
仮セットの段階で、ミラーエッジの(ハウジングへの)干渉をチェックし、分解して本固定の処置をします。最終的な組み立てまでにかなりの回数の光軸調整を繰り返します。
”光軸”という言葉を、マニアはよく口にしますが、本気で物を作る、あるいは調整する段階で、それが言葉だけの知識なのか、本当に光軸の本質が理解できているかを試されます。
ミラーをバラバラにして、何度組み立てても毎回同じ完璧な光軸が再現出来ない人は、光軸の本質が理解できているとは言えません。
Innovation of Astronomical Telescope
正立ミラーシステム(EMS)を開発した松本龍郎のサイト。 たった2回の反射で天体望遠鏡の像を正立像にします。
Tatsuro Matsumoto; Inventor of the EMS, Erecting Mirror System. EMS offers non reversed upright image with no additional undesirable abberations.
重量と鏡胴長だけですでに十分に迷惑なアイピースなのだが、バレル先端の黒いやつは、バローじゃなくて、コンバーターと言って、常設して使用する前提らしい。
なんと、総挿入長=57mm。EMSは元より、多くの天頂プリズムでも底突きにならないか?
それとも、直視で見ろ!とでも言うのか?
元のままだと、先端がEMSの防塵フィルター面に当たるので、写真のような同焦点リングをバレルの根元にセットすることにした。これで、紙一重だが保護フィルターとの接触を回避した。
左が元の状態で、右が12mmの同焦点リングをセットした状態。
素材と設計に贅を尽くせば、それに見合う光学性能が期待できるが、使い道具としての利便性や人間光学的な配慮を忘れてしまっては意味がないのでは?
自社の製品の突出した光学性能を誇示するために、ユーザーに不便を強いるのは、老舗メーカーの傲慢ではないか?と私は思う。