The first plate preriminerily set up (TOA150-BINO) / 第1プレートを取り付けてみました。(TOA150-BINO)

The tubes seemingly look like the outer tubes of drawtubes are not actually the ones.The tubes do not directly hold the inner tubes, but the ball rollers that will be installed in the outer tubes will sustain them.

一般的なフォーカサーの外筒に相当するパイプをフランジにねじ込んで、第1プレートを写真のような位置に固定します。ただし、前回もご説明したように、EMSが取り付く第2プレートと一体となった2本のドローチューブは、上記外筒とぴったりと接触して互いに摺動するのではなく、敢えて少し隙間を持たせ、外筒の末端の厚肉部にセットするスクリュータイプのボールローラー(ネジの先端に回転するボール(ポリアセタール)がセットしてある物)で第2プレート(+ドローチューブ)を保持し、最終アライメントも可能にします。

第2プレート(+ドローチューブ)の軸方向の動きは、前回ご説明した通り、第1、第2プレートをリンクする4条の滑りネジ機構が受け持ちます。 (つまり、この部分でも、上下方向の光軸の微調整を追い込むことが可能です。第2プレート(+ドローチューブ)とEMSを含む接眼部全体は上記滑りネジ機構と外筒のボールローラーで支えられます。)(便宜上、ドローチューブ、外筒、という名称を使いましたが、一般的なそれらとは役割が違うことは、前回ご説明した通りです。)

The first plate of the Center-Focusing System (TOA150-BINO) / センターフォーカス用第1プレート(TOA150-BINO)

One of the two plates of the center- focusing system is completed.

センターフォーカス機構を保持する2枚のプレートの内の1枚です。このプレートは鏡筒フランジに固定し、EMSを保持するもう1枚のプレートが前後に伸縮することになります。当然ながら、2枚のプレートが常に平行を保つ必要がありますが、このプレートに垂直にセットされる伸縮機構のプレートに対する直角度の精度(と剛性)維持にかかっています。このプレートの中央上部に施工したネジ穴はその直角度を担保するものです。

An example of thread milling

このセンターフォーカス機構は、2011年に製作したC5-BINOのピント補償機構とも少し似ています( よりシンプルですが)。 今回のBINOは、バラバラに分解してお送りし、ユーザーさんで観測ドーム内に組み上げていただかないといけませんので、当方での製作段階より、一緒に作るという気持ちでしっかりと工程を消化していただきたいと思います。 原理構造をご理解いただいている、という前提で進めますので、少しでも疑問な点がありましたら、その都度お尋ねいただけましたら幸いです。

The Real Eye-Relief (真のアイレリーフ)

Today, I would like to propose the issue of the difference between the specced eye-relief and the real one. I would like telescope makers to take it serious and make the most of effort in saving the unwelcome loss of the eye-relief.

今日は、ずっと以前から問題提起したいと思っていたことを書いてみます。
最近、比較的長いアイレリーフを表示しながら、非常に覗きにくいアイピースが多くなりました。特に、光学的に高性能の評価を得ている物の中に多いのが 非常に残念です。 極めて個人的な好みを申しますと、私の場合は、眼鏡装用で楽に視野環が見えないアイピースは、光学性能を評価する以前に却下です。 (それは、90度対空の双眼視を常に前提にしているからだと思います。単眼の場合は、顔を斜めにしても覗けますが、双眼ではきちんとアイピースに正対する必要があるため、 覗く姿勢の自由度が狭まります。)

アイレリーフは、一般的にアイピースの最終面の頂点から射出瞳までの距離を表記するようですが、現実には、そこから差し引かないといけない要素が2つあります。 一つは、アイレンズ側の金枠やアイガード(折り込めず、簡単に外せない部分)の高さです。(アイピースの最終面が凹面の場合は、特に問題になります。)  そして、もう一つは、アイレリーフの眼側の基点が角膜頂点ではなく、 眼の入射瞳だということです。 たとえば、アイレリーフの公称値がたとえ20mm あったとしても、仮にアイレンズの頂点から金枠(アイガード)面までの距離が8mmあって、観察者の入射瞳の位置が角膜から6mm(個人差があります)奥にあると仮定しますと、 20mmから8+6=14mm差し引かないといけないので、残りはたったの6mmということになり、裸眼では十分でも、眼鏡装用のまま視野環を見ることは出来ないことになります。

設計上のトレードオフは理解しますが、金枠トップの数ミリの配慮だけでも、覗きやすさが劇的に変化するので、メーカーさんにはここでご指摘した問題を真剣に 検討していただきたいものです。

(*望遠鏡の射出瞳の位置は、対物レンズの位置(焦点距離)によっても多少変化します。(天体望遠鏡の射出瞳は、アイピースが作る対物枠の実像 なので、対物が短焦点でアイピースが長焦点になるほどアイレリーフは有利に(長く)なる。)
眼の光学的な入射瞳は、房水と角膜が作る瞳孔の虚像なので、解剖学的な瞳孔の 位置とは異なりますが、角膜頂点より奥にあるのには変わりありません。)