
解説(&解答)は、2~3回に分けて段階的に詰めて行きますので、途中で閃いた方は、すぐにお知らせいただけると幸いです。
まず、超前提を誤解していては、全く先に進めません。
以前に、「鏡筒を3cm切ったら、対物レンズの焦点距離も3㎝短くなりますか?」というご質問があったことをご紹介しましたが、繰り出し装置を伸縮させても、対物レンズの焦点位置は微動だにしないこと!理解していましたか? そうでなかった方は、上記の初心者さんの噴飯ものの質問を笑えませんよ! ズボンの裾を3㎝切っても、あなたの脚は、3㎝短くなりませんから! 今回の問題で、まずはそこが一番重要な前提です。 前回、”レンズ系の非破壊検査”の方法について、ご紹介しましたが、今回の問題に数式すら組めなかった方は、非破壊検査の記事も曖昧なままスルーしておられた方です。
対物レンズの焦点位置は動かないこと、まずは、それがこの問題の最初にして重要な前提です。望遠鏡のスペックが分からない、というのも、望遠鏡のスペックはこの問題に全く関与しないということです。
この問題の主役は、”エクステンダーユニット”であり、他は全て脇役なのです。
エクステンダーの虚物点であり、動かない点である、対物レンズの焦点に対して、2倍の拡大率を確認したエクステンダーを10mmだけ対物側に移動させたら、拡大率が3倍になりましたよ! という問題です。
1/s’ – 1/s = D (1/f) に未知数を代入し、A 例と B 例で2つの方程式が組めれば、この問題は解けたも同じです。
ここで、問題になるのは、A 例 だけでも、公式の形のまま、未知数をS, S’ ,D としてしまうと、方程式が2つあっても、未知数が3つになるので、計算に難航し、挫折してしまうでしょう。
問題の条件に、拡大率=2倍、3倍、とあるので、A 例では、S’ = 2S なので、そのまま代入します。3つの未知数が2つに減り、問題解決の道が開けます。
B 例は、S,S’ とも、A 例とは、異なります。それを T,T’ とすると、1/T’ – 1/T = D (1/f) となりますが、A 例と同じ未知数を使用しないと、問題は解けません。問題の条件から、T=S+0.01, で、T’ = 3T =3(S+0.01) として結像公式に代入すれば、A 例と同じ未知数 を使用した、もう一つの方程式が組める訳です。
2つの方程式さえ組めれば、以下の連立一次方程式と大差ない問題になります。
x + y = 5
2x + y= 6