正立ミラーシステム(EMS)を開発した松本龍郎のサイト。 たった2回の反射で天体望遠鏡の像を正立像にします。
Tatsuro Matsumoto; Inventor of the EMS, Erecting Mirror System. EMS offers non reversed upright image with no additional undesirable abberations.
カテゴリー: BINO Progress Report | 製作状況速報
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理解しやすくするために、両主点位置をレンズ系の外に作図しました。たとえば、H1が実際にはレンズ系第一面より右側に存在する場合は、t>0 となり、同様にH2がレンズ系最終面よりも左側にあれば、t’ <0 となるだけです。 また、移行マトリックスは左→右向きの距離を正(+)と定義します。 まとめますと、レンズ系のシステムマトリックスを A D B C 、とし、 物側主点の位置は、レンズ系の第一面を基点として定義 ( t ) することとし、像側主点は、レンズ系最終面を基点として定義 ( t’ )することとします。 従って、tが第一面から物側主点までの距離、t’が最終面から像側主点までの距離で、符号は上図と解説に従います。
解説 ↑; H1 – H2 の 横倍率=+1の 物像マトリックス を計算します。 結果は何と! 1 D 0 1 、 という、超シンプルな行列になりました。(右上の要素のDは常にレンズ系のパワー) 両主面は、横倍率=+1の共役面ですから、左上と右下の要素は常に1,物像関係なので、左下の要素は常に0。(計算不要) 最終的に整理する直前の行列と比較し、 A + Dt = 1, C – Dt’ = 1, から、 t = (1-A)/D , t’ = (C-1)/D, となるわけです。 マトリックスの方法が、いかに近軸解析に奏功するか! ご理解いただけましたでしょうか?
補足; 一般に、物像マトリックスは、 1/M D 0 M 、 (Mは横倍率) で、物と像が両主面の場合は、M= +1 となる訳です。
I am terribly sorry for the delay of the back-orders from June to March of this year. I am taking a short holiday from the hospital now, and having the hectic days to make the EMS as much as possible. But I have to return to the Hospital to take the third period of the anti-cancer treatment on the June-6th, and above will be the limit of making before 6/5.
A D B C は、S 面(物面)上の任意の点 P ~ S’ 面(像面)上の点 P’ までのシステムマトリックスで、多数の構成要素の行列を掛け合わせた結果として得られるものですが、これを物像マトリックスと言います。マトリックスでもかなりの計算量にはなりますが、上図の理由で、B = 常に0であり、C も常にこの結像系の横倍率であること、さらには、行列式=常に1であることを知れば、計算は大幅に省けるのです。 ”∵h’=Ch “ は、物像関係だから言えることで、h’/h は横倍率なので、C は常に定数でないとおかしいのです。B に任意の数が発生するとそれが破綻しますから、B = 常に0なんです。 それから、D=常に光学系の合成パワー(φ=1/f) となっていることも忘れてはいけません。どんなに長く要素を連ねた光学系であっても、システムマトリックスの右上の要素が常に合成系のパワーだなんて、興奮しませんか?
D1~D5までの構成要素の行列を積算すると、この光学系全体のシステムマトリックスが算出できますが、それからさらに基点が S 面と S’ 面になるように両サイドに移行マトリックスを掛けると、SーS’ 面間のシステムマトリックスが求まり。S面上の任意(Meridional面限定)の点 P が S’ 面のどこに達するかが分かるわけです。 恐らく、初心の方は、近軸前提の理論なのに、光軸からの高さを扱うのは矛盾していないか?と思われるはずです(私もそうでした。)が、高さは相対的な意義がある(図のスケールを真に受ける必要はなく、単位はmmだろうと、ミクロンだろうと関係ない)し、無収差の光学系と仮定すれば良いわけで、主点や結像点の位置のみならず、光学系の絞りの位置や口径を考察するのに、この二元数表記が奏功するわけです。 光学系の設計の最初のたたき台としての”骨格”を決定するための、極めて有効で利用価値の高いツールなのです。