FS102-BINO

 奈良在住の”hama-san”です。ご無沙汰しております。 (9月初旬に、EMS-L中間筒の交換をお願いした者です)

 おかげさまでこの度、FS102-BINOが完成いたしました。 僭越ながら、下記HPに作製プロセスを公開しております。 http://www5f.biglobe.ne.jp/~hama-san/

 先週末(12月11日)、無事にファーストライトを済ませて参りました。 やはりEMS-BINOのヌケの良さは素晴らしく、 特に、散開星団の微光星の緻密な美しさは独特の世界でした。 さすがにFS102だけあって、星像が針で突いたように小さく、 星団の中に点在する、異なる色の星が印象的でした。 考えてみれば、無遮蔽の屈折光学系+反射2面という構成ですから、 最もロスのない正立の宇宙がそこにあるのだと言えるかもしれません。 私自身痛感したことですが、プリズム式の双眼鏡を使っておられる方が、 広視界&クリアな星像に歓声を上げておられたのが印象的でした。

 以前からドブソニアンを使っております経験上、 フリーストップがお気軽観望には必須だと考え、 鏡筒の前後のみならず、上下のバランスも考えて耳軸位置を設定しました。 また、耳軸は真鍮で作製していただき、結果として、 HF経緯台に載せただけ(さすがに危険ですが)でもフリーストップとなり、 200倍以上での惑星の観望も容易で、この点はこだわって正解でした。

 また、F8という無理の少ない光学系であるため、 ワイドスキャン30mmでも周辺まで十分満足のいく星像が得られ、 27倍、視界3度から280倍の惑星までこなす、 まさに一生モノの一台となりました。

 初めてEMS-BINOの存在を知ってから4年になりますが、 その間、ネットや観望会で知り合った方々のおかげで、 思いもよらずスムーズにBINOを組み上げることが出来ました。 まだ、鏡筒の長さから来る振動等、解決すべき問題はありますが、 それ以外は、現段階でも非常に満足しております。                              
hama-san
E-Mail

Comment by Matsumoto? 管理者のコメント;

hama-san、素晴らしいリポートをありがとうございました。
 いやー、本当に立派なBINOが完成しましたね。 正直、驚きました。 各所が実に合理的で、しかも丁寧に加工されていて、本家の仕様が恥ずかしいくらいです。

  EMSのみをご提供した場合、最後まで見届けられない場合が多いので、こうして完成した姿を 見せていただくのは、この上ない喜びです。  

 HPを見せていただきましたが、製作プロセスが懇切に掲載してあり、これからBINOの製作を計画して いる方には、貴重なデータとなるでしょう。 物を作るということは、出来上がった”物”には見えて来ない苦労があるものです。製作者は 材料の調達から外注加工の依頼先まで開拓する必要があり、それらを全て含めて、hama-sanの快挙に 拍手を送りたいと思います。

TOA130S-BINO

 双眼望遠鏡の導入を本格的に検討し始めたのは昨年(2003年)の夏くらいでした。当初は松本さんのところでシュワルツ150S-BINOを購入しようかと思っておりまし た。F5はコンパクトでいいけどF8の方が高倍率での見え味はいいという話だし、 FS-128で作成してある方もいらっしゃるし、どうしようかと思っているときに井上さんの TOA130 BINO のレポートが松本さんのホームページに掲載されました。このレポー トを読んだときから、一気にTOA130 BINOへと流れが加速して行くことになったので した。

 私が所属している天文クラブ「ティコ」の内野会長のところに相談にいったとこ ろ、折角作るならばがんばってTOAにするほうがきっと満足いくものができるよとの 助言をもとに、TOAで検討を進めていきました。しかし私は金属加工はできない ので、どなたかに作成をお願いしないといけませんでしたが、TOA-130は鏡筒無改造で EMSが使用できること、EMSをヘリコイド式にして架台を簡素化するということ で、会長に作成をお願いしたところ快く引き受けて頂きました。

 作成において課題となるのは水平回転軸ということで、そこをどうするか検討し たところ、故障して使用していなかったミードLX200の架台を改造して使用する ことにしました。当初はフォークアーム部も使用する予定でしたが、フォーク部 は別途製作になりました。これで、大きな課題はクリアしましたので、11月初に 松本さんへEMSセットと取り付けアダプタ(タカハシ72mm→EMS65mm)の作成を依頼す るとともに鏡筒2本の注文を致しました。清水の舞台からの大々々ダイビングでし た。

  松本さんのほうにはお忙しい中、1月初にはEMSセットを送っていただきました。 鏡筒の方もほぼ同じくらいに届きました。そこからが、本格的な製作の開始と なります。実際の寸法や重さを調べて、フォーク部分の幅を決めて材料を注文し てと、会長の方でどんどんと進めていただき、私の方はああしたい、こうしたいと 注文ばかりを出しておりました。会長も忙しい中、鋭意製作のほうは進めて頂い たのですが、やはり、双眼望遠鏡の製作は初めてのことでもありましたし、LX200 の架台を利用するため制約があったり、更には度重なる台風の襲撃により、会長の 御実家が被害に遭われその修理も手がけながらの製作となられましたので、構想 からほぼ一年という時間を要しました。しかし、ゆっくりと時間をかけて検討し ながら慎重に進めて頂き、仕上げのほうも丁寧にしてもらってますので、非常に 満足のいく、世界に一台しかない双眼望遠鏡だと思います。

 EMSは非常に操作性が良く、X-Y光軸調整機能により簡単に光軸を調整できます。 初めての双眼望遠鏡ですが、全く問題もなく使えております。この双眼望遠鏡が 成り立っているのも松本さんのEMSのおかげであり、EMS無くしては存在していない でしょう。

 さて、実際の見栄味なのですが、それは予想を遥かに超えたものでした。 星野村天文台「星の文化館」の職員の皆さん、天文クラブのメンバーに見てもら いましたが、正立双眼視ということで、非常に見やすく時間をかけてじっくりと みることができ、たいへん好評でした。

 また、フリーストップの経緯台ということで、重さを全く感じさせない スムーズな動きと相まって誰でもすぐに扱えるすぐれものです。

 まだ、完成して間もないのであまり見れてはおりませんが、いくつか見たものの 見え方を書いてみます。アイピースは22mm(45倍)、40mm(25倍)を使用してます。 月以外は月がでていないときの印象です。

月(上弦)   コントラストが高く、くっきりと見えます。双眼視のためか、 変なまぶしさを感じません。月の前を雲が流れていくときなどは 風情があります。初めて月を見たときの感動が再現しました。 明るい月が出ているとあまり星を見ないようになっていましたが、 これからは月があれば月を楽しめるようになりました。

M1   そらし目をしないと見えないかと思ってましたが、そらし目を しなくても広がっているのが判ります。一緒に比較したわけでは 無いので正確ではないでしょうが、32cmドブソニアンの見え方と 同じような感じです。

M31   25倍 約2.5度の視界からはみ出てます。さすがに写真のようには 見えませんが雰囲気は近いものがあるような感じがします。今まで 見た中で一番の見え方です。

M37   小さい粒々がはっきり見えます。星はまさに点像です。

M45   視界一杯に広がって見えます。もう少し低倍率で視界がほしい ところです。星の周りにベールをまとっているように感じます。

M42   想像を遥かに超えるものです。ガスの濃淡が(疑似)立体的に見えま す。 中心部分は黄緑なのが判ります。トラペジウムも目のいい方はちゃ んと 6個見えているということでしたが、私には5個しか見えませんで した。

h-χ   明るい星が手前に、暗い星が奥に見えて、これも(疑似)立体的に見 えます。 星の色が判り、暗い星まで綺麗です。

NGC2024   今まで注意して見たことはなかったのですが、初めて見ました。 そらし目をせずとも、その濃淡がはっきりと見えます。

 天文にあまり詳しくなく、また鋭眼の持ち主でもない私にとっては、猫に小判的 な双眼望遠鏡ですが、その見え味のすばらしさは実感できます。 九州でも星見の集まりがいくつかありますので、この双眼望遠鏡で星を見て頂き 正立双眼の見やすさ、素晴らしさを少しでも伝えられたらと思っております。 松本さん、大変素晴らしいEMSをありがとうございました。

坂田 信
Makoto Sakata

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 TOA130-BINO、素晴らしいですね。
内野さんによる金属加工も、緻密で綺麗に仕上がっていて、お見事です。

 坂田さんは謙虚に初心者を自認しておられますが、BINOについては、大抵はどなたも 初心者ですから、むしろその謙虚さが素直にBINOに溶け込めた要因でもあるのでしょうね。
 良い実例を作ってくださいました。

 観望リポートも、的確に対象の特徴を捉えておられ、大したものです。大きな決断 をなさいましたが、十分に報われましたね。

BORG45ED-BINO

2003年の双眼鏡・望遠鏡サミットにて決断致しました双眼望遠鏡です。 EMSセットを頼みまして半年が経とうとしておりましが、他の場所にてお願いして おりました鏡筒バンドの作製が大幅に遅れたため、いまだにツインになっており ませんでした。その間、EMSが手元に在りながら使えないことに歯がゆく思い、折 角だから何かおもしろいことをしようと即席で生まれたのがBORG45ED-Twinです。

即席の所以は実は片方の鏡筒は友人のもので2004石川町SLFの時の写真です。組み 合わせは鏡筒部に2インチホルダーSⅡ[7504]を使用することにより合焦します。 ただし2インチアイピースは合焦しません。他、着脱の簡易・迅速性を考慮して 架台部と鏡筒部の取り付けにはベルボンのクイックシュー(中判用)を介して使用 しております。

見え味に関してですが残念ながら星の方は見ておりません。風景を見た感じでは、 小さいながらも定評ある鏡筒だけあって、非常に抜けの良い綺麗な見え味を示して くれました。倍率を上げても色収差等は感じられません。実はこれは正立プリズム だとわずかに色収差が出たりしますが、ミラーを使っているEMSならではの「技」 と言えると思います。

以上、ショートレポートになってしまいましたが、現在作製中の双眼望遠鏡にて 再レポートを致します。この高いポテンシャルを秘めたEMSを使える日を今か今か と楽しみにしております。
OKADA

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 可愛いTwinですね。
 本命鏡筒用の鏡筒バンドが間に合わなかった由、残念でした。  当方に気を使ってくださったのでしょうか、他に依頼されたのは。 私も責任を感じます。^^;

  確かに、市販鏡筒のバンドは、双眼使用など全く眼中になく、ヒンジ部等の干渉で 私も随分と泣かされて来ました。しかし、これも発想次第で、固定観念を捨てると、 結構簡単な解決法が見つかるものです。私が察するに、多分その下請け屋さん?は、 頭を捻りながら時間が過ぎて行ったのではないでしょうか。

  私がお勧めする解決法の一つは、バンドのヒンジ側を通常と反対の、鏡筒外側に 向け、ローレット付の締めボルト側が内側で対向するように持って来ることです。「これだと尚更出っ張って 干渉する!」ですか? ^^;・・・それが固定観念なんです。^^

  ヒンジ部を薄くするには、大手術が必要ですが、締め側ですと、ローレットボルトを 細めのキャップ(六角穴)ボルトに変更すれば、締め部の出っ張りの大半を切除することが 出来るのです。(元のボルト位置より内側にネジ穴加工を施す)その部分の構造により、ボルトはM5程度を1本か、M4を2本かを判断します。

(BORG鏡筒が素材であれば、鏡筒径が細いので、鏡筒バンド同士の干渉の心配はありません。)

  ともかく、バンドが早く完成し、本命の鏡筒が搭載できますことを祈っております。

MEADE178ED-BINO

百武彗星がきっかけで久しぶりに天文に復活し、偶然入手した2本の鏡筒を天頂ミラーにより双眼化して 1997年から使っていました。当時は架台を赤道儀にしておりました関係でBATTやPCまで含めると総重量は 200kgくらいあったと思います。 鏡筒回転機構のせいで極軸から距離があり、結果ウエイト軸にありったけのオモリをぶら下げている ことも災いしていました。それでも若かったせいか、ハァハァ言いながらもあまり気にせず使い続け ていました。(写真に写っている車にピラー脚以外は積みっぱなし)

 このところ体力の衰えというか、慢性的な運動不足とモチベーションの低下で稼働率が 下降線をたどり、昨年はとうとう2回となりました。「このままではイカン」と重い腰を上げた次第です。 自動導入はとりあえず諦め、軽量化のために経緯台とし、経緯台にはやっぱ専用のEMSだよなぁと、 4月末に松本さんにコンタクトをとりました。

 比較的軽くて丈夫な架台ということで構想当初からLB150用の経緯台と決めていました。CAD上で確認すると、 重心位置の関係で架台と鏡筒バンドの干渉が発生し、鏡筒ピッチが272mmとなってしまうことが分かり焦りま した。松本さんにまた怒られるかなぁ。。。と心配しながらも発注してしまいました。 (実は仮に架台側の制約を廃してもレンズセル径が10インチありますので、大して鏡筒ピッチを縮める ことは出来ないのですが) 今回の改造はほとんど市販品を用いており、とても簡単な工作で済みましたのでEMS到着の週末には 組み上げてテストすることができました。総重量も計算値で約100kgとなり、気合いを入れなくても稼働 できそうです。

EMS制作依頼時の仕様表

鏡筒側仕様
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・鏡筒ピッチ 272mm(固定)
・接続部 M89P1メス(ボーグHV1)、回転機構有り
・バックフォーカス 243-274mm
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EMS仕様
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・仕様 EMS-XL 大型第1ミラー仕様
・目巾調整 Pentax67接写ヘリコイド
・接眼フォーカス 接眼部ラック&ピニオン(短め)
・EMS(鋳造部) 白色塗装
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EMSは鏡筒と同じ白色、目幅調整は実物を比較して決めた67用ヘリコイドと少しわがままです。 (汗

良かった点
・接眼部フォーカーサー
 最も気に入ったのがこの機構です。フォーカスを手元(目元)で操作できることがこんなに便利だとは思い ませんでした。それから、あとで気付いたのですが、フォーカス調整による重心移動がほぼ皆無となります ので、アイピースの重量だけ統一してやれば観望時にバラストで調整を行う必要がありません。指一本でスル スルと鏡筒が向きを変えますので、操作ハンドルも廃しました。とにかく非常に快適です。

・鏡筒接続部の大口径化
 EMSでは鏡筒からのシフト量と2インチアイピースの重量によって常時かなり大きな回転モーメントが発生していますので、これを支えるには径で対応するのが一番だと思います。大口径化したことで観望中にEMSが回ってしまうこともなくなりました。 加えて脱着部を既製品(BORG)としたことで、脱着によってEMS自体に傷が付く心配がないので力いっぱい ネジを締めて固定することも出来ます。

・第一ミラーの大型化
 見た目のバランスもそうですが、2インチ長焦点アイピースを用いた場合でも周辺減光がほとんど感じ られない快適な視野を提供してくれます。

気になった点
・バヨネット脱着部のガタ
 実は大したことではなく、EMS上部を持って鏡筒を振り回すようなことをしなければいいだけのことです。

今後の課題
 改造後3回ほど観望に持ち出しました。架台により不動点が高くなってしまいましたので、ピラー脚を少し 短縮することを考えています。それから恒星追尾が手動なのでやはり高倍率での長時間観望はストレスが たまります。当初の軽量化の目的とは違ってきますが、将来的に電動化しようと妄想中です。水平軸はハーモ ニックギヤを使うことで機構全体を架台に内蔵できるのですが、垂直軸はクラッチを搭載するスペースが 無く面倒そうです。

最後に
 いろいろ注文をつけて松本さんには大変ご迷惑をおかけしてしまいました。 それでも、結果とてもいいものが出来上がって満足しています。 また機会がありましたらよろしくお願いします。 どうもありがとうございました。ございました。

神奈川のDamyanさん

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

DamyanさんのEMS-XL(6X7ヘリコイド仕様)は2004年の8月に紹介させていただいて いましたが、ついに完成したBINOの姿を見せてくださいました。Damyanさん、お見事です!   極めてシンプルで美しいスタイルです。 Fujinonの大型双眼鏡の架台を利用されたのでしょうか。  鏡筒間隔を広めに設定された理由も納得しました。

 ピラーを短縮されるご予定とのこと、私も賛成です。 一般に、ピラーや脚を必要以上に高めに設定される方が 多いように見受けます。 なるべく水平近くまで、踏み継ぎなしで覗ける高さに設定されることをお勧めします。   天頂付近は、座布団(それに近い低い椅子)を敷いてあぐらをかいて見るスタイルでも良いのです。

  規格外品の製作には結構時間と集中力を消耗するもので、標準規格品の順番待ちの方のことを思うと どうしても気持ちが焦ってしまい、Damyanさんには無意識に結構小言を申し上げていたのかも分かりません。  私こそ気を付けないといけませんね。^^;

  今度は観望リポートをお願いします。 (6X7ヘリコイドのバヨネット(雌)はラチェットの位置が調整できますので、ガタも治ります。ただ精密な 作業なので、注意して行ってください。ただ、発送時の状態がキープされていれば、問題ないレベルだと思いますよ。)      


BORG150ED-BINO

 松本様、山内様こんばんは、村井です。@’04.10.18 購入までの経緯と、思いと、タイミング、、いろいろありすぎてうまくお伝えできませんが、 とにかくサミットにて、のっけから最高の一晩でした、有難うございました。  長文、雑文失礼につき、暇なときにでも読んでくださいませ。。。^。^/

【ボーグΦ150ED双眼、製作有難うございました】   ほんっとうに最高です、感謝いっぱい、大感激\^o^/!!  サミット間に合った上に、満天の星空のもと、ファーストライト成功!!   こんなことってあるのでしょうか、幸せ感じています。

  お世話になりました筆頭;松本様、製作と我侭聞いて下さりありがとうございました、  製作運搬他、親身にアドヴァイスいただきました山内様、ありがとうございます。   山内様の初期後押し無ければ、やはり気後れのままだったかもしれません。

 山内様からご紹介で当日にお世話になりました、服部様、岡本様、、  暖かい皆様のお力添えで、無事、ファーストライト成功の運びとなりました。  まずは最初にこのことをお伝えしたいと思います。   ありがとうございました、そして、これからもご指導よろしくお願い申し上げます。

【サミットにて】   そもそも松本様には今年2月に初めてTELして以来、お世話になりっぱなし。  当方素人ゆえに、惑星、星雲あれもこれも見たい、と多分訳もわからぬご迷惑な相談に、  愛想尽かさずいろいろお付き合いいただきました。    (見捨てないで下さったのが不思議なくらい、、、)

 なおかつ、作成日程ご無理お願いして10/16 15:30、  スターフォレスト御園、双眼鏡望遠鏡サミット本番の受付開始直後に、  宅配にて現品現地で受け取り成功となりました。  (ここでは詳細述べませんが、ある事情=仙人殿HP参照で、運搬編にご登場いただく予定の山内様、筋金入り潜水艦乗りの山内様 に自称15年アマチュアダイバーの村井は、強い興味を抱くのでした)

  少し心配しました。私自身が自分の機材持つのが35年ぶり、ましてBINOとなると、  全く見たこともない初物難物で、はたして夜までに観望できる状態になるのか、、、?。   もちろん私ひとりでは無理なわけでして、仙人山内様口利きバトンタッチの、  服部様→岡本様ご指導で組み立て、調整ご教授いただき、素人ゼロ号→1号として、デビューする ことができました。

 p.s 現地に向かう途中のカーショップでバッテリーと配線を購入し、到着後に配線を仕上げ、    山内様ご紹介の横田様よりあらかじめ購入の露避けヒータと組み合わせました。    バッテリ充電状態も間に合わせにもかかわらず明け方4:00ころまでは作動していました。    目的のひとつでしたので、濡れずに機材回収できたのも嬉しいです。     (もっとも、ある程度風もあって、ヒーターの必要もなかったようですが。)   

【ファーストライト インプレッション】  すみません、素人ゆえまっとうな言及はご容赦お願い致します。
   @アイピースは(トラ殿の強いお勧めもあって)N4-22mm
   これも、先週届いたばかり。
    ちなみに服部様にからかわれ?ました『これ買ったら、もう上がりだよ!』

  ①.練習;山の稜線の鉄塔@開梱組み立て終了、16:30~
     松本様HPの調整法、服部様からのバトンタッチ岡本様ご指導で鉄塔を相手に四苦八苦、 本当に調整できているのか定かではありませんが、手前の山の木々とのすさまじい限りの立体感に しばし唖然、、、というか、断然気に入った次第です。天体望遠鏡って、定義は何なのでしょうか、、、。 帰宅後、じっくり調整取り組みます。それにしても、眼幅調整スライドブッシュのなんとスムースな ことか、、、。ここまでスムースだとちょっと調整狂うと×になる?、、、なんて余計な考えが頭 をよぎります。

  ②.星空;天の川の存在を久しぶりに意識しました@18:00~23:00驚いたのは、 かろうじて自分で導入できた2重星団とアンドロメダ。これはもう写真のレベルに近い!!眼視ではどうやっ ても光量蓄積のできる写真と比較しようもないのでしょうが、つぶつぶの星が不思議な立体感、 皆様のHPなどでお聞きしていた通りの迫力を感じました。 M31も、しっかりした腕の広がりと伴星雲の星雲らしさをもって、素人なりに納得のいくひと時となり ました。

  ③.あれ?夜半過ぎころからか見にくる方のなかに調整の狂いを指摘される方が数人、、、。      私にはなんとも、、、?でしたが、気がついてみると左右EMSの間隔が斜め、、。EMS固定ね じ2箇所は締まっていてOK、暗闇では気付きませんでしたが、明けてから鏡筒本体側ねじが緩んでいるの に気が付きました。締め付け後、ご指摘なくなりましたので、多分大丈夫なのだと思います。

  ④.夜半過ぎ、オリオン。上記の状態にもめげず、というか、私の目幅がN4-22口径いっぱい 近くまで狭くて、固定OKの左に対して、緩みのある右が接触して、結果EMSの倒れが無かったのかもしれ ません。上がってきたオリオン大星雲を3:00すぎまで堪能しました。本当にすごい光景です、 鷲のくちばしも羽の根元の模様も、羽の先も、言い古された表現=鷲そのものの姿で、魅了されてし まいました。
  これも、不思議と星やガス部分の立体感をはっきりと感じるのです。眼の訓練無しで、 なおかつ写真見て妄想のみ育ててしまった私の目にすら、何の言い訳の必要もないほどの圧倒的説得性 で迫ってきます。(明日持って帰って、かみさん&子供に見せるのが楽しみです)
 木々の陰から上ってくる瞬間の立体感に始まり、天頂に近付いてからは、イスに座っての楽チンさ含め、 予想外の冷え込みに震えながらも臨場感楽しむこと4:00すぎまで。。(参加前はせいぜい2:00すぎ に惑星見て寝るつもりでした)

 ⑤.同夜半過ぎ;土星
      気流が悪いのは感じていましたが、ものすごく悪かったようです。      雲こそまったくない晴天なるも、ベテランの皆様ですら、こんなに悪いのは、       本当に初めて!!と言われるくらいの状態だったようです。       確かに土星見ても、環こそ認識できるものの、感動無し。      ある人いわく、空に卵があると、、、。      そういえば星像も点ではないような。、、、。←^^;わかってませんね、、、。       皆様に慰められました、せっかくのアポなのに残念だね、、、、。      そう言われて、ますます、当所目標の惑星、月見る日が楽しみです。

  ⑥.すみません、機材紹介
    口下手ゆえ、お二人のこと、うまくお伝えできませんでした、、^^;

 以上、またまた、うまいことお伝えできないのが心残りですが、寝不足解消にいたっていないので、 申し訳ございませんが、これにて失礼致します。 本当に、有難うございました。

村井 聡太
Sota Murai

Comment by Mtsumoto/ 管理者のコメント;

 村井さんより、ご帰宅直後でお疲れにもかかわらず、さっそくに詳細なメールをいただき、 当コーナーへの掲載も快諾してくださいました。
 BORG150EDは、BINOの素材鏡筒としては鏡筒最大径(フード、セル部径)が小さく、軽量でもあり、好適な鏡筒なので すが、やはりこの口径でEDとなりますと、相対的にはリーズナブルな価格設定とは言え、やはりハードルは結構高い ようで、今回の村井さんのBINOで初めて採用させていただきました。
  フード径、鏡筒径共、SCHWARZ150Sとほぼ等しいので、同規格の台座が利用でき、好都合でした。 ただし、F6.7と、焦点距離がF5の(SCHWARZ)より25cmほど長いことで重心位置の設定に少し勝手が異なり(鏡筒を 手前に引く必要あり)、操作ハンドルと接眼部の干渉等があって、どたんばで慌てました。

  サミット会場に直接発送という綱渡りをしてしまいましたが、BINOは無事届き、好天に恵まれ、 会場では双眼エキスパートの方々の親切なアシストもあり、村井さんはBORG150ED-BINOを立派に組み上げてくださり、 感激のファーストライトを体験されました。 これは製作者としてもこの上ない幸せです。
  このBORG150ED-BINOが村井さんの天体観測の友として、末永くお役に立てることを願っています。
 そして、また後続のリポートをいただけましたら幸いです。
                  ありがとうございました。    

15cmF5-BINO in Australia

Milky Way by Mr.Okada
SHWARZ150S-BINO
C.Neat by Mr.Okada

 今晩は、ID21番のトラです。今日、オーストラリアから帰国いたしまし た。明日からアメリカ出張なので、とりいそぎレポートいたします。

 今回は、東京のコプティック星座館が企画したツアーに参加し、2004年5月15日から 23日までの日程で、2つの彗星と南天の観望に行ってきました。観望場所は、ニュー サウスウェールズ州クーナバラブランという、サイディングスプリング天文台のある 村の飛行場と競馬場です。飛行場に設置したシュワルツBino150Sの写真を添付いたしま す。

 機材は、シュワルツBino150S、ニンジャ320、ニコン18×70IF、ニコン7×50SPで、これ らを仲間と分担して持ち込みました。写真用の機材は諦めました。

 彗星については、地平線にあるユーカリの枝葉の真っ黒なシルエットの間から、リニ ア彗星がその筋模様の尾や青緑色のコマを見え隠れさせながら没していく様子を見る ことができました。立体感のある地上風景と彗星とを、同時に自然な美しさで観望で きたのは、空の透明度と15cm双眼の組み合わせによる幸運でしょう。

 天の川は、非常に明るくて星の密集度も高いため、どの部分がカタログ番号を付され ている星雲星団で、どの部分がそうでないのか区別するのが、時折困難でした。濃い 銀河の中に濃淡・大小さまざまな暗黒星雲が浮かんでいる様子を広視野の双眼で見る と、(星空を背景に星雲星団が浮かび上がってくるという通常の見え方とは異な り、)深い凹凸のある影を伴った面のように見えました。

 もちろん、個別の星雲星団についても、極薄緑から淡い小豆色のグラデーションと暗 黒の襞のあるエータカリーナ星雲、不気味な泡状の暗黒部分があるタランチュラ星 雲、中心まで完全に分離している(シンチレーションが感じられない)満月サイズの オメガ球状星団、ディスク状の中心を持つNGC104球状星団、圧倒的星数のNGC3532 散開星団、内外に多数の小さな散開星団が散らばる大マゼラン銀河、暗黒帯内部の濃 淡までみえるケンタウルスA電波銀河、フィルターなしで無数の微光星を背景に浮か ぶ網状星雲、UHCフィルターで淡い複雑なフィラメント構造を見せるガム星雲、 等々、写真のイメージをはるかに超える生の姿を擬似立体感をもって楽しむことがで きました(とはいっても、一番楽しめたのは、180度に広がる巨大エッジオン銀河、 つまり天頂にバルジのある天の川の肉眼視でしたが)。

 幾晩にもわたって徹夜で観望をするので眼の疲労が心配でしたが、アイリリーフの長 いアイピースを使っての双眼観望、毎日のビタミン剤摂取、昼間の爆睡により、ある 程度まで眼の疲労を軽減することができました。

 普段、見慣れない南天では、エンコーダによる導入・対象確認が大変役立ちました。 知らない土地でこそ、カーナビも活躍しますよね。

 ところで、海外への運搬方法については、今年のお正月から松本様にご相談にのって 頂きながら検討を開始しました。国内の移動観望で何度も試行錯誤を行った末、今回 実施した主な工夫は以下の通りです。

(1)鏡筒のラッパ部分と合焦装置との間で鏡筒を分解し(ここが最も光軸が狂うリ スクが少ない)、また、フードを巻きつけ式のものに交換して、鏡筒長を短縮する。

(2)合焦微動ハンドルの側面の抜け止めネジを緩め、微動・粗動軸を合焦装置から 分離し、ショックを受けた場合の微動・粗動軸の狂いを防止する。

(3)三脚と三脚架台をぎりぎり使用に耐える程度の小型軽量のものに交換する。

(4)鏡筒を固定するプレートの耳軸を、HF経緯台のフォークの耳軸受けで締め付 けた上で梱包し、耳軸方向へのショックを受けた場合のプレート耳軸とフォークの両 方への損傷リスクを軽減する。

(5)全てのネジの上にテープを貼りつけ、振動によるネジの緩みや紛失を防止する と共に、予備のネジと軽量な工具一式を持って行く。

  今回は、松本式双眼望遠鏡をオーストラリアに持ち込めたおかげで、彗星や南天を より美しくリラックスして楽しむことができました。このような機材を製作していた だきましたこと、心からお礼申し上げます。

「トラ」
Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

「トラ」さんより、オーストラリア遠征のリポートをいただきました。
  写真から、現地の広大さを感じますが、実際に体験すれば、こんなものではないのでしょう。

  濃い銀河の中の暗黒星雲等の描写を読まれ、居ても立ってもいられなくなった読者の方も多いのでは、と想像します。
  私も「180度に広がる巨大エッジオン銀河」と言う体験をしてみたい!

  オーストラリアまでの150S-BINOの運搬にも周到な準備をされました。 最初から搬入を諦める方も多いと思いますが、 見事な実例を作ってくださいました。

日本人「十万分の一の肖像」

今日、知らない方から大きな封筒が届いた。確かに宛名、住所は私に間違いない。
表に、「写真在中」と「折り曲げ厳禁」 のスタンプが押してある。首をかしげながら開封してみた。
写真と添付文書を見て、直ちに事情を理解した。

添付文書

日本人「十万分の一の肖像」

1999年5月から始まった私の自分探しの旅も2001年2月に最後の1200人目の人を東京で無事に撮影して 終了となりました。 その後、膨大な量の現像、プリント作業を2002年の夏までかかって写真を仕上げました。 撮影を快く受けていただいたみなさんに出来上がったプリントをお送りすると言っていましたが、やっと 準備が整い発送する事になりました。

多分写真を写された事さえ覚えていない人もいるかと思いますが、私が感謝の気持ちを込めて焼いたプリントです、 どうぞご笑納ください。

この写真が写真集というまとまった形になるのか今の私には判りませんが、みなさんの お陰でとても素晴らしい経験ができました。

本当にありがとうございました。

河野公俊

東京都***********

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写真家の河野さんは、上記の通り、全国を単身で行脚して1200人のポートレートを撮影されました。 原画は階調が豊かで非常に美しい写真ですが、デジタルに忠実に再現できませんでした。

数年前の写真に感慨がこみ上げました。

現像、プリントにも相当の歳月を費やされましたね。1200人それぞれの人生、想い、また、その編集に携わった 河野さんの情熱に思いを馳せると、胸が苦しくさえなります。

河野さん、ご苦労様でした。 写真集が一日も早く発行できますように、お祈りしています。

ED115-BINO

1.使い勝手編

 1-1.光軸調整:

   初期組み立て時に、左右のアイピーススリーブが平行になるよう EMSを(結構適当に)装着し、いきなり恒星を200倍で見ました。   それでも左右の像は一致しました(もちろんXY調整機構は使用しましたが)。 結構心配していたのですが何の問題もなし。ただその後昼間に見たら 少々狂っていました。やはり基本に忠実、昼間にあわせたほうがいいですね。

 1-2.合焦部分:

   第4世代用の合焦装置、使いやすいです。
   動きが渋めなので高倍率での調整時にはさすがに像は揺れますが、ガタや   バックラッシュが全くないのでピント合わせ自体はしやすいです。
   しゅう動抵抗が大きいので、粗動のほうはあまり使わないことが前提に なっているみたいなのですが、アイピース交換時に大きく移動させるときは 微動の調整範囲内でも、微動で送るより粗動の方が使いやすかったです。
   ただ大きく動かすのは、ピント位置が他と大きく異なるNagler22mmと他の アイピースと交換するときだけで、その他の場合は一度バックフォーカス を調整したらその後粗動を使うことはないです。

 1-3.目幅調整:

   スライド式の目幅調整ですが、簡単に目幅が合いました。 ヘリコイド式と、どちらがいいかは一長一短ですが、私はスライド式で十分満足です。

 1-4.全体的に

   何のストレスもないです。長年の工夫がたくさん反映された結果だと 思います。すばらしいです。

2.見え方編
 (空は街中、4.5等が見えるくらいの感じです。)

 2-1:低倍率

   M35,M41,M42,M44,M45などの大型の星雲星団を見てみました。   アイピースはNagler Type4 22mm(30倍)とPENTAX XL40mm(17倍)です。    手持ちの小型双眼鏡と(当然)全く違う光量で、街中でもこれらの   星雲星団は見て面白い程度に見ました。
   90°対空双眼なので本当に楽に長い間のぞけます。ひとたびのぞくと、 気づくと結構長い時間がたっていたりして、びっくりします。
   早く夏の天の川を見てみたいところです。

 2-2:高倍率

   土星、木星を見てみました。
   アイピースはMeade UW6.7+TeleVue バロー2.0x (200倍)です。    シーングは何とかこの倍率が使える程度。
    像は感動ものでした。    単眼に比べ像劣化が全くなく明るくなっている像です。しかも単眼より   同じ倍率でも大きく見えます。特に木星は200倍なのにとてつもなく大きく見えました。
   大きな望遠鏡+双眼装置でも同じような像は見えるのかもしれません。   しかし温度順応時間が短く、シーングにも強く、EMSアポ双眼のほうが断然 お手軽のようが気がします。
   リバウンドを考えながら移動させなければいけませんが、HF経緯台でも この倍率なら追尾はそれなりにできます。
   スケッチや写真撮影を行わないのなら、惑星用にアポEMS双眼お勧めです。   (でもこれで追尾できるようになると、さらにいいんですけどね。)

 2-3:地上の風景

   ここもアポ双眼が得意なところです。像は一言でいうと「完璧」です。   ものすごくコントラストが高く、明るいです。100mほど先の木を見ていたの ですが、枝の前後関係や青空との対比がものすごくよく見えました。

3:その他

   鏡筒はいろいろ迷ったのですが、自分としてはいいものを選べたと 思います。
   集光力は大型アクロに負け、高倍率の像は長焦点アポやフローライトに 負ける鏡筒ですが、この鏡筒はかなり高いレベルでそれらを両立していると 思います。
   大きさ的にも小型と大型の間ぐらいです。海外遠征に持っていくのは無理 でしょうが、平日に30分だけ見るために外に出そうと思える大きさです。当初は中途半端になるかと思い、 小型の高倍率用と大型の低倍率用を1組ずつそろえようかとも思ったのですが、 見事にこれ1台でそれぞれの役割を果たしてくれそうです。
   究極を求めず、1台であれもこれもとやりたい人にはお勧めです。

4:終わりに
   松本さんへ。忙しい中質問や仕様変更にすべてお答えいただき、 これだけのものを作製していただきありがとうございました。

村山 義彰
Yoshiaki Murayama

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 村山さんより、詳細、的確なリポートをいただきました。村山さんは去年の望遠鏡サミットでも お会いしましたし、他の会場等でもEMS-BINOを何度も見てくださったようで、素早く使いこなしておられる ことに納得ができます。  最初にED115でのご相談を受けた時には、正直、やや中途半端なご選択のような気もしたのですが、実際に 出来たBINOを覗いてみて、新鮮な感動を覚えました。BINOが完成すると、まず店先から地上の風景を見るのですが、 そのコントラストの高さと視野の明るさは特筆物でした。  口径115と聞きますと、1が二つ続く響きからか10cmクラスであるかのような 錯覚に陥っていたのですが、よく考えてみますと、ほぼ12cmであり、実効の集光力は恐らくアクロマートの12cmを越えて いると思われます。
  鏡筒の短さに加えて頭部の軽い鏡筒で、重心をかなり手前に持って来ることが出来、天頂と水平に向けた時の接眼部 の高さの変化が非常に少なく、快適な操作性を約束します。  オリジナルの合焦装置はSCHWARZ-SタイプのBINO用に確保しており、手作りで製作が追い付かないもので、正直使いたくなかったのですが、村山 さんの熱心さに負けました。^^;   標準の繰り出し装置でも11cmくらいの口径は確保したと思いますが、やはりフル口径を確保された村山さんの判断は正解でした。   より完璧を目指すことで、1台ごとの製作時間が延びる一方ではありますが、EMS-BINOの進化のためにはユーザーの方の激励に励まされきながら前に進むしかないと思っています。

(蛇足ですが、ED115は鏡筒径が140mm(SCHWARZ150に匹敵)もありますので、HF経緯台は幅広改造仕様が必要です。)

15cmF5-BINO

In December time has come to test my improved bino under the alpine sky at temperatures down to minus 15/20 degrees. Dear Mr Matsumoto let me tell You my summary experience: The Schwarz Bino works simply fantastic. I discovered a new night sky compared to my old 26×100 Miyauchi. Only a few examples under 6,0 mag conditions:

– The Orion nebula at 30x like in good photos with undescribable details
– The E and F components of Trapezium no problem at 90x
– The Flaming Tree Nebula with dark strunk and branches at 30x
– Open clusters M 35, M 37 and others like bee swarms at 30x
– The neighbour cluster of M 35 NGC 2158 at 60x at the beginning of resolution with averted vision
– Eps Lyr already split at 90X under good seeing conditions
– M 81 with dark lanes at 60x
– NGC 891 with central bulge easy with direct vision at 60x

Though I know the bino is a richfield instrument, I had stunning views to Saturn. Using a fringe filter I saw at 150x the planet with six moons, the Cassinidivision roundabout an equatorial stripe and a brown south polar region.

Dear Mr Matsumoto, let me finally say: Though I had to do some (in my opinion necessary) improvements, it was absolutely worth to wait for and acquire Your new Schwarz Bino. It opened me a new dimension of binoviewing. Thank You once more for Your efforts.Best regards
Klaus Zott

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 完成したBINOの着荷直前にバイクの転倒事故で骨折され、回復を待ってのファーストライトのご報告です。    ゾットさんは光学系にウルサイ^^;方で、実視テストを要求され、その時のことは去年の雑記帳でも紹介させて いただきました。実視テストの結果は雑記帳掲載の通りですが、氏はたいそう鋭眼のようで、片方の対物が気に入らず、専門家に収差量を 測定してもらい、片方の対物を現地(ドイツ)で納得がいく物と買い換え、SYNTAの鏡筒の標準を越えたSUPER-BINOの完成にほくそ笑んでいます。   また、氏によると眼幅調整も精度不足だそうで^^;、少し改造したのだそうです。 最初からシェフの料理にドバドバと調味料を かけてくれましたが、氏の情熱と、海外からの注文のリスクを承知で注文してくれたこと、BINOがドイツまでの道中に何らかのダメージを 受けた可能性に免じて、見過ごしています。^^;
    改造の経緯もメールにありましたが、混乱を招く恐れが強いので、その箇所は掲載から除外しました。    何はともあれ、ゾットさんの情熱と執念には脱帽です。 さすがに観測リポートも具体的で、単なるこだわり屋さんではないことも分かります。

ED130SS-BINO

  ED130SS-BINOの完成から3週間目に幸運にも、私の星仲間所有の38cmドブソニア ンと17.8cmEDアポ(F9)の2台と並べて見比べることができる機会を得、贅沢 な比較観望会となりました。

  大型機である2台に挟まれて、私のBINOはとてもコンパクトに見えましたが、その見 え味は決して引けをとるものではありませんでした。

  笠井トレーディングのSWV24ミリ(94度)で見る二重星団は吸い込まれるよう な感覚で、双眼であるためか94度の見かけ視界を無理なく一望できます、今までは 実は二重星団にピンクやブルーの星が多く含まれており、とてもカラフルな星の集ま りであるとは気づきませんでした。両眼でみる星はストレスなく長い時間にわたり見 つめることができるので、星の色など今までなかった発見があります。

  アイピースをケーニッヒ32ミリ(65度)に変えて、プレアデス星団を見ましたが メローぺ周辺のガス雲に簡単に気づきました、蒼い星の集まりは神話の通り 6姉妹の涙に濡れたようなイメージです、眺めながら一杯やりたいくらい綺麗でし た。

  散開星団に関して言えば、広視界をフラットにしかも高コントラストで実現するBINO の圧勝という感じです。 立体的に見えるのは大きく明るい星は近く、小さな暗い星は遠くに感じるからでしょ うか、双眼視でなければ感じることのできないイメージです。

  昇ってきたばかりの系外星雲M81&M82を38cmドブと見比べましたが、ふた つの星雲を同一視野で見ることができる倍率なら、私のBINOは38cmドブと遜色な い見え方えをしました、瞳径がBINOの方が適切だったのかもしれませんが驚きです。

  同席した私の家内の言葉を使えば「同じくらに見えるなら両目のほうが楽にみえる」 私も同感です。ただし、M82だけをクローズアップして見るなど集光力にものを言 わせるような場面では、さすがに38cmの大口径には及ばない部分もあります。

   アイピースをナグラー4.8ミリ(180倍)に交換し土星を見ました、「EDにしてよ かったな!」と覗いた星仲間から言われました、ポッカリと浮かんだ土星は印象的で す。 180倍という倍率よりは大きく見える気がします、追尾も思ったより楽でした。

  しかし17.8cmEDが300倍オーバーで見せる土星の迫力には正直、一本取られた という感じです。余談となりますが、この友人の17.8EDには、私が以前から所有し ているC11EXで何度も挑んで、惑星だけでなく、球状星団や惑星状星雲といった C11EXの本来得意とする分野でも、連戦連敗し比較するには苦手意識がありま す、ED130SS-BINOは、まだまだ倍率を上げる事ができそうです、もう少し高倍率が出 せるアイピースを用意して何とかリベンジしたいところです。

  東の空からオリオンの大星雲が昇ってきたところを、BINOで見てみると、ちょうど視 界に地上の立木と大星雲が同時に入り、何とも言えない遠近感です、「地上から星を 見ているんだ」と認識させられる、予想外の風景に得した気分でした。 オリオン座が十分に高い高度となったところで、アイピースをペンタックスのXL1 4ミリに交換し再度、大星雲を覗きました、このBINOは本当に素晴らしいです。 まさかと思いましたが、17.8cmEDよりも明るく見えます、そして38cmドブソ ニアンよりもリアルに見えます、正立であるためオリオン大星雲の怪鳥のような形を したガス雲が、地上に落下する方向でなく上空へ飛び立つ方向に見える姿が印象的で す。

   38cmドブソニアンのオーナーがBINOをさして「M42や二重星団など明るい大き な対象はドブソニアンよりも良く見える、ドブソニアンは集光力で今まで見たことの なかった星雲などを見せてくれるが、この双眼望遠鏡は見慣れた星を見たことない 程、美しく見せてくれる」そして「夏の遠征観測会では射手座周辺をゆっくり見たい ので30分くらい独占して使わせてくれ!」(本気で言ってるみたいだ...)

   最後に私の私見ですが、天体望遠鏡を使う回数でなく、覗く時間でコストパフォーマ ンスを考えるならBINOはとてもコストパフォーマンスが高いと思います。 今回の比較観望会において17.8cmEDでも38cmドブソニアンでも、ほとんどの 人が覗いても10秒程度でアイピースから目を離しましたが、BINOを覗いたときだけは誰 もが1分くらい(声をかけなければいつまでも?)は覗き続けていました。 椅子に腰掛けて、飲み物を用意して、静かな音楽でも聴きながら、いつまでも覗きた くなる、そんな望遠鏡です。

   同じ土俵では比較は難しいのだと思います、今回の比較観望会ではBINOの得意分野で の比較が多かったですし、空のコンディションもBINOに有利に働いた気もします。 それでも、大きな望遠鏡に挟まれながらのED130SS-BINOの大健闘の一夜でした。

野木孝一
Koichi Nogi

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 野木さんはご夫妻でBINOの引き取りに来てくださいました。 野木さんはもとより、奥さんも大変素敵な方でしたが、 このBINOに愛称(Blue)まで付けてくださいました。それまでは、星見にやや傍観的だった奥さんが本当の意味で星に興味を 持ち始められたそうで、大変嬉しく、光栄に思っています。

 それにしても、最初から強豪を相手にされたのですね。私も15cmホタロンBINOを作るまでは、屋上のドームの中には、中型の赤道儀に15cmニュートンと
8cm屈折を同架していました。やがてコンパクトなコロ付きの低い架台に載せた8cmBINOを作り、本来主役であるはずの前者の周りで使用していましたが、 その8cmBINOを見るようになった途端に15cm反射は一切覗かなくなり、deep-skyは8cm-BINO、惑星と二重星は長焦点8cmアクロマートという時期がしばらく 続いたのでした。 ということから、敢えて不適切な比較をしますと、BINOには総合的に見て、確かに倍の口径の単体鏡筒を凌ぐ魅力があるように思います。

 それと、野木さんが指摘されたように、BINOは生体である私たちの能力をそのまま増幅してくれることが、その魅力の大きな部分であろうと思います。  巨大望遠鏡による電子化された画像がwebを通して簡単に入手でき、ジャンボジェットで世界中のどこにでも運んでくれる現代ですが、それは古代から私たちが夢に描いた ”空を翔ぶ”というイメージとはほど遠いのでは ないでしょうか。”全身に風を受けて羽ばたいて飛ぶ”、BINOは私たちのそういう夢をかなえてくれます。

 野木さん、ストレートで分かりやすく、すがすがしいリポートをありがとうございました。どうぞこれからもご夫婦で 美しい星空に浸ってください。