Diopter Adjuster for the EMS / 視度調整付2インチスリーブ

 直進(否回転)ヘリコイドの場合、外径=59mmだと、内径は38mmくらいが限界です。逆に、2インチ貫通にこだわると、外径は70mmくらいになってしまいます。
 直進を諦めて回転ヘリコイドで妥協しても、最大外径≧63mmくらいになります。たまたま、目的ぴったりのリーズナブルなヘリコイドを見付けましたが、供給の継続性が保証されないので、限定的に作ってみたものです。

 6個だけ限定(BINOの場合は2個必要/ @税別¥18,000)で作ってみることにしました。
 最小内径38mmで、2インチ挿入長=33mmですが、Naglar等の31.7段付きバレルの先端もフィルターをセットする余裕があります。
 全高の制限から、ヘリコイドのストロークは8mm程度で、敢えてフォーカサーと名乗らず、視度調整付2インチスリーブ(Diopter Adjuster)としました。
 ”眼視目的に限った場合、無限遠の対象しか見ない天体望遠鏡に大掛かりなフォーカサーが必要なのか?”という問題提起の根拠を示したつもりです。
 望遠鏡側には、回転しない摺動ロック機構、アイピースには同焦点リングを使用すると、よりこの視度調整スリーブの本領が発揮されます。
(EMS-ULですと、視野環径を少し妥協することになりますが、EMS-UMですとベストマッチかと思います。)

Another EMS-UL SET in the making

 目幅調整用ヘリコイドは、縮退長=わずか22mmでストロークが16mmもあります。縮退長22mmを実現するために、両端部をテーパフランジ構造にしてEMSのハウジングに嵌入するようにしています。
 ハウジングの端部の3方のセットビスで固定しますが、そのビスを必要以上に強く締め付けると、ヘリコイドの構成リングを一時変形させることになり、回転が渋くなります。(これに限らず、ネジの締め付けはほどほどに・・・)

Shorter 2″ sleeve

The shorter 2″ sleeve is one of the solutions of the lack of back-focus for your set up.
 EMSは実は基礎光路長が極めて短く、さらに接眼スリーブ類が根元から着脱、交換できる構造のため、たとえ標準状態でピントが出ないことがあっても、ほとんどのケースで対処できます。
 2”スリーブの短縮は、数ある(バックフォーカス不足の)解決策の中でも、安直で理解しやすい方法です。
 さらに、EMSのスリーブ類は、2インチの雄フランジであるフィルターリングに被せる構造なので、2インチ挿入ではなく、内径2インチのキャップ構造で装着物をセットすることも可能です。”接眼部はオス部品を差し込むもの”という固定観念を捨てると、圧倒的な解決策が見つかることもあります。
 これは、一つの安直な解決策に過ぎません。
 たとえば、正のアイピース(2インチバレル内にスマイスレンズ系等が内蔵されておらず、中空のアイピース)であれば、本来の2”バレルを撤去し、そこに内径2インチの短い被せスリーブをセットしてEMSの接眼フランジに直接セットすれば、超絶な光路長節約も可能です。 実際、それに類似した発想で、以前に、APM120双眼鏡にMASUYAMA32mmをセットするアダプターを製作したことがありました。
 概して、マニアさん、ピントが出ない時に狼狽し過ぎです。マツモトに頼めば、ほぼなんでも解決するので、ご安心あれ。