The focusing rod for the coarse and fine adjustment/ 粗動、微動兼用シャフトと微動送りネジ(15cmF5-BINO)

通常のM10ネジだと、ピッチが1.5mmで、送り(1回転で進む距離)も1.5mm。これは、フォーカシングには少し遅すぎてピントの山がつかめません。二条ネジにすることで、送り(リード)を2倍にすることが出来ます。(写真は二条ネジダイス)

なぜ、金属ネジではなく、ポリアセタール(ジュラコン)か?ということですが、いくつかの利点があるからです。
1.ステンレスシャフトとの滑性が非常に良い。(摩擦が少ない)
  結果として、グリスも省ける。
2. 1とも関連しますが、金属同士よりも摩耗が少ない。
3.加工性が良い。工具への負担が非常に小さく。加工の能率が良い。

・・・ということで、良いことづくめなのです。^^

使い方は写真の通り。↑
粗動クランプと微動のからくり、写真をよくご覧いただくとご理解いただけるかと思います。

 バックフォーカスの追加確保、F5の大口径に対応する内径、必要項目を一挙に解決する方法です。

 それとも、鏡筒3本分の余分な投資をして、3.5インチクラスのフォーカサーを2本買い、光路長確保のために鏡筒を切断加工しますか?

EMS-UMB for the single use in the making

EMS-UMは、光路長最短でハウジングを連結するために、写真のように、メス接続になっています。
(第1ハウジングのテーパボスが第2ハウジングに嵌入する。目幅ヘリコイドも同様にメス接続することが多いので、BINO計画者の方も、自分事として、この辺をよくご理解いただくのが良いと思います。ユーザー様単位で、後付けで目幅ヘリコイドを挿入するのは、よほどの加工技量がない限り非常に困難です。)

Focuser Precessing -2 (15cmF5-BINO)

Rod-shaft holder base is set.

 試作当初は、よりシンプルなチャックタイプの同軸クランプを採用しましたが、固定力が足りなかった(微動時にスリップする)ため、この方式に変更しました。
 直接クランプするのはロッドですが、結果的にドローチューブの粗動伸縮を阻止します。クランプの力がドローチューブの軸に影響しない構造になっています。

 ”ドイツ式赤道儀にブランドの屈折鏡筒、そして接眼部には裏像の天頂プリズム”という、望遠鏡のステレオタイプが、ほとんどのマニアの脳裏に焼き付いていますね。

 そして、フォーカサーは重厚なラックピニオン。3.5インチクラスの重厚なフォーカサーは軽く15㎝アクロ屈折1本の価格を超える。剛の論理だけで口うるさいマニアに媚びて行った結果が、皆重厚なモンスターになっている。(重厚なフォーカサー、重い屈折鏡筒。)
 こうして、独創的なフォーカサーを受け入れてくれるBINO依頼者には感謝しかない。
 EMS-BINO自体が、剛の論理から卒業し、柔の手段に目を開いたことで実現したものです。

Focuser Processing of 15cmF5-BINO

 短期の入院等があって、15cmF5-BINOの製作が一時滞って申し訳ございません。
同BINOのフォーカサーは、外部パーツ(フォーカサー)をそのまま移植するのではなく、鏡筒フランジ自体をフォーカサーの外筒ハウジングとして利用するもので、失敗すると替えの部品がないので、慎重に作業しないといけません。施工個所はさほど多くないものの、穴位置は互いに関連しており、結構混乱します。

フランジ自体の加工はこれでほぼ完了で、一段落です。
外径100(内径90)のパイプがドローチューブになります。

完成形はこんな感じです。(前回作、今年4月)
足し算ではなく、引き算の発想なので、追加重量はほぼ相殺されます。

Caster setting on the VIXEN tripod

外部部品のキャスターの穴径=25mmに対して、三脚末端径=29mmということで、対策を承りました。

ネジが意外に太かった。(M16 P=2) 手持ちのタップはM12までだ。
旋盤加工になるが、通常使っているバイトが穴径に入らない。

そこで、昔使っていた卓上ミニ旋盤用の小さい内ネジ切りバイトを使ったが、かなりの時間を費やした。

ネジの緩み防止のために接着したので、しばし待機。

完成!