FC100DL 10㎝ 2枚玉 フローライトアポです。
これからじっくり観察され、続報をいただくのが楽しみです。
光害はともかく、大変開けた視界に恵まれたベランダ観望の条件が整われ、羨ましい限りです。^^
Innovation of Astronomical Telescope
正立ミラーシステム(EMS)を開発した松本龍郎のサイト。 たった2回の反射で天体望遠鏡の像を正立像にします。
Tatsuro Matsumoto; Inventor of the EMS, Erecting Mirror System. EMS offers non reversed upright image with no additional undesirable abberations.
You can see the older posts at the Internet Archives, too.
###### ファーストインプレッション編 ######
安くてコンパクトなBINOが欲しい!というオーダーで松本さんに連絡した次第です。
完成品を実際に手にして、都内マンションの狭いベランダでも何とか運用できるサイズと重量であり、あまり口径を欲張らなくて正解だと感じました。
BINO本体 全長約47cm (フードを縮めた状態)
鏡筒+架台+その他アクセサリー 約6.4kg (三脚は含まず)
平行法による光軸調整について、ステレオ写真での練習をどう生かすのか、今ひとつイメージがわいていませんでした。松本さんに質問したところ、ご丁寧にメールで説明して下さり本当に助かりました。
【松本さんからのメール】
『うまく平行視線で融像しますと、両目で見て、中央に左右のアイピース(射出瞳)が融像した像があり、左に右眼で見えている左のアイピースが、右に左目で見えている右のアイピースがあります。つまり合計3つの像が見えることになります。』
なるほどと思いつつ、頂いたアドバイスのもと何度か試していくうちに、徐々に感覚が掴めてきました
XYノブの操作については、マニュアルやユーザーレポートを繰り返し読んで勉強しました。アイポイントから徐々に目を離して平行視していくと、輻輳で認識出来ていなかった分の左右のズレがどんどん現れてきます。特に明るい恒星でやってみると、左右に像が離れていくのがよく分かります。
(特に参考にしたページ http://www.page.sannet.ne.jp/mazmoto/tomiyama4-j.htm)
なお、このBINOは市販のアルカスイスパーツを多用したモデルですが、通常の望遠鏡に付いているアリガタアリミゾに比べて薄く、噛み合わせ部分が小さいです。一度鏡筒をT字プレートから取り外して再び組み立てるときは、鏡筒をしっかりプレートに押しつけるようにすれば光軸の再現性が保たれるというアドバイスを頂きました。
スラリとした中軸架台は、ずんぐりとした架台に見慣れた身としてはかなり新鮮です。極めて軽く、センターポールだけの状態だと約1.2kgです。クランプフリーにすると指一本で操作でき、気持ちのいいくらい 「スー、 ピタッ」が実現します。
これは考え抜かれた設計の賜物かと思いますし、松本さんのサイトでもBINO本体の重心と回転軸の一致は繰り返し言及されています。実際に使ってみて、凝ったベアリング機構などは必ずしも必要ないと感じました。
この架台の性能を最大限に引き出せるかどうかは、ユーザーによるバランス調整にかかっているようです。私の場合は、鏡筒に取り付けられたプレートにメモリシールを貼り付けて目安にしています。
調整がうまくいけば高倍率でも十分追尾出来ます。もちろん多少の振動が発生しますが、私はあまり気にせず普段の二重星観望に使っています。
美しいディフラクションリングをまとった恒星像を、しかも両目で楽しめるのは自分にとって最高に嬉しいことです。プリズムが多用された対空双眼鏡にありがちな歪んだ星像とは全く違います。
プリズムが使われた双眼鏡か、それとも裏像の単眼かという二者択一を打ち破るEMS BINOは本当に素晴らしいです。従来の機材につきまとうストレスを何ら感じなくていい訳です。また、見口がしっかりしたアイピースを使えば、VRゴーグルの「没入感」に似たものを味わえます。何と贅沢なんでしょうか…‼
自分のような天文初心者の若造にEMS BINOは早すぎるのでは…?!と悩みに悩んだ末の注文でした。貧乏サラリーマンには高価な買い物でしたが、いやー今では全く後悔していません(笑)。大満足です。
このBINOを製作して下さった松本さんに感謝を申し上げます。どうぞお体に気をつけて頑張って下さい。松本さんにしか出来ないモノづくりを今後も期待しています。
Comment by Matsumoto / 管理者のコメント(1/2)
Tさんが非常に簡潔、的確に製作者の意図の全てを代弁してくださった感じで、付け加えることはほとんどありません。
Tさんには、2017年の12月後半に当方で完成したばかりのBINOとご対面いただき、後日宅配でお届けしました。
###### 和歌山遠征編 ######
先日、天文マニアに大人気の和歌山県某所へ出撃したのでご報告します。白浜で子どもにパンダを見せる「ついで」の旅ですので、色々制約がありましたが充実した初遠征となりました。
BINOを解体して荷造りしたところ、それほど大きくない箱に三脚以外のものが全て入ってしまいました。写真では、箱のサイズが伝わればいいと思いA4ファイルと比べてみましたが…どうでしょうか(*_*;)。
なお、安全のため更にもうひと回り大きな箱に入れて二重にしましたが、それでも非常にコンパクトです。軽自動車のトランクに余裕で収まります。
いくつか印象に残ったものを抜粋します。
【おとめ座 マルカリアンチェーン】
もやっと見えるひとつひとつのシミが何千億個の星の集団かと思うと、宇宙があまりに巨大であることに背中がゾクゾクしました。他人が撮った写真は散々見たことがありましたが、自分で機材を操作して覗いてみて初めて「本当にそこに存在したんだ!」と感じた次第です。
【しし座 M65 M66 NGC3628 三つ子銀河 】
【おおぐま座 M81 M82 ペア銀河】
メジャーな銀河なら小口径でも非常に見応えあります。出来ればより大きな反射式とサイドバイサイドで比較したいところですが、自分には到底機材を揃えられません。そこで、市販の天体スケッチ集を開いて口径別の見え方を確認しています。8cm屈折スケッチと比べてみて、このBINOは明らかにそのワンランク上をいくイメージか、中口径反射で描かれたものに見劣りしないかも!という印象を受けました。
【ケンタウルス座 オメガ星団】
こんなもの日本で見えるのか半信半疑でしたが、南紀の澄み切った冬空の中、しっかりと浮かび上がった姿を確認できました。導入した瞬間、眼前に迫る光に思わず声をあげました。やはり双眼だと、対象がまさにそこにあるという感覚が強いです。写真のようには見えないはずなのに、これはこれで不思議と満足感があります。
時折強風の吹き荒れる海辺でしたのであまりに寒く、観測以外のところでもたつくのは命取りでした。松本さんの導入支援システムは大変便利で、次から次へと対象を視野に入れられてスムーズに進められました。仮にうっかり三脚の位置をずらしてしまったとしても、RESTART ALIGNで近くの輝星を一つ設定すればあっという間に復帰出来ます。
この架台は、どんな天体でもまあ試しに見てみるかという気にさせてくれます。全く億劫にならないのです。そして実際に覗いてみて、やはり小口径には厳しいなと思ったり、いや意外と見えるぞと発見したり。その意味で、自分の鏡筒で見える天体の限界が何なのか初めて分かるようになりました。これまで手にしてきたものは、結局真の実力を試してやれなかったと思います。全く松本さんのシステムのお陰です。
もともと自分は四国の山育ちなので、光害の無い空は見慣れているつもりでした。しかし、もっと宇宙は深く巨大であるとはじめて感じて、これまでで一番幸せな観望となりました。今後、こういった軽量BINOシステムが更に世に広まり、眼視観望の喜びを味わえる人が増えることを願います。
Comment by Matsumoto / 管理者のコメント(2/2)
EMS-BINOの特長を実に簡潔に網羅しておられ、久しぶりに溜飲が下がる思いで読ませていただきました。
光軸調製についてのコメントもお見事で、ご自身が理想的な方法をマスターされていることが読み取れます。
もちろん、ハード的な部分も重要ではありますが、『観察者がアンダーとオーバーが識別できること』の方がはるかに重要なのです。
ピント合わせが可能なのは、観察者がピント位置のアンダーとオーバーが明確に認識できるからであり、初心者の方にピント合わせを託すと、大抵は、恐る恐る調製ノブを超スローで回すので、ピントの山が全く掴めないように、光軸調整のキモが理解できていない方は、迷いのない調製が出来ません。その辺のことを、製作者以上に簡潔に分かりやすくご説明いただいたことに、驚きと興奮を禁じ得ません。
AAS-2(傾斜センサー)も使いこなしてくださっているようで、大変嬉しく読ませていただきました。通常の架台であれば、水平、垂直軸にエンコーダをセットすれば良い話ですが、中軸架台のメカを極限までシンプルにするためには、傾斜センサーは必須のアイテムでした。
Tさん、この度は非常に素晴らしいリポートをありがとうございました。
季節が巡りましたら、また続報をよろしくお願いします。^^
Dear Tatsuro,
The WSP at Chiefland (instead of usual, but destroyed by hurricane Key West place) was quite short by timing due to weather conditions.
In 3 night we had only two to observe and in those two – only before 10PM (so, total appr. 5 hours of whole trip), after that, the fog was coming and staying until next morning.
And this fog did not give us any planets )-:
But it was enough for testing the 140Bino, it works great on deep sky and on it it was appr. equal to APO200ED that was near by, but the 140 bino had wider field.
Adjusting optical axis for me was not difficult and flawless, but not as easy for other people, since it takes time to set up for each personl, but when set up was done the impression was like” “wau, now I see what these binoculars about!”.
Regards, Yuri
Attached please find a few pics:
I am using Mitutoyo 100mm block for checking the bino after long trip on the road (~3000km), same block is used as a “gage” for setup of my IPD.
Best regards, Yuri
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Mr.Yuri Petrunin sent me the hot report of WSP2018 with the TEC140-BINO on TTS-160.
I would like to extend my biggest applaud on his feat of his new binoscope. Thank you very much for the follow-up report with the fabulous photos, and I will be looking forward to seeing your following reports.
経営者自らが実際にBINOを組み立ててみる、使ってみる。大切な姿勢であり、頭が下がります。その度に引き合いに出すのも何ですが、その裏には、そうでない業者さんが多いという実情があります。
I love the little FOA-60, great performance⋯ now double the good 🙂 ~ EMS make it all possible.
Thank you for every advice driving the project to complete!!
Ted W. , Taiwan
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Congratulations on the completion of your another Binoscope !
I am very happy to have another Binoscope Expert in Taiwan.
今回もEMS-UMのみのご提供です。鏡筒を無改造でBINOを実現するために、バレルは標準より短い12mmのタイプを、接眼スリーブはEMS-UL用の2インチスリーブセットを採用することで、限られたバックフォーカスを最大限に利用しながら最大視野の確保に成功しました。
計画段階から、根気よく取り組まれた成果です。 お見事!!
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Fabulous photos of completion of the LZOS 152-BINO have arrived.
I would like to give the biggest applaud on the attitude of the CEO of the Telescope Maker himself taking the active part in making Binoscopes, and very eager to study the concerning affairs.
The frame-work looks very simple and light, but very rigid. The large trunnions will promise the smooth and steady operations.
Prost !
Here is the APO140BINO based on two customer’s telescopes sold an year ago. I hope to get a permission to test the unit on Winter Star Party in 12 days…
Yuri Petrunin, USA
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Congratulations on the completion of TEC140-BINO, Yuri !
TTS160のアームマウントの天面よりも2本の鏡筒が意図的に沈めてあるのが、写真から読み取れます。施工者の卓越した技量とセンスが見えます。
(まさにマイナスプロファイルの接続で重心を少しでも低くしようとする配慮が見えます。)
前回も動画をご紹介しているTTS-160マウントですが、実にユニークで美しい構造をしています。架台本体には、無駄な出っ張りが皆無。垂直回転軸が全く外に出ない構造。 どうして経緯台として機能するか? 軸が凹(テーパ穴)になっている。
アーム側から軸にテーパーシャンクを圧入して使用する。旋盤のテールストックと同じ原理。 驚くばかり。価格も見事だけど、それに上回る魅力がある架台だ。当方も1台発注したので、届いたら詳細を公開します。
昨日実際に星空をNexstar8SEの架台でBORG 90FL-BINOを見てみました。
軽量中軸架台も自由でいいのですが、自動導入を使うと視野に対象の星雲星団が次々に来るので楽しくなりました。
最初の自動導入の設定がうまく行けば、あとは見たい物がどんどん視野に入ってきます。
少々ずれても1度以内ならSky-Safariで簡単にアラインメントできました。
海外に持っていくなら、もちろん軽量中軸架台と高度角センサー(AAS-2)ですが、国内で車で移動できるならNexstar8SEの架台かな、と思いました。 今回は星雲、星団中心で高倍率を試すことがありませんでしたが、 惑星や月が見れるタイミングで今度は高倍率を試してみたいと思います。
今回のNexstar8SEの架台と同時にBORGの直進ヘリコイドS(7315)も導入しました。
今までは軽量化した構造のため焦点の調整が面倒でしたが、接眼ヘリコイドの導入で(同焦点化したため)アイピースの交換が格段に便利になりました。 また2インチアイピースも同焦点化リングをお作りいただいたので、全てのアイピースの同焦点化が楽に達成できました。
今後ともこのBINOを愛用して行きたいと思います。
東京都 A
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さっそく続報の動画を送ってくださいました。
Nexstar-8SE →Skyfi-3(WIFI-AD) →SkySafari on iPadで、従来とは一味違う”Goto”(自動導入)を実現されました。
このシステムは、Hα太陽観測にも理想的だと思われるので、私もいずれトライしてみようと思います。(もともと、この90FL-BINOは太陽観察兼用として開発しました。)
今回、Nexstar-8SE-MOUNTとの共用のためにご提供したパーツはこのL型ブラケットのみです。このブラケットだけで、軽量中軸架台(PushTo)とこのNexstar-8SE-MOUNT(Goto)との往復使用が、光軸の再現性を維持したまま可能になったわけです。
Urgent report of the successful setting on the Nexstar SE Mount.
The collimation was kept from the center mount, and had enough margin at zenith.
The next report will follow after doing the First Light.
Mr.A in Saitama
まずはNexstarマウントへの換装成功の報告です。
地上を見る限り、軽量中軸架台からの換装も光軸を再現していました。
懸念していた天頂も写真の通り、十分余裕がありました。ファーストライト後に続報を送ります。 東京都 A
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Lブラケットのみお作りしました。他のパーツは全て、90FL-BINO on Center Mount(軽量中軸架台)との共用です。構造上、両架台間の移動による光軸の再現性は完璧だと自負していましたが、ユーザーさんによって証明されました。
Lブラケットはこの例のように、中軸架台と同じ向きにセットすることも出来ますし、天地逆(これが一般的な向きですが)にして、鏡筒を水平アリガタに上乗せすることも出来ます。ただし、その場合は、左右の鏡筒を交換しないと、光軸が再現しない可能性があります。いずれにしても、これが最もシンプルな道具立てだと思います。
Dear Tatsuro,
Dear Matt,
絶好!
観まくりましたぁーっ!
AAS2+SKY-SAFARIのセットアップ、Wi-Fiを繋げるだけで一発でした。
お店までお邪魔した甲斐がありました。(もちろん全てのセッティングの仕方をご教授いただき、お話しできた事が大収穫でした。) 東京都 O (2017,12/22)
Comment by Matsumoto / 管理者のコメント
Congratulations on your great success of your first watching through the APM140-BINO!
APM140-BINOでのファーストライトご成功、おめでとうございます。
すでに15cmF5を使いこなしておられたこともありますが、初めてのセッティングも難なくこなされ、お見事でした。^^
(FACEBOOKの方に先にご投稿いただいていたのですが、こちらでもご紹介いただくようにお願いしました。ご快諾いただき、ありがとうございました。)