
先日、9歳の天才少年が考えたクイズを、親御さんがFACEBOOKに投稿しておられた問題からの、応用問題を作ってみました。^^

いろんなアプローチがあると思いますが、出題者の意図は、上図の通りです。
”三角形の一つの角の外角=他の2つの角の和”; 近軸幾何光学で頻出するんです。
Innovation of Astronomical Telescope
正立ミラーシステム(EMS)を開発した松本龍郎のサイト。 たった2回の反射で天体望遠鏡の像を正立像にします。
Tatsuro Matsumoto; Inventor of the EMS, Erecting Mirror System. EMS offers non reversed upright image with no additional undesirable abberations.
日英併記としましたのは、海外向けの他、国内の方にも、より多い情報量を効率良くお届けしたい(共有したい)からです。
両者は必ずしも同一内容ではございません。英語の方がよりストレートに表現できる場合もありますし、両言語で内容を補完し合っていることもございます。
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上の図が、一般的な近軸結像公式です。すでに中学校で習っておられるはずですが、物点位置、像点位置に符号(±)を考慮した一般式になっています。レンズより左は(-)、右は(+)です。
一般的な近軸結像公式は、s (物点距離)、s’ (像点距離)、f (焦点距離)の3つのパラメーターの関係式で、その内の1つが分からない時に、その数値を求めることが出来ます。
下の図は、距離の代わりに、光線の特定位置(この場合はレンズ上の光軸からの高さ)に於ける光線の角度(h/sで定義された角度)を使用します。もともと両者は同じ数式を変形したものであり、下の図の方法は、計算の効率を上げるのに有効です。
h が加わることで、パラメーターが4つになったようで、混乱されるかも分かりませんが、hは、αを定義する時にすでに設定しているわけですから、心配無用です。途中で尺度を変更しない限り、初期値は任意の数値を設定すれば良いのです。この h が後で、凄い役割を発揮するのですが、実際に運用して見られたら分かります。
逆視のニュートン反射双眼が一般的なので、屈折式で逆視がいけないという法律はありません。^^;
屈折式の場合、2回反射で図の構成が実現し、裏像になりません。 また、倒立像でも、左右の眼が交代しているので、立体視も破綻しません。(遠近が逆にならない。)
観察者が観察用ゴンドラに乗るか、フロアが水平回転軸と連動して回転するターンテーブルになっているか、そうした超巨大なシステムに適した方法かと思います。
鏡筒の真下に広い空間がないと窮屈ですが、据え付け架台ならどうにでもなりますね。
予算がふんだんに使える巨大BINOプランであれば、巨大なEMSを用意すれば済むことですが、この方法は、既存のパーツや技術が利用できる利点があります。
一つ残念なのは、ミラーシステムの回転による目幅調整が出来ませんけどね。これは光学の原理の問題なので仕方ありません。
2枚鏡システムをロンボイドプリズム(菱形プリズム)風に構成して直視で見る方法が一般的ですが、巨大なシステムでそれをやると、仰角の変化による見口の高さの変化が著しいのと、遠近感が逆転するのが致命的ですね。巨大BINOの圧倒的な利点ですからね、立体感は。
180度俯視(逆視)の場合は、人間工学的に、見口の高さの変化に対応しやすいですからね。
x-y-z 座標の3平面を全部ミラーにしたらどうなるか?
入射光線ベクトル (a, b, c) は (-a, -b, -c)となって、180度元来た方向に折り返します。
これの巨大なのを月面に据えて、地球から強力なレーザーを照射すれば、往復時間から距離が測れます。盾に使えば、レーザー攻撃を相手に返せます。
立方体の角を切り取った構成になるので、これを”コーナーキューブ”と言います。
まだ実例はないけど、双眼望遠鏡に適用できることを随分前にも提案しました。
2枚鏡(book型)の場合、自分の顔を写してミラーシステム全体を視線の回りに回転させると、像は2倍角で回転しますが、コーナーキューブは、全系を回転させても像は全く回転しません。奇数回(3回)反射なので裏像になりますが、逆にそれが功を奏すのです。
2+3 がコーナーキューブになるわけですが、天頂ミラー+EMS(もしくはAMICIプリズム)で代用できるわけです。上の図では、3つ目の素子で2回反射するので、合計4回反射になります。
反射回数は増えます(と言っても、通常の双眼鏡と同じですが)が、目幅シフトを稼ぎやすく、光路長が変化しない、回転による目幅調整が可能になるため、より巨大なシステムに適しています。
EMSやAMICIのような光学的にデリケートな素子は小さく、眼の直近に配置でき、対物寄りのミラーは、通常の45度入射の一般的なミラーが転用できるため、コスト的に非常に有利になります。
さらに、重いアイピースによる重心のアップが、90度対空型での懸念材料になっていましたが、このシステムはアイピースによる重心移動を緩和もしくはキャンセルする効果もあります。
主点の意味を理解したり、その位置を推定するのには、平行平板の振る舞いを見るのが有効です。
一番上が平行平板を通る光線です。前面と後面が全て平行なので、入射光線は食い違いながらも平行に射出します。赤い点が物側主点、青い点が像側主点になるのは、全て共通です。
次に平凸(凸平)レンズを考えてみます。前面の頂点の接平面と後面は平行なので、上の平行平板と同様に考察できます。
最後に、メニスカスレンズを考えてみます。
どこかに平行平板が隠れていないか?ということです。1-C1 と 2-C2が平行になるような光線が必ずあるはずで、それを図示したのが、一番下の図です。(C1,C2はそれぞれ、前面、後面の球心です。)1-C1 と 2-C2が平行ということは、1と2の接平面同士も平行ということになり、平行平板と全く同じように光線が振舞うことが明らかです。
赤い線と青い線は、それぞれ、物側主面と像側主面であり、物側主面に高さhに向けて入射する光線は、像側主面の同じ高さhから射出することが分かっています。
この2面のことを、「横倍率=+1 の共役面」と言います。倍率というと、どうしても、実際の物と像の結像を類推してしまうと思いますが、単凸レンズによる物と像が同じ大きさになる場合は、倍率=1ではなく、-1(倒立)になり、横倍率=+1 倍になる主面同士の関係とは異なります。
厳密には、図は節点(角倍率=+1となる共役点)の説明なのですが、空気中のレンズでは、主点と節点が同じになるので、節点でご説明した次第です。
「さっぱり分からん!」という言葉に潜む傲慢さに気付いて欲しい。
それが、分かろうと努力する動機につながるのであれば、傲慢とは逆なんだけど、その裏には、「自分は長年この分野にかかわって来たから、最低限のことは理解しているが、説明がまずいから理解できない。」とか、「そんなことは知らなくても、何の不利益もない。知る必要もない。」と思っている方が結構おられる気がする。
”焦点”とか、”F値”とか、”入射角”とか、もはや空気のようになっている基礎的部分で誤解しているから先に進めない!ということに早く気付く方は幸いだ。しかし、業者さんや、古参マニアになるほど、基礎的な用語への信念は頑なで、決して疑問に思われることがない。
「大きなお世話だ!」とお怒りの言葉が聞こえる気がするけど、この仕事を35年続けて来て、引退を数年後に控えた今、何としてもそこに一石を投じたくて仕方がなくなったわけです。それは、社会貢献というよりも、価値観を共有できる人を少しでも増やしたいという、自分の欲求が優っているかも知れませんが。
今日は、基礎光学の前提とも言うべき、”入射角”について取り上げました。
誤解している方があまりにも多いからです。
過去2回に渡って、像の向きの反転の様子を視覚的にご説明しましたが、今回は数学的に検証する方法をお示しします。
まず、目標 AB と2枚鏡(説明略)を上の図のように配置します。座標軸 x-y-z をご確認ください。
AB→ の2枚鏡による像が下の図の A’B’→ のようになっていれば、物の向きが完全反転(上下左右反転)していることになります。90度対空なので、観察者はy軸の正の方向から負の方向を覗くことになります。偶数回反射なので、裏像にはならないため、天地方向の反転を示せば、上下左右の反転を証明したことになります。
2回反射後の像が本当に A’B’→ のようになっているかどうかを、検証してみましょう。
上の図の座標軸のままですと、計算が複雑になるので、座標軸を都合の良い位置に回転させます。最終的に、下の図の x’-y’-z’ のように座標軸を回転させると、(新座標軸での)AB→ の成分 (a, b, c) が、2回反射後に (-a, -b, c) のように、x座標とy座標だけが符合を反転するだけになります。
具体的には、まず x 軸の回りに-45度(時計回り)座標軸(全体)を回転させ、次にz軸の回りに+45度(反時計回り)座標軸を回転させると、下の図の x’-y’-z’ となります。この作業は、x’z’平面が第1ミラー、y’z’平面が第2ミラーと一致するためのものです。
反転作業が終わったら、座標軸を元にもどすと、元の座標系での A’B’→ が求まるわけです。
座標軸は動かしても、物は元の位置のままであることをご認識ください。お宅の南向きの窓から見た鉄塔が左斜め45度にあったのが、西向きの窓から見たら右斜め45度に見えた、というのと同じことです。物差しの当て方を変えるだけで、測定が極めて楽になるという話です。
次回以降に、実際の行列計算を辿ってみることにします。
矢継ぎ早になりますが、実際に計算を辿ってみましょう。
まず、座標軸の回転について、高校時代にやられたのを復習しましょう。
x-y 座標で原点の回りに、x 軸を y 軸の方向にθ 回転させる変換行列は、
cos θ sin θ
-sinθ cos θ
ですが、x-y-z 座標で表しますと、z 座標は元のままなので、
cos θ sin θ 0
-sinθ cos θ 0
0 0 1
となります。x 軸、y 軸の回りに回転させる時も、同様のやり方になります。
これが、上の図の座標軸 x-y-z を、x’- y’- z’ に変換する行列になります。
新しい座標軸 x’- y’- z’ では、AB→の元の方向ベクトル (0,2,0) が (1,1,√2) になります。
これが、図の2回反射後には、新しい座標軸で (-1,-1√2) になるわけです。
これが、x’-y’-z’ 座標での2回反射による変換行列です。
(-1,-1√2)が元の座標軸でどうなっているか、座標軸を元に戻して見ましょう。
座標軸を元に戻す行列は、前回の操作の逆をたどることになります。
回転の順序が極めて重要で、順番を間違うと全く違う結果になってしまいます。
この行列を使って、さきほど求めたAB→の2回反射後のA’B’→のx’- y’- z’ 座標での(-1,-1√2) が元の座標ではどうなるか、見てみましょう。
どうでしょう? ちゃんと予想した通りになりましたね。
因みに、x-y-z を、x’- y’- z’ に変換した行列と、それを元に戻した行列は互いに逆行列になっています。
試しに、両者を掛けてみてください。単位行列になることが分かります。