 43mm
重量: 138g

大小、どちらも、左右で互いに逆ねじなっており、鏡対称の操作(つまり人間工学的に使いやすい)が可能になっています。

EMS for BINO Lineup

EMS-UMA (R+L pair) ¥120,000(税別)

望遠鏡取付部:2インチ( 50.8mmφ)差込
31.7mmアメリカンサイズ・アイピース専用(36.4ネジ&31.7AD付)

防塵フィルター標準付属
目幅ヘリコイド(小)付きは+¥40,000(税別)加算)
(固定延長管をご希望の場合はご相談ください。)

EMS-UMB (R+L pair) ¥123,000(税別)

望遠鏡取付部:2インチ( 50.8mmφ)差込
2インチ・アピーススリーブ標準付属
31.7mmアメリカンサイズ・アイピース(超low-profile”2mm”の31.7→50.8AD付)
防塵フィルター標準付属
目幅ヘリコイド(小)付きは+¥40,000(税別)加算)
(固定延長管をご希望の場合はご相談ください。)

EMS-UL (R+L pair) ¥150,000(税別)

〜13cmBINO用
望遠鏡取付部:2インチ( 50.8mmφ)差込
2インチ・アピーススリーブ標準付属
31.7mmアメリカンサイズ・アイピース(超low-profile”2mm”の31.7→50.8AD付)
防塵フィルター標準付属
目幅ヘリコイド(小)付きは+¥40,000(税別)加算)
(固定延長管をご希望の場合はご相談ください。)

EMS-BINO

EMS-UXL (R+L pair) ¥ 250,000(税別)

13cm~20cmBINO用
望遠鏡取付部:バレル径 90mmφ
2インチ・アピーススリーブ標準付属
31.7mmアメリカンサイズ・アイピース(超low-profile”2mm”の31.7→50.8AD付)
防塵フィルター標準付属
目幅調整用大型ヘリコイド付き
大型ハウジング(90mmφバレル)標準使用。鏡筒側アダプターは別途お見積もりします。
(フィルターBOX付きは+¥40,000加算(税別))
重量:860g × 2 (延長筒の仕様で多少変化します。)

EMS-UXL-Premium (R+L pair) ¥450,000(税別)

(一例です。大型仕様は個別に対応いたします。)

20cm~30cmBINO用
望遠鏡取付部:バレル径 150mmφ
2インチ・アピーススリーブ標準付属
31.7mmアメリカンサイズ・アイピース用AD(超low-profile”2mm”の31.7→50.8AD付)
防塵フィルター標準付属
第1ミラー; 100×141mm
目幅調整用大型ヘリコイド付き、大型ハウジング(150mmφバレル)標準使用。鏡筒側アダプターは別途お見積もりします。
(特注につき、上記は参考例)


 

EMS-UL Pair

 

EMS-UXL Pair

 

EMS-UL & EMS-UXL

EMS-UL & EMS-UXL

EMS-UXL

ネビュラフィルター対応

全てのEMSは市販の48mm(50.8mm/2インチ用)ネビュラフィルターを装着可能です。防塵フィルターを外して取り付けます。

EMSの第1ミラーの相対的なサイズ比較

EMS History

2009910日を以って、アルミ蒸着ミラーを使用たEMSシリーズは全面的に増反射銀ミラーを使用したEMS-Uシリーズに移行いたしました

EMS-Ultimaシリーズは、従来のアルミ蒸着ミラーを廃し、耐久性の高い増反射銀ミラーを採用したもので、可視域平均で従来品に対し、約8%の光量アップと、700nm付近(赤い光)は約17%の光量アップを達成しています。

2009年よりEMSの調整ノブに原点復帰用の矢印マーカーを添付。

2010年よりEMS-UL2インチバレルの内面に遮光シートを施工。EMS-US/UMは同じ2インチバレルに対し遮光絞りが30φと小さいため、バレル内径に入射光が当たらず迷光が目側にまで到達しないので遮光シートは不要です。

201110月、アイピーススリーブをバンドクランプ式に変更。(アイピース側とEMS側の双方)

201410月より、EMS X-Yノブに回し過ぎ防止リミッターを搭載し、可変幅を135°に設定。

2017年7月より、EMS-UL(単体標準)の光路長が150mmから148mmに2mm短縮しました。(基礎構造部分の短縮で、単なるスリーブの短縮ではありません。)

20217月より、EMS-USを廃止、EMS-UMA,-UMBに再編されました。

 

ご注文方法と納期

1.メールにて、ご注文の内容をお知らせください。optionのご希望も一緒にお知らせください。また、BINO用セットの場合は大体の眼幅(mm)もお知らせください。
2.納期は、単体EMSは即納~2週間(ただしミラー等の在庫切れの場合は別です)、BINO用のセットで2週間~3週間です。(ただし、プレミアム仕様等は少し納期がかかります。)

お問い合わせはEmail、またはFacebookまで

inquiry / Emailでのお問い合わせ

 

● クレジットカードのオンライン決済を開始いたしました。(2023,10/04)

納品待ちのお客様へのお願い;
 ご注文品の製作状況は、製作情報速報でほぼライブ配信しております。
常に同コーナーをご参照いただき、製作者との間に齟齬が生じないようにお願いいたします。
お送りする製品には、印刷物のマニュアルは添付されませんが、製作状況速報全体が詳細なマニュアルだとご理解いただけますと幸いです。
 発送時にはお問い合わせ番号をお知らせしますので、常にトラッキングをしていただき、配達時にはご不在にならないようにご配慮いただけますと幸いです。

Deep Sky Special! 15cmF5BINO VERSION-10

現実的な重量、価格で、最大の集光力を目指した、低倍・広角EMS-BINOの決定版!

(VERSION-10は発展的に製作を中止し、現在、VERSION-11の準備中でございます。モジュールの価格も練り直します。 2021,10/22 追記)

Deep Sky Special! 15cmF5BINO VERSION-10

現実的な重量、価格で、最大の集光力を目指した、低倍・広角EMS-BINOの最高峰!

★大口径かつ軽量コンパクトな、高性能アクロマート鏡筒CELESTRON-Omni-XLT150Rをベースに、主要パーツ(フォーカサー)を交換して大口径低倍広角BINOとして最適化カスタマイズ(素材鏡筒とは別物です)
★最新の中軸式架台を採用し究極の可搬性を実現
★軽量かつ、鏡筒単体着脱、管理で携行性抜群
★限界まで無駄を削ぎ落とた、メンテナンスフリーの過去最高の高剛性★3インチ次世代型クレイフォード式フォーカサー採用
★プリズム系を一切介さない、シンプルな光学系(EMS-UXL)による圧倒的なヌケの良さ
★最新のEMS-UXL(銀ミラー)を標準搭載し、最高峰の明るさ、高コントラストを実現
★90度対空(完全正立像)
★2インチアイピース使用可能(真鍮バンドクランプ式スリーブ)
★大型ヘリコイド目幅調節機構を搭載(最小60(57)mm〜最大76mm ※スリーブ等のトリミングで最小57mm)
★市販の48mm(50.8mm/2インチ用)ネビュラフィルターを装着可能
★各部がモデュール化され、お好みのOPTIONを選択可能、将来的な鏡筒のアップグレードにも対応
★傾斜センサー AAS-2オプション。WiFi機能を内蔵、水平エンコーダーを繋げるだけで天体の導入支援システムを構築可能
★光軸を各自に最適な状態に自己調整可能(快適眼位は個人差があり、それに対応できるのはEMS-BINOだけ)
★L×H×W ≒  870×200×360mm、重量一本につき約8kg。(全体は意味がない)
VERSION9より、中軸式架台の鏡筒単体着脱仕様となっており、今までの一体型BINOのような「BINO本体価格」はなくなりました。各部がモデュール化され、お好みによりOPTIONを選択いただくようになっております。

15cmF5-BINOは、中軸式架台仕様のBINOの一つの応用例に過ぎませんが、少なくとも大型のBINOに関しましては、完成したBINOは当方でのお引渡しを、原則、受注条件とさせていただいております。 EMS-BINOは、従来存在しなかった概念に基く製品であり、実際に本機に触りながらご説明をすることには大きな意義があるのです。文章だけでは伝わらないニュアンスがございます。


主要モジュールの価格 / Price list of the modules


15cmF5(アクロマート)BINO用特化鏡筒×2本 / Customized OTA SET
¥255,000(税込¥275,400)

アリガタ、運搬用ハンドルの精密取り付け、フランジ加工と市販の3インチフォーカサーの取り付け加工を含みます。鏡筒は今後の入手事情やご希望により他社同等品(黒鏡筒等)への変更もあり得ます。中口径、小口径BINOも個別に承ります。


EMS-UXLセット(V10より一律)
¥250,000(税込¥270,000)

低倍視野の周辺光量では、旧VERSIONよりも圧倒的に有利になっています。(対物がF5のため、EMSの第1ミラーのサイズアップの効果は絶大です。純正の内径が細いフォーカサーが使えない理由もこのためです。


MATSUMOTO中軸式架台 / Center Mount
¥92,000(税込¥99,360)

垂直回転軸ユニット(兼鏡筒ホルダー(アリミゾ))を左右の鏡筒の間に配置し、BINO 本体の重心(鏡筒中心ではありません)と垂直回転軸が一致することで、架台メカを極限までコンパクトにしながら必要な剛性を達成しています。鏡筒が単体で保管、運搬が可能で、現場で1本ずつ搭載でき、架台その物も非常にコンパクトに収納できるので遠征にも便利です。
目幅調整はEMSで行うため、BINO台座が不要、左右のアリミゾは完全に平行になっているので、ユーザーサイドでの鏡筒の光軸調整も不要です。
垂直軸クランプが面押しタイプに進化。垂直軸を中空にすることで、さらなる軽量化と生産性が向上。そのシルキーな操作タッチとフルストロークのバランスに皆様、感嘆の声を上げられます。


延長ピラー240㎜/ pillar 240mm
¥12000(税込¥12,960)


ハンドルユニット(兼カウンターウェイト)/ Handle and counter weight unit
¥18,500(税込¥19,980)


傾斜センサー / Altitude sensor
¥32,000(税込¥34,560)

鏡筒に取付けるだけで傾斜角を計測するので、従来のように、垂直回転軸にロータリーエンコーダー取付のためのスペースが不要です。WiFiを内蔵しておりiPhone/Androidと直接接続可能です。


水平軸用エンコーダ
(10,000ステップ)/ encoder (10,000 steps)
¥15,000(税込¥16,200)

垂直回転軸用の傾斜センサーと、この水平回転軸用のエンコーダがセットとして鏡筒が向いている方向を検知します。

(水平軸エンコーダは中軸架台外付けではなく、製作組み立て段階で組み込みます。 構造に詳しい方は後でエンコーダ単体を求められて、自分で(架台を分解して)組み込むことも可能ですが、そうでない方は困難ですので、将来的に導入支援を利用される可能性があれば、最初からエンコーダ付き仕様で中軸架台を注文されることをお勧めします。


SPECIFICATIONS

対物レンズ アクロマート
有効径 150mm
口径比 F5
焦点距離 750mm
目幅調整範囲 60mm(57.5mm)~76mm
正立光学系 EMS
正立系の反射回数 2回
本体重量 15kg
(鏡筒単体分離タイプのため、鏡筒2本分の重量を表記)

CELESTRON-Omni-XLT150R(OTA)SPECIFICATIONS

Optical Design Refractor
Aperture (mm) 150 mm (5.91 in)
Focal Length 750 mm (30 in)
Focal Ratio 5
Highest Useful Magnification 354 x
Lowest Useful Magnification 21 x
Limiting Stellar Magnitude 13.4
Resolution (Rayleigh) 0.93 arc seconds
Resolution (Dawes) 0.77 arc seconds
Light Gathering Power (Compared to human eye) 459 x
Optical Coatings StarBright XLT
Optical Tube Length 34 in (864 mm)
Optical Tube Weight 16 lbs (7.26 kg)

EMSシリーズの第1ミラーのサイズ比較


EMS ミラーサイズ比較


EMS-ULと-UXLだと、これほど違います。第2ミラーと異なり、極低倍広角アイピースの視野の欠けにはあまり影響しませんが、ユーザーには気付かれなくとも、第1ミラーのサイズ不足は口径自体がけられるので、常に最大限を確保するのが正しい選択です。


EMS UXL

EMS-UXLの迷光塗装が施された巨大な銀ミラーと、大型目幅ヘリコイド


ヘリコイド目幅調節機構


鏡筒を固定し、複雑な鏡筒スライド機構を省略する事で、BINOとして高い剛性を達成しつつ、柔軟な目幅調整が可能です。(写真は小型ヘリコイド)

可変幅:最小60mm〜最大76mm
(スリーブ等のトリミングで最小57mmまで短縮可能)

目幅ヘリコイドを調節するとピントの再調整が必要ですが、特に15cmF5-BINOのような大型BINOの場合は、中軸式架台固定+ヘリコイド目幅機構を利用した、強固な剛性のメリットが上回ります。


低倍広角用に特化した対物レンズ(F5)

長い天文マニアの方は当BINOの素材鏡筒のことはよくご存知と思いますが、当時の事情をご存知ない、若いマニアの方や初心者の方のために、説明させていただきます。

EMS-BINOは、従来の大型双眼鏡とは全く異なるコンセプトの製品です。当BINOは、屈折式の天体望遠鏡2本を用いて双眼望遠鏡を構成した製品で、正立プリズムを一切使用しないで90度対空の正立像を達成し、天体望遠鏡本来のクリヤーな像質を全く損なうことなく、双眼視を可能にしたものです。

対物レンズのランクとしては、リーズナブルなアクロマートですが、星雲、星団観望用としては、色収差の問題は実用上皆無で、十分に口径15cmの威力を発揮することは、多くのユーザーの方が多方面で証言しています。この鏡筒は、短焦点アクロマートに対するネガティブな固定観念を覆す見え味です。

望遠鏡の倍率は、対物レンズの焦点距離を接眼レンズのそれで割ったものであることは、初心者の方でもご存知かと思いますが、双眼の場合、低倍広角側では、ある制約があるために、無制限に大きなアイピースは使えません。 理由は複数ありますが、最大のものは、私たちの目幅です。 大半の方(成人)の目幅は58㎜~68㎜くらいの間に集中していますが、目幅より外径の太いアイピースは左右が干渉するため、使用できません。

その意味で、当鏡筒のF5というスペックは、低倍広角を追及する意味で、非常に有利なものであると言えます。
実例を挙げてご説明しましょう。

標準目幅(64mm程度以下)では、最大実視界を得るアイピースとして、36mm72度くらいのスペックの物が眼幅が許す最大のアイピースですが、  このアイピースを、同じ口径(15cm)で、F5(当BINO)の望遠鏡と、F6の望遠鏡に使用した時の射出瞳径と、視野の明るさの指標等を比較してみましょう。

倍率   射出瞳径  明るさ  実視界

F5   20.8倍  7.2mm    52    3.5度

F6    25倍    6mm    36    2.88度

いかがでしょう。 F5というスペックが低倍、広角、明るさの取得において、圧倒的に有利であることがご理解いただけたと思います。


目幅調整範囲

EMS-BINOは、私が1台ごとに製作していますので、1台ごとに仕様の自由度がかなりあるため、 実はスペック表自体が大した意味を持ちません。 つまり、ユーザーさんのご使用環境や好みに応じて カスタマイズできる部分が大きいということです。

目幅もその代表的な要素で、最小目幅については、2インチアイピースを使用する限り、アイピースの外径という制約はありますが、基本的には、制約はないと言っても過言ではありません。 特に最大目幅については、80㎜超であっても十分に可能です。

また、一応60mmを標準仕様での最小目幅としていますが、接眼部の2インチスリーブは外径が59㎜ですので、フィルターリング(防塵フィルターをセットする接眼側のフランジでツバの外径=60mm)のツバの左右の干渉部を0.5㎜削れば、左右の2インチスリーブが接触した状態で59㎜の最小目幅が簡単に得られます。 また、EMSのミラーハウジングは、ダイカストの型の設計段階で、すでに左右の接触部をトリミング していますので、ハウジングの塗装部は一切剥がすことなく、フィルターリングのツバの一部(ハウジングのトリミング位置に相当する部分)を 少しトリミングするだけで、最小目幅57.5㎜まで確保できます。(57.5㎜まで確保する際には、2インチスリーブの一部もトリミングしないといけません。)

この作業は、加工に手馴れた方なら簡単に行えますが、BINOのご注文時に希望されれば施工させていただきます。(OPTION, +¥3,800)

ということで、表の( )内の目幅の数字は、カスタマイズ時のものとご理解くださいませ。


補足事項

この双眼望遠鏡は、天体望遠鏡の使用とメンテに十分な経験を持つハイアマチュアを対象に製作しています。 (ただし、多少の学習と訓練によれば、初心者の方でも十分に使いこなすことができます。)

市販の双眼鏡は、変倍式を含め、ほぼ一体構造のボディーに強固に組み込まれた光学系と共に、突いてもしゃくっても 光軸が狂わないような構造になっています。変倍用のアイピースも敢えて天体用のアイピースとの互換性を排除して専用規格品 を使用しているのが普通です。
それは、上記のような本来メンテフリーの双眼鏡でさえ、正しく使用できない方がある市場の実状を熟知した 光学メーカーの常識的な判断の結果であり、今後もユーザーサイドの光軸調整や、市販の2インチアイピースの 使用を許した双眼望遠鏡は、既存の大手光学メーカーから発売されることはないと断言してよいでしょう。

私は、ハイアマチュアの技量を信頼することで、敢えてそのタブーに挑戦しました。高倍率まで変倍する双眼鏡の光軸ずれへの対応には、剛性や精度を徹底して行くという従来のスタンスでは、コストの肥大化と共に、異なる観察距離への対応等、難題がのしかかります。私は、剛性を追求する代わりに、双方向の調整機構を、しかもX,Yそれぞれの方向に独立的に持たせることでその解決策としました。
鏡筒は市販の天体望遠鏡をそのまま利用し、従って、市販の双眼鏡のようなガチガチの剛性はありません。代わりに、分解容易で、ユーザーサイドでのカスタマイズやupgradeに簡単に対応できるようになっています。 文章にしますと面倒に聞こえますが、最終的にはどなたも使いこなしていらっしゃいますので、神経質になり過ぎる必要はありません。

EMS-BINOは楽器に例えることが出来ると思います。 それを活かすのは奏者次第です。優れた奏者との出会いは、 製作者を奮い立たせます。


受注条件と納期

リピーターの方々には十分にご理解いただいていますが、当方は完全なワンマンショップでございまして、大規模な工場を備えたメーカーでも、また専門部署が整った販売店でもございません。代わりに、私自身が全てに責任を負い、”誠心誠意”を常に心がけているつもりでございますが、一人では対応に限界もございます。
安易に受注を増やし、皆様にご迷惑をおかけしないために、(例外を除き)以下の条件でご注文を承りたいと考えております。

  1. EMS-BINOは、開発以来、使いやすさを追及してはまいりましたが、やはりユーザーの方がBINOの調整、管理方法をよくご理解いただいた上でご使用いただく必要がございます。ご注文いただいてから納品時までに、当サイトの必読事項をよくお読みいただくことを、最初の受注条件とさせていただきます。印刷物のマニュアルはご用意できませんが、当サイトの製作工程を含め、サイト内の情報は全てマニュアルの一部だとご理解いただければ幸いです。
  2. 例外を除き、完成したBINOは、当方でお引取りいただきたいと思います。 例外は、リピーターの方と、ご体調等の障害のおありの方、また先輩BINOユーザーのアシストが常に受けられる環境にある方に限らせていただきます。 また、完成時に説明だけを聞きにお越しいただき、後日BINOを発送する形でもかまいません。
  3. 納期は目安であり、諸々の事情により大幅に遅れることもございます。この点をご理解いただけない方のご注文は受けられません。  また、(1)とも関連しますが、当サイトの製作情報速報を常に(少なくとも数日置きには)ご参照いただき、進捗状況を当方と共有いただけると幸いです。 申し訳ございませんが、細かい進捗状況や事情の変化を個別にご報告できないことが多くございます。
  4. 鏡筒のカスタマイズの結果で余る不要パーツ類(バンド等)は原則お返ししません。また、販売店によって鏡筒に附属する普及品の(BINOには)不要パーツ(天頂プリズム等)も、今後の鏡筒の入手方法によって流動するものですので添付しませんが、その点は不問に御願いいたします。

ご注文方法

  1. お問い合わせフォームにて、ご注文の内容をお知らせください。(optionのご希望も一緒にお知らせください。 また、眼幅(mm)もお知らせください。)
  2. 返信にて、お振込先をお知らせしますので、セット内容にかかわらず、
    30万円を着手金としてお振込ください。ご入金の時点で着手順を割り当てさせていただきます。
  3. 完成直前(1~2週間前)にご連絡しますので、その時点で残金をご精算ください。

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EMS Product Line | English

EMS is the Erecting Mirror System invented by me, Tatsuro Matsumoto, Japan.
EMS offers a non-reversed upright image with only two reflections.

There have been a lot of erecting prisms as the attachment of the astronomical telescopes, but EMS is the only one that offers the right image with only two reflections and no edge line in the light path.
Another outstanding advantage is that it is used in the right-angled viewing position and its unique lateral shift of the light path that can be symmetrically set up for binocular use.

It is my pleasure to share my thrilled experience of EMS with Astro-friends.


EMS UMA


Direct image of Astronomical Telescope


Reversed image by diagonal prism


Non-reversed upright image by EMS

The Sectional Sample of the Component of EMS

ADAPTERS
(click to enlarge)
The tapered flange(2″ diameter) on top of the EMS enables the adapters to be replaced by each other in a second with a set screw.
31.7AD is included in the EMS-UM/US, and 50.8AD with 2mm-profile 31.7AD in the EMS-UL.

More than 33years have passed since the article about my homemade binoculars appeared in the November 1982 issue of the Sky & Telescope magazine. Adding the period of my study for the optical system before the article, I have been studying the optical system for more than 36years.
I succeeded in developing the EMS which offers non-reversed upright image at the right-angle viewing about 26 years ago, and have come to accept the order from amateurs.
The EMS has never betrayed users’ expectations, and every one of them admires the performance that never degrades the image quality.

EMS-ULTIMA

Evolution from aluminum to Silver


from left, EMS-UMA, UMA, and UL

EMS-ULTIMA, equipped with enhanced silver coated mirrors, is now on sale. Now that EMS has achieved not only the diffraction-limited resolution but also the practically total reflection of the incoming light, there will be no reason even for the most conservative users to dispense with EMS in their visual observation.
I believe it declares the advent of the new age of visual Telescopes.

The coating maker guarantees the durability of the new silver coating by passing the tests of high humidity and high temperature, over 90 degrees centigrade with 90 percent humidity, soaking in salt water, etc.

More details

EMS for the standard single type;

Shown below are the prices for the EMS series of the single use, as a diagonal mirror with the non-reversed upright image at right angle viewing.  The binocular set is not a mere set of right and left handed EMS, but a special set that includes X-Y collimation device. For the prices of the binocular set, browse the following lists of “EMS for Binoculars”.

(Those who can make the efficient collimation devices by themselves can choose the left and right handed single-use EMS as the material of a bioscope, as the cheapest choice; but I do not recommend it, because the following specialized binocular set will offer a far better result.)

EMS-UMA 50,000 yen

Eyepiece: 31.7mm
Light path: 122mm
Joint to scope: 50.8mm
The image circle (modest number with much margin): 30mm
lateral shift of the light axis: 26.9mm
Weight(with adapter): 395g

EMS-UMB 51,500 yen

Eyepiece: 31.7mm and 50.8mm
Light path: 136mm
Joint to scope: 50.8mm
48mm dust filter
The image circle (modest number with much margin): 30mm
lateral shift of the light axis: 26.9mm
Weight(with adapter): 470g

EMS-UL 65,000 yen

Eyepiece: 50.8mm and 31.7mm
Light path: 148mm
Joint to scope: 50.8mm
48mm dust filter
The image circle (modest number with much margin):38mm
lateral shift of the light axis: 35.4mm
Weight(with 50.8 sleeve): 500g
42mm or larger field stop of ocular will give no visible trouble. I am using 32mm by 80degrees ocular without any visible vignetting.

EMS for Binoculars

The EMS-SET for binocular use is equipped with the innovative X-Y image shifter on the right unit, that promises you the easiest collimation to merge the two images into one even at the highest magnifications.
So, “Binocular Set” is far from mere “a Right and Left handed pair” of the EMS for single use.

X-Y knobs and the image shift

In planning to build your own Binoscope, your first task is to decide the “D” of your binoscope.
And then, you will have to choose the way of the IPD adjustment among the three choices below.

1: Fix the IPD to your own. (easiest and cheapest plan for the novice)
2: Introduce a sliding mechanism base for IPD adjustment. (DIY or commercial…)
3: Helicoid extension tubes in the EMS. (It will save your effort quite a lot.)

When you decide on the above factors, I will advise you of the best choice of the EMS-SET for your plan.

You can calculate the required back-focus of the OTA to accept the light path of
the EMS by the “D”. How to calculate the approximate light path of the EMS is shown in the linked file.

You will have to choose the OTA of enough back-focus or cut short your OTA to extend the back-focus for your need.
(Back-focus is the tail of the light cone out of the OTA.)

EMS-UXL Pair

EMS is the ultimate solution to form a binoscope in combination with the refractive telescopes.

EMS offers;

  • Non-reversed upright image;
  • Symmetrical lateral shift of the light axis;
  • Normal stereoscopic vision;
  • Right angled viewing position;

With the least possible number, two reflections by the high quality silver mirrors 3-dimensionally placed in the back-focus of a telescope.

X-Y image shifter

IPD Helicoid Option

There are two methods for adjusting the IPD

1: To slide one of the OTAs.
2: To set Helicoid extension tubes in each of the EMS Units.

Method-1 offers the IPD change with no focus shift, which is a merit. But it requires precision mechanics for the sliding mount, which means not only the weight gain but also the complicated mechanism.

Method-2 has the focus shift while adjusting the IPD, but actually, it is a minor issue, because the change of the user means the diopter readjustment regardless of the IPD change. The great merit of the Method-2 is the elimination of the additional mechanism such as the sliding mount, and the OTAs can be rigidly fixed with each other.

Generally speaking, the IPD-Helicoid is more suited to the larger Binoscope, and the sliding mount (Bino Platform) is more suited to the smaller Binoscope.

IPD can be adjusted with the OTAs perfectly fixed, by using the IPD Helicoid.

Small Helicoid A pair 40,000 yen

Compatible with EMS-UMA, UMB, UL
Stroke: 16mm
Default IPD range: 60 – 78mm
Helicoid light path: 22 – 38mm
Weight: 110g

Large Helicoid A pair 60,000 yen

Compatible with EMS-UXL, UXL Premium
Stroke: 16mm
Default IPD range: 60 – 78mm
Helicoid light path: 27 – 43mm
Weight: 138g

The screw of the right or the left Helicoid is made reversed to the counterpart, which enables the comfortable and ergonomic operation.

EMS for BINO Lineup

EMS-UMA (R+L pair) 120,000 yen

Eyepiece: 31.7mm
Joint to scope: 50.8mm
Equipped X-Y image shifter

EMS-UMB (R+L pair) 123,000 yen

Eyepiece: 31.7mm and 50.8mm
Joint to scope: 50.8mm
48mm dust filter
Equipped X-Y image shifter

EMS-UL (R+L pair) 150,000 yen

Eyepiece: 50.8mm
Joint to scope: 50.8mm
48mm dust filter
Equipped X-Y image shifter

Small Helicoid for IPD adjusting option: 20,000 yen each (A pair 40,000yen)

EMS-BINO

EMS-UXL (R+L pair) 250,000 yen

Eyepiece: 50.8mm
Joint to scope: 90mmφ
48mm dust filter
Equipped X-Y image shifter
Weight(with 50.8 sleeve): 810g X 2

Equipped Large Helicoid for IPD adjusting

EMS-UXL-Premium (R+L pair) 450,000 yen

(This is one example. I will quote each special order.)

Eyepiece: 50.8mm
Joint to scope: 150mmφ
48mm dust filter
Equipped X-Y image shifter
Equipped Large Helicoid for IPD adjusting
Largest Silver mirror 100X141mm


 

EMS-UL Pair
EMS-UXL Pair
EMS-UL & EMS-UXL

EMS-UL & EMS-UXL

EMS-UXL

 

EMS first mirror size

 

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”目からウロコ”のEMS-BINOの光軸調整講座

これからEMS-BINOのユーザーになられる方には必見の項目です。

  EMS-BINO完成品は、出荷前に十分に調整してお送りしています。(EMSの光軸は輸送の振動くらいでは狂いません。) にもかかわらず、像の盛大な倒れを訴える方が 非常に多くいらっしゃいます。 これは明らかに寄り眼調整が原因しています。
(まれに輸送中に鏡筒自体が少し横に振れてしまっている場合があるかも分かりませんが、この場合は、決してEMSの調整ノブを 操作しないで、鏡筒を振ることで光軸の相対的な平行をほぼ復元してから、最後にEMSで微調整してください。とにかく、最初の組み立て時にEMSの調整を盛大に操作 しないといけない場合は、何らかの異常が発生したものとお考えください。この 場合に、敢えてEMSの調整を大きく操作しますと前例のような問題が生じます。)

  また、初期組み立てと調整の練習は、必ず明るい昼間に、地上遠景で行ってください。初心者の方がいきなり星野を 見ながら像の倒れの調整等をするのはまず無理です。

  繰り返しになりますが、左右の像が合致していれば光軸が合っている とは限りません。
 ただ、私たちの情報の主要な入り口である、眼からの情報については、私たちは 頑固なまでに確信を持ってしまいます。 これが調整の袋小路に入る原因なのです。

  「左右の像が合致しているから自分の調整に誤りがあるはずはない、像が倒れているのは動かない現実だから、 絶対に器械の方が狂っている。」と結論付けてしまわれるのです。

  上記につきまして、この項を含めて当HP内で繰り返し解決方法をご説明しておりますので、なにとぞご精読くださいますよう、お願いいたします。
(2003年1月31日)(2月20日、一部追加)

 EMS-BINOで遠くのアンテナを見た状態です。左右の像が完璧に合致し、視野中心を見ている限り、左右の視野円の不一致も ほとんど気付きません。
  さて、果たしてこれで本当に左右の光軸が平行になっているでしょうか。
 次の方法でそれを確認することが出来ます。

このチェックは、目幅が完璧に合っていることが前提になります。初心者の方で目幅が合致した感覚が 分からない場合は、目幅を正確に測定してもらい(眼鏡店等で)、ノギスでBINOの目幅を正確に設定してください。 (目幅は正確には瞳の中心から中心までの距離ではありません。個人差はありますが、それより1mmくらいは小さくなります。 進化途上にある私たちの眼の光軸(眼軸)と視軸は数度ずれているからです。)
(2004,5月3日追加) 

左の射出瞳

右の射出瞳

 眼をアイポイントから徐々に離して行き、上の写真のように、対象物の像が左右それぞれの 射出瞳に占める相対位置がほぼ一致していれば、初めて、「十分な精度で左右の光軸の平行度が出ていた。」と言えます。 (この時、絶対に顔を横にシフトさせてはいけません。本能的に顔を動かして目標を探してしまえば、光軸が平行でなくても 上の写真のように見えてしまいます。左右別々にウィンクする時に顔をしかめる人はこのテストの適性が低いと言えます。)

(2008年12月16日追記)ターゲット(アンテナ)が近距離ですと、当然ながら無限遠の対象(星)とは適正 位置が異なりますので、最終的には無限遠の対象で追い込む必要があります。無限遠に調整したBINOでは、 有限距離のアンテナは、鏡筒間隔分だけ内にずれているのが正解です。ただ、見ている対象に対しては、この 方法による調整が正解です。

左の射出瞳

右の射出瞳

 現実には、特に初心者の場合は前の写真のような理想的な状態であることはまずなく、この写真のように、大抵、 相対的に内寄りにずれています。この程度でも調整できていれば優秀な方で、初心の方の場合は、片方の対象が 完全に射出瞳から外れている場合の方が多いでしょう。
  この写真程度のずれであれば、地上の昼間の風景の美しさに十分な感動を与え、月面等の明るい対象を見ている限りは 観察者は光軸のずれを全く自覚しないでしょう。 しかし、光刺激の小さい微光星になると、視野の全ての星が二重星に なっていたりするのですが、初心者の場合はそれにすら気付かず、「昼間の景色には感動するが、星野では、単眼との差があまり無かった。」というような とんでもない感想も出かねないのです。^^;
  眼をアイポイントより数十センチ離し、右のEMSの調整ノブで前の写真の状態にすれば、左右の光軸は完全に 平行になるのです。このマニュアルに従っていただければ、調整にはわずか数秒しかかかりません。決して主観に惑わされずに、 自分の考えを付け加えず、忠実にマニュアル通りに実行していただくことが肝腎です。

右の像を上下に極端にシフト

右の像を左右に極端にシフト

 左右の視線をほぼ平行に保っている限り、EMSの調整ノブの調整量はほんのわずかで済みます。
 左の写真はY調整(上下方向)、右の写真はX調整(左右方向)を敢えて盛大に操作した状態を示しています。左右の写真とも、中心の濃い像が左鏡筒の像だとお考えください。
 まず、右の(以下”右の”を省略)像を上に大きく移動させると、像は右に傾き、下に大きく移動させると左に傾きます。(左の写真)
  また、像を左に大きく移動させると、左に傾き、右に移動させると右に傾きます。(右の写真)
   これで、寄り眼調整がいかに有害であるかがご理解いただると思います。寄り眼調整は、単に観察者の眼を 疲れさせるだけでなく、左右の視野の相対的な倒れも発生させるのです。出荷時に私が入念に調整しているにもかかわらず、 視野の倒れを指摘される場合のほとんどの原因が、ここにあるのです。
  眼の極端な癖を介入させない限り、EMSの調整機構は、視野の回転が影響しない 安全圏の範囲で十分にその目的を果たします。

(左右の像の倒れを調整する際には、わざと光軸を上下にずらしますが、その時、上の写真の傾向を理解した上で、 上下にずらした時の倒れが均等になるように調整するのです。)

       像の倒れの調整方法は”15cmF8双眼望遠鏡の使い方”の
       ”EMSの接続アングルの調整方法”をご参照ください。


2007年4月6日追記

調整原点と調整ストロークの中心とは関係ありません。

  右のEMSのXY 調整用の調整ノブの使用法につきまして、数年前より以下でご説明してまいりましたが、 タイトルの誤解が、誤った調整につながる一因だと感じましたので、ご説明を追加することにいたしました。

 原理構造を無理解のままに最初から鏡筒を分解される方が意外に多く、安易に復元を試みられる場合に陥りやすい失敗として、 調整原点を調整ストロークの中心に合わせてしまわれることがあります。 この間違いを犯されますと、常に光軸が狂った状態で BINOをご使用になることになります。

 調整ネジは、組み付けネジを兼ねており、どんどん緩めて 行きますと、やがて脱落します。 また、製作工程上、調整原点の相対位置(言い換えますと、調整域リミットの両端位置)は一定ではなく、製品ごとに微妙に異なり、上下調整と左右の 調整との間でも異なります。 以下のご説明に従って、調整ノブを正しくご使用くださいますように、お願いいたします。


2009年12月14日追記

 訂正が遅れましたが、下記の調整原点の問題は本年の4月より、右のEMSの第一ユニットのX-Y調整ノブに 原点位置を示すことにより、解決しております。

 また、上記では、アンテナのポールの垂直線を規準にしてお話していますが、その後の研究で、むしろ水平線を 規準にした方が、左右の像を分離しやすく、像の倒れの把握に有利であることが分かって来ました。