「人類の至宝」の反響がなくて、ちょっとがっかりしていたところで、少なくとも2名の方から明確な 反応があった。
最初の方は、60歳代後半の、地元で会社を経営している方で、何と、該当文をプリントアウトして、「教えてくれ・・。」と訪ねて 来られた。この方は、体系的に数学を学習されてはいないが、好奇心と研究心の旺盛さにはいつも脱帽し、見習わせていただいている。 さすがに息子さんを東大に入れた(すでに卒業された)だけのことはあると、いつも納得。
ただ、複素数も三角関数も未経験の段階では、オイラーの公式を理解するのは無理なので、定性的な話をさせていただいた。
最初の方への回答の要約:
「 私たちが日常生活で直接接している数は、実数といって、直線上の1点に対応させることが出来ます。ゼロを中心にして、左側がマイナス、 右側がプラスです。実数だけを扱っても、いろんな仕事は出来ますが、上の数直線とゼロ点で直交するもう一つの軸(虚軸) を加えて、二次元平面上の1点で表すように定義した数を導入すると、一挙に世界が広がるのですが、この数のことを”複素数”というのです。
直線をよく理解するためには、自分が直線の世界に閉じこめられていたのではダメで、平面の世界に視点を置く必要があるのです。
また、平面の世界を理解するためには、自分の視点を3次元の世界に置く必要があります。 ですから、あり得ない虚の数をもて 遊ぶのではなく、実の世界をより良く理解するために、視点をより高い次元に置いて眺めることが極めて有効なのです。
オイラーの等式の凄いところは、e やπ や i が不可思議なのではなく、それらが1体となって、マイナス1という単純な数になる ところが驚異であり、美しいと言われる理由なのです。」・・・ますます混乱しました??^^;
2人目の方は、私の友人(東大卒^^;)でした。自分のブログに私のHPの「人類の至宝」のことを書いてくれ、「やはり理解できない、今度 鳥取に帰った時に教えてくれ・・」と 言うので、以下のように返信を入れておいた。(その返事はまだ来ていない。)
「 ***さんに小生が教えるなんて? おこがましくて・・・、 でもおだてに乗りやすい小生。・・・・・
e^iθ は直接手で触れて見ることが出来ません。透明人間が泳いでいるようなもの。 だから水しぶきを見るのです。
まず、θ=0のとき、e^0 = 1、これは良いですよね。
厳密なことは置いておいて、θにゼロ以外の数値を代入すると、e^iθ は複素平面上の1点を占めると予想できますよね。 残念ながら、e^iθ の値は直接求められないので、その点がθの変化につれてどう動くかを考えるわけです。
そこで、その点の速度を求めるために、e^iθ をθで微分すると、ie^iθ となり、これはe^iθに直角ですよね。 つまり、位置ベクトルに対して常に直角方向に動くわけです。
さらにθで微分すると加速度が求まるわけですが、これが何と、-e^iθ で、原点に向かっているではないですか。 これはまさしく円運動です。
それで、e^iθ =cosθ+ isinθ となるのです。θ=π を右辺に代入すると、マイナス1になりますね。 また、試しに右辺を微分すると、
-sinθ+icosθ = i(cosθ+ isinθ )で、元の式と直交していますよね。
さらに微分すると、-cosθ-isinθ=-(cosθ+ isinθ )ですから、元の式と逆向き(原点向き)ですよね。
・・・・くどい説明で失礼いたしました。」
実業高校しか出ていない私が東大出の友人に講義するとは、何ともおこがましい。 それにしても***君は謙虚な人だ。 夏にはまた 一献交わす魚が出来た。^^;
我ながら、私は本当にしつこい人間のようだ。 だから最近は娘にも敬遠されて、よっぽど困った時以外は私に質問しなくなった。^^; ;;
でも、感動したことについては、一人でも多くの人とその喜びを共有したいと思うのだ。^^; 分からない時も孤独、分かってしまっても孤独、 人間の宿命か。
Der Mensch ist ewig einsam. (←30年前、ドイツ語にかぶれていた頃のお気に入りの言葉。 間違っていたらご指摘ください。^^;)