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Innovation of Astronomical Telescope
正立ミラーシステム(EMS)を開発した松本龍郎のサイト。 たった2回の反射で天体望遠鏡の像を正立像にします。
Tatsuro Matsumoto; Inventor of the EMS, Erecting Mirror System. EMS offers non reversed upright image with no additional undesirable abberations.
微動ストロークが20mmあるので、粗摺動は鏡筒長の初期設定用とお考えいただければ良いかと思います。
ロッドクランプを天から60度(2時の方向)にし、ファインダー台座位置を30度(1時の方向)にして、互いの干渉を回避しています。(左用は、それぞれ10時と11時の方向)
このクランプ機構の画期的なところは、クランピングの力がドローチューブには全く及ばない構造になっているところです。
クランプはロッドの伸縮を固定するのみで、他の作用は与えません。(つまり、クランプによるイメージシフトは全く生じません。)
フォーカサーの要である、ドローチューブの伸縮軸はフランジのみが受け持っています。
フランジは手前は要所に貼ったテフロンテープ(これによって目盛りシールのクリアランスも確保)による摺動、向こう側は、ポリアセタール球のボールローラーによって軸が規定されます。
ロッド機構は、ドローチューブの摺動制限(ロッドの伸縮と抜け止め)と、ドローチューブの回転を阻止します。 従って、それぞれが役割を分担して、光軸に影響が出ないようにしているわけです。
(左は試作品サンプル)
M10ネジ(ISO)の標準ピッチ=1.5mmですが、二条ネジなので、同じピッチでリード(一回転で進む距離)は2倍の3mmになります。
機械加工をやり始めて30年以上、加工の順序が極めて大切であり、加工時の掴み代の配慮も極めて重要だと学びました。たとえば、最終形状に近い形でネジ切りを完了してしまうと、ノブ部分のローレット加工時に、せっかく綺麗に加工したネジ部を遠慮しながらチャッキングしなければならなくなります。
何度も悔しい思いに地団駄を踏んで、徐々に賢くなります。^^;
実は、ロッド式のフォーカサーは、2003年頃(20年前)にも作っていました。
現在でもこの仕様で愛用していただいている方がいます。(当時の物は二条ネジではありませんでした。)