Another Center Mount in the assembly

Note that the center of the dovetail holder is shifted downward by 10mm, which is the secret of the perfect balance through the stroke from horizon to zenith.

 アリミゾの把握センターが10mmほど下にシフトされていることが動画からお分かりでしょうか。 このことが、垂直回転フルストローク(水平から天頂まで)の完全バランスを達成するために決定的な要素なのです。

Making a Binoscope without making !! / FC100-BINO by A-BEGINNER(handle name) BINO初級者(ハンドルネーム)が”作らずに作った”FC100-BINO

松本さん、こんにちは。
BINO初級者です。
Facebook いつも楽しく拝見しています。

● ありがとうございます。

 私も、Facebookで投稿はしているので、何となくは当方の状況などご承知の部分も多少はお有りかと思いますが、改めまして、近況と申しますか、過去松本さんがコメントされた事柄について、勉強になったりあるいは共感し、実践したことについてご報告します。

● 全文、拝読し、興奮冷めやりません。素晴らしいです

それは、松本さんが理想とする「作らずに作るBINO」の実践と、「プレート平置 きからの脱却」です。

● 良いですねえ。

 目標は、切削(加工屋さんへの依頼)、穴あけ、切断などの加工は一切行わず、 Netやホームセンターで購入したパーツを、ただ組上げるだけで完成させること。 話は脱線しますが、“「BINOの光軸調整が難しい」という誤った憶測が流布して いるのは非常に残念なことです。”と、松本さんが嘆かれているように、私も以前は光軸調整は難しい。そう思っていました。NetでEMS-BINOを調べても、正直、私のような無知な初心者には非常に難しく、 手が届かない高尚なイメージしか湧きませんでした。天文知識、光学知識、機械 工学知識などを持ち合わせないと、おいそれと手を出せるような代物ではないと。

● もう初級者の域は卒業していらっしゃいますが、今までの経験上、初心者を 標榜する謙虚な方の方が成長が早い傾向があります。^^

しかし、実際に使ってみると、それは全くの誤解だったことに気づきました。

● 体験者の貴重なお言葉です。 製作者が反復言及しても、なかなか読者に届 きませんし、くどくなると、嫌われます。ユーザーさんの中から、そうしたご指摘があるのを待っていました。

ですので、その誤解を解くための一つの情報として(もちろん、私の情報一つ で、全ての誤解が解けるなどとは思ってはいませんが)、私流の、「誰にでも出 来る、作らずに作るBINO」を参考までに紹介させて頂けたらと思います。
 私流の「作らずに作るBINO」のために準備したものは下記です。

私のBINOは、VIXEN HF経緯台に乗せる仕様となっております。
 BINO用パーツとして選んだのは、真鍮製耳軸を除き、それ以外は全てネット ショップで買えるものです。
 将来的には、スカイエクスプローラーAZ EQ6GT-Jの様なGOTO架台に搭載することもできるよう、剛性が高い(そうな)、MOREBLUE社のバンドとプレートを選びました。
 MOREBLUEのプレートはM6のキャップボルトの頭が座グリの中にかくせるので、とてもすっきりした見た目に仕上げる事ができるのも、選定理由でした。
 鏡筒バンドとアクセサリープレートは、とてもしっかりとした造りに加え加工精 度(平面度、直角度)も高いので、鏡筒を並べた際の水平方向の平行出し調整は不要で、まさに狙い通りの結果でした。

● 鏡筒バンド、見事ですね。 それに比べて、既存の望遠鏡メーカーさんの付属バンド、おしなべて粗末ですね。もっとも、付属の標準的なバンドも使用できないほどではありませんが。

また、プレートにはM5,M6が多数あり、ハンドルの固定などに重宝します。

● 自前加工をしない前提ですと、穴は多いほど良い、ということでしょうか。
  私のように自分で加工する人間としては、無駄な穴は開けないで欲しいと思 うことが多くなります。本命の位置に新規に穴を開ける際に、元の穴が障害にな ることが多いからです。

ただ、プレート同士の締結はネジ×ネジなので、通常のボルトではできません。
 そこで用意したのが「脱落防止ネジ」です。これもネットで容易に入手できます。
 これは、先端部のみネジ山があり首元はネジ山が削除され細くなっています。こ れにより、ネジ×ネジ締結を可能にすると同時に、鏡筒の上下方向のずれの調整 代を確保しました。

● 妙案を引き出されましたね。私なら一方の穴をバカ穴にするところですが。 (加工時間数秒)^^;

やったことは、それだけです。
あとはHF経緯台に乗せ、上下方向のずれをプレートを動かし調整したらBINOの完 成です。

DSC_0610
DSC_0611

本当に、簡単に出来てしまいました。
(FC-100(Classic)とこのホルダーの組み合わせで、D寸法は156mmです)
 欠点(問題点)を挙げればきりがありませんが、小難しい事はさて置き、市販の パーツを組み合わせるだけでBINOを組み立てる目標が達成できました。

● 写真を拝見しましたが、美しいですね。 機能的に無駄がないということです。

 完成したBINOは、松本さんが手掛けるBINOの美しさには遠く及びませんがBINO歴 半年の私としては、良く出来た方だと、自画自賛しています。

● いえいえ、私が作るBINOに優るとも劣りません。

EMS-BINO未経験の方の中には、鏡筒の平行出しが難しいと言う印象をお持ちの方 も多いかと思いますが、素材を正しく選べば、市販品をただ組上げただけのホル ダーでも、調整は僅かなもの。


 ● そこなんですよね。 これは、パーツの精度が低かった大昔のやり方を、 ファインダー脚などでごく最近まで踏襲して来たための誤解があったと思いま す。 馬鹿に余裕のあるリングに長い3方ネジで調整、リング内径よりはるかに 細いファインダーがくぐる、一昔前の方向調整の考え方です。一体(角度で)何 度振れば気が済むのでしょう?^^;
 昨今のちゃんと出来た鏡筒であれば、鏡筒パイプの外見で平行が保たれれば、 光軸はほぼ許容内に納まることが分かっています。

あとは、EMSで最終調整が容易に行えます。

● そうですね。 事前の平行調整努力を最大限やった後で、初めてEMSのXYノブ に触るようにしていただくとありがたいです。その順序を逆に誤解する方がおられるので困ります。

これも、EMSの光軸調整機構と目幅調整ヘリコイドがあればこその話なのです が、こんな素晴らしい正立ミラーシステムなのだから、何らかの情報配信で、少 しでもEMSは難しいものと言う誤解が解ける手助けになれば、と。

● ありがとうございます。 ネットの情報は玉石混交、有用な情報もあります が、無責任でいい加減な情報の方が多いですからね。
 発信者が体験に基づいて発信しているか、憶測と悪意だけで発信しているかを 見極める姿勢が読者に求められますね。
 体験者の声、本当にありがたいものです。

 頼まれてもいないEMS普及に使命感を持っている訳ではないのですが、もし、 EMS-BINOを作ろうか?作れるだろうか?と悩んでいる方が居たら、その背中を押 してあげられればいいなと、そんなことを思いレポートをまとめてみました。

● 最強の援護射撃をいただいた思いです。ありがとうございました。

上級者の方々から見れば、初級者が何を言っているんだ!?的な内容かも知れませ んが、初�級者なら初心者の気持ちも理解できると言う事で、ご理解頂ければ幸 いです。
 今は、遠征用の軽量BINOホルダーを、今回同様に市販のパーツで組み立てる計画 をしています。出来上がったら、また報告します。

● いろんな優れたパーツが入手しやすい、良い時代になりました。
  続報、非常に楽しみです。

Facebookの投稿、いつも楽しみにしています。
(平日に見られるのは、17時以降ですが(^^; )
ハンドルネーム:BINO初級者 より

● 渾身のリポート、ありがとうございました。

● 蛇足になるかも分かりませんが、マツモトから少し説明を付け加えさせていただきます。当作例の特筆すべき点は、市販パーツのみを使用されて、鏡筒の初期平行調整を極限までシンプルにこなされていることです。
 まず、伝統的な方法であれば、前後の鏡筒バンドを台座プレートに平置きして水平方向の平行調整をするところを、鏡筒バンド同士が対面するように台座プレート(2枚)を介して密着させることで、その調整を完全に省いています。
 また、左右鏡筒の上下方向(相対的な2本の鏡筒のねじれ)の調整も、プレート同士の密着面内で微妙にスライドさせる方法を採用されています。繰り返しますと、水平調整なしで、上下(ねじれ)調整だけ、つまり1次元の調整だけで完結されているということです。
 これを従来的な方法でやったらどうなるかを、下図でご説明します。

● 上図のように、雨樋(縦樋)受けのような金具2個をファインダーの前後に配置するのが、古いタイプのファインダー脚でした。ニュートン反射の斜鏡金具の伝統的な調整方法も、これとはネジの使い方が違うものの、非合理な点は共通しています。
 上図から容易に想像できるように、仮にこの平面上だけを考えても、保持物をX軸の方向に動かすためには3本のネジを同時に締めたり、緩めたりしないといけません。動かしたい方向に対して、常に3次元の調整が必要であり、しかも前後のホルダーの順列から、下手をすると9次元の調整になり、非常に効率が悪いことが分かります。

● 実際、海外の方のBINOの自作例で、これに近いホルダーを採用していたのをネット上で見たことがあります。必要調整量の見積もりを誤ると、とてつもない回り道をしてしまいます。
 少々くどくなりましたが、今回いただいたリポートの意義をご理解いただけると幸いです。

EMS-UL in the making / Default Angles

I am showing the default angle connections, but never turn the units with mirrors installed. You should put apart the units and then dodge the mirror edges before connecting at the other angle.

 くれぐれも、この動画を真似て、ミラー収納済みのユニットの連結部を不用意に回転されませんように。ミラーエッジが衝突してエライことになります。左右勝手を変換したい場合は、一旦ユニットを回さずに外してから、ミラーエッジを交わして再組み立てしないといけません。
 ただし、単体用のEMS-UM/ULについては、もともとミラーエッジが紙一重まで接近しているので、右勝手(もとが左勝手の場合)に変換するとミラーエッジが干渉することがあります。(その場合は、干渉するぎりぎりで止める)
 EMSの原理をご説明するためにこの動画をUPしたものです。

Another MEADE-AZM90-BINO by Mr.YN in Tokyo

 御社の「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」とミードの AZM-90 経緯台セットのAZM-90鏡筒で自作の双眼望遠鏡を更に作成しましたので紹介の写真を送付します。
 これで「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」使用の双眼望遠鏡は8台目になりました。

● 毎度、詳細なご報告をありがとうございます。


 前回のAZM-90鏡筒を使用の双眼望遠鏡との違いは、片持ち架台対応を行ったことです。前回重量が結果9.2kgとなったので片持ちでも使用できるのではないかと思い作成してみました。
 その他、2インチ接眼部、鏡筒バンドが前回と異なる種類を用いたことにより変更対応しています。

 今回もAZM-90鏡筒は接眼部が31.7mmなので、2インチ接眼部に交換しましたが前回とは異なる種類で接眼部長さが比較して22mm短い接眼部です。

 AZM-90 鏡筒は同じ品種であり 口径90mm、公称焦点距離600mm、実測焦点距離659mm(対物レンズ後面からの数値)、アクロマートレンズです。エントリーモデルとしてセット販売されています。

● 焦点距離の公称値が誤差の範囲を超えていますね。OEM発注で製作しているはずですが、最終的には販売者の意向なんでしょうね。F値が明るい方が良く売れる、ということでしょうか?
 測定されたのは、いわゆる頂点距離ですね。メガネレンズはその矯正原理から、この頂点距離から頂点屈折力を以って度数を定義しています。厳密には、焦点距離は像側の主点(下図のH2)から焦点までの距離で、一般的なアクロマートだと焦点距離>頂点距離なので、尚更この焦点距離の公称値には?を感じますね。

 焦点距離表示が信頼の置けるアイピースをセットされて、射出瞳径を正確に測定し、倍率から対物の焦点距離を逆算してみてください。



 片持ちフォーク経緯台またはT型経緯台にのせる双眼望遠鏡ユニットとしてはバランスウエイトが付いた状態で8.0kgの重量になりました。重量はありますが比較的扱いやすいです。
 経緯台や「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」は使い回しです。

アクロマートですが、気持ち良く見える感じです。

● 鏡筒の高級志向で、アクロが肩身が狭い昨今ですが、少なくともDeepSkyの眼視観望用機材としては、”アクロ双眼≫アポ単眼” は断言できますね。
口径で比較すると、”10cm双眼≫15cm単鏡筒” でしょうか。

 微動機能のある経緯台なので、多少重量バランスが崩れても、クランプして微動を用いれば運用できてしまう利点があります。片持ちなので軸にモーメント重量がかかり、上下方向はクランプフリーでも摩擦が多く重くなりがちで、これでもバランスが多少崩れても使用できてしまいますが軽快感は無いです。

● 外見はすっきりする片持ち架台ですが、かなり大きなねじりのモーメントが常にかかっていますからね。手前ミソになりますが、中軸架台だと常に左右のモーメントが相殺されます。

 個人的には、完全バランス状態のHF2経緯台や中空架台での軽快な操作性と回転半径のコンパクトさを気に入っていますが、バランスに敏感ではない微動機能による経緯台の使用も好きです。

● 逆に言えば、片持ちフォークだと微動装置が必須のようですね。

 尚、取付方向対応したに運搬用ハンドルを設置していないことによりますが架台に載せる ときは平行に持ち上げて載せられる操作となるHF2経緯台の方式のほうが比較して楽です。

● 両持ちのフォークが力学的には有利ですね。 ただ天頂時のピラー等とBINO本体の干渉回避のためには、フォークを傾けるか、垂直のままうんとフォークを長くしないといけません。HF2経緯台はデフォルトで90度と45度しか選べす、45度だと重心が水平回転軸から大きく離れ、水平回転の精度と滑らかさに懸念が生じ、転倒の危険も増します。私は利用する時は、たいてい、中間の60度くらいで固定できるように小カスタマイズしています。

以下、詳細について追加説明します。

(1) AZM-90 鏡筒は接眼部を2インチ接眼部に交換するとともに双眼望遠鏡用としてバックフォーカスを得るために41mm鏡筒を切断して、199mmのバックフォーカスになりました。品名ラベルはあらかじめ剥がして貼りなおしました。なんとかそれほどダメージ無く剥がせました。
 ドロチューブとぶつかるので鏡筒内4枚の絞りの内の手前1枚を取り除きました。焦点位置が段差の位置にある接眼鏡ではドロチューブの引き出し量35mm程度で無限遠に合焦しました。双眼鏡から転用の18mm接眼鏡ではドロチューブの引き出し量43mm程度で無限遠に合焦しました。尚、ドロチューブのストロークは70mmです。
 AZM-90 鏡筒は 口径90mm、実測焦点距離659mmでしたので計算すると約F7.3となります。尚、公称はF6.7(品名ラベル表示など)です。
 今回使用の2インチ接眼部は以前にAmazonで購入したもので、現在は販売価格が変更されて比較的安い価格設定の販売業者でも1.4倍程度高くなっていました。

(2) 鏡筒間隔D=160mmとして作成しました。
 双眼望遠鏡ユニットの構造としては、これまで7台作成したものとほぼ同じです。経緯台の縦プレートにビクセン互換のアリガタプレートを取り付けて片持ち対応としました。
 縦プレートは両側にあり、アリガタプレートを左右どちらにも取付できるようにしました。特にT型経緯台では中心軸に向かって左右どちらでも運用するものが多いように感じられます。片持ちフォーク経緯台は右側取付が多いように感じています。
 基本寸法はHF2経緯台に使用の時と同じにしてあるので、HF2経緯台で使用したくなったときは、少しの追加加工改造と耳軸部品追加取付で対応可能となっています。

 一応、上下バランス位置は、今回も 2インチ450g程度の例えばマスヤマ32mm接眼鏡を取り付けた時には、鏡筒径の中心から8mmにバランス位置があり、31.7mm100g程度の接眼鏡を取り付けた時には鏡筒径の中心位置にバランス位置との結果なりました。
 アリガタプレート付近に目印をつけ、アリ溝プレートとの接続時にできるだけ近くでクランプできるようにしました。

 架台に取り付けるときの注意としては、鏡筒を垂直にして、アリガタプレートが水平に近くなる方向で操作してクランプするやり方が良いと思います。鏡筒を水平にしてアリガタプレートを垂直にして操作すると自重で下にスライドしてしまいクランプ固定が大変だからです。尚、スライドによる落下防止のストッパネジは付けています。
 アリ溝側も面クランプのアリ溝では締まりが弱い感じがして、傷がつきますがネジクランプも追加しました。

 本来は鏡筒バンドに運搬ハンドルを付けたかったのですが、鏡筒バンドがプラスチック製で軽量は好ましいのですが、取り付けると強度的に不安だったので、運搬用ハンドルはプレート取付にしました。スペースの関係からハンドルは1本です。また、鏡筒プレートへは鏡筒バンド内からのネジ止めになってしまっているため、上下方向の視軸の初期平行調整は、下からできずに鏡筒を一旦外してスペーサ用ワッシャを挟み込む方法構成になり少し面倒になっています。

 取り付けた2インチ接眼部は本来、90mm径鏡筒用のものでは無く、フランジ内径がほぼ90mm径でしたので、内径に取り付けることにしましたが、そのままでは90mm径鏡筒がはまりませんでした。ミリ以下の寸法差のようだったので、鏡筒に金鋸で長さ12mmスリットを6箇所入れ、ペンチで少し外径を小さくして押し込みねじ止めしました。旋盤が使える環境 のある人ならばアダプタを作成するところでしょう。なんとか取り付けられてよかったです。

● 凄い力技ですね。^^; メーカーさんは顧客のニーズをよく考えて商品開発をして欲しいと思います。単焦点が売りの鏡筒で2インチ対応しない製品の存在意義は? もしかしたら、売りたくないためではないか? 正確に言えば、上級マニアが買わないように(つまり同社の上位機種を買うように)、敢えてそうしているように見えます。
 YNさんもそろそれ旋盤等の加工手段を導入される潮時が来たようですね。加工手段の制約は、発想の制約になり、それが固まってしまうと、物作りの技量の成長もそこで止まってしまいます。

 接眼部はクレイフォ-ド式のものであり、EMSと重たい接眼鏡(合計1kg程度)を取り付 けると、自重によるスライドが発生しない耐荷重に余裕が少ないようで、動作フリクション最大にネジ調整して用いています。

(3) EMSの上下方向が調節範囲に入らなかったので鏡筒バンド取付プレートの片側に0.5mm厚のワッシャーを入れて、EMSの調節範囲内としました。
鏡筒バンド取付ネジスパン68mmで0.5mmなので0.4度程度の初期視軸上下方向補正調整になったのでしょうか。

● ここで一言、失礼します。
 YNさんは理解されていると思いますが、EMSのXY調整機構を誤解されている方が多いので警鐘を鳴らさせていただきます。
「BINOの製作段階では、右のEMSのXY調整機構には一切触らないようにお願いします。」EMSのXY調整機構は、BINO製作のための初期調整機構では決してありません。皆さん、真っ先にXYノブを回すので、困ります。BINO製作時の初期調整では、左右の鏡筒の光学的平行をできる限り確保し、基礎構造上、追い込みにどうしても制限がある場合だけ、左のEMSで調整することをお許ししています。どちらにしても、右のEMSのXYノブで初期調整をすることはありません。XYノブは、市販のアイピースを交換した時の誤差をキャンセルするための機構です。

(4) これまでと同様に31.7mm接眼鏡と2インチ接眼鏡交換時の前後バランス調節用の約1kgの調節移動可能のバランスウエイトを取り付けています。
バランスウエイトを取り付けていない双眼望遠鏡も多いように見受けられますが、接眼鏡の交換によるバランス崩れはどのように対処しているのか対処事例を知りたいです。
 やはり1kgはそれなりに重たいし、邪魔なので無しで対処できるならそのほうが良いと思います。
大型双眼鏡だと割り切って、固定倍率で使用接眼鏡を固定使用で満足できる人はそれで良いとも思いますが。

●失礼ながら、1kgのカウンターウェイトとお聞きした時には私も驚きました。
工夫次第で減量できると思いますよ。

(5) ミードの AZM-90 はセールなどのタイミングに会えばB級品などを比較的安価に購入でき、アクロマート(分離型レンズ、全面モノコーティングみたい)ではありますが気持ちよく見え、口径90mmと100mmに迫る口径であり、F7程度の長さで取り扱いも割とコンパクトで、自作を楽しむには良い素材と思います。
エントリーモデルではありますが鏡筒内絞りも4枚あり、31.7mm接眼部を含めそれなりにしっかりした作りの感じで良いです。レンズセルはプラスチック製で鏡筒へは簡単なねじ止め方式です。AZM-90 経緯台セットの付属品のファインダーはビクセン互換アリガタ脚のLEDドットであり、双眼望遠鏡にそのまま転用使用できて便利です。しかし、架台はシーソータイプであり、天頂方向に向かない範囲がある、カメラなど取付て鏡筒重量が重くなると上下の固定できないなど、私には使いづらいもので、エントリーモデルそのものといった感じです。破棄もったいないのでL型プレートを追加して、鏡筒が上下軸を中心にバランスをとれ位置に改造変更するか、写真三脚の代用のように水平方向を中心に使用するのはどうかなど有用化を模索中です。

 ミード AZM-90 を双眼望遠鏡に使用できるようにするには追加で交換する2インチ接眼部の入手と90mm径対応の鏡筒バンドの入手が必要と思います。
接眼部については31.7mm→2インチアダプタの使用も考えられますが、F7.3 程度なのでドロチューブ光路長を含めるとケラレてしまい使用できそうもありません。

 また鏡筒バンドも前後バランスの調整に必要なので、固定で設計は厳しいと思います。アリ溝アダプタを使用する方法もありますが、その分重量増になりますし、AZM-90に取り付いているアリガタは長さ118mmと短いので、もう少し長いもに交換しないと使いづらいと思います。

 参考までに私の場合はミード AZM-90 経緯台セットは、過去のそれぞれのセールのタイミングなどを含めB級品などを1セット約10,000円~約17,000円程度で入手してきました。

 尚、コストパフォーマンスからは以前にも紹介しましたが 重量と大きさに拒否感が無く、アクロマート(F8.3)で許容できる人であれば、ケンコーのSE-120L 鏡筒を使用して、HF2経緯台を使用する双眼望遠鏡の作成がおすすめです。私にとってはやはり重量と大きさが気になり気軽には運用できずに運用が少ない状況です。既設で2インチ接眼部であり、この接眼部は光路長からもそのまま使用でき、鏡筒バンドも付属しているので追加購入の必要もありません。付属接眼鏡の1つのPL25接眼鏡も視野の広さは普通ですがアイレリーフも長く見えもよく使いやすい接眼鏡です。しかし、付属している口径50mmの光学ファインダーは倒立ファインダーであることと、約450gと重たいことから双眼望遠鏡には使用しなほうが扱いやすいと思います。LEDドットファインダーの入手はしたいところです。もったいないのでこの50mmファインダー2個を使用して正立プリズムを用いた90度対空双眼鏡の作成を考えています。
 尚、ケンコーSE-120鏡筒、SE-102鏡筒はF5程度と短焦点なので、既設の接眼部では光路長が長くて双眼望遠鏡用にはほぼ使用できず、光路長が短い接眼部などへの交換が必要になります。

● YNさん、今回も渾身の詳細なリポートをありがとうございました。
 前回いただいたリポートも併せて拝読しまして、素材鏡筒の加工や運用に随分と苦労されたことが分かります。これからBINO作りを目指す方には、もっと楽に利用できる鏡筒を探される際の参考例とされた方が良いかも分かりませんね。
 これは私にも言えることなのですが、YNさんはこれからBINO作りを挑戦される方のために、非常に親切に詳細をご報告いただきました。 しかし、これを読まれた方の中には、「BINO作りってこんなに大変なものなのか?じゃあ、やめておこう!」となる方もいるのでは?という不安も感じます。情報は多いほど良いとも限らず、この辺は難しいところです。其の辺をわきまえてお読みいただいけることを願います。

Comment by Matsumoto; / 管理者のコメント;
 今回は、失礼ながら私のコメント(赤字)を本文に挿入させていただきました。

The Cap is as important as the Body./ Do not lose it! / 蓋も身の内

 数年、時には数十年後に里帰りする望遠鏡やEMSの蓋が健在なことは非常に稀です。一般規格の2インチとかだといくらでも補充は効くのですが、事情で特殊規格にしていた場合、困ることもあります。
 望遠鏡側のキャップについては、比較的一般的な80mmΦのキャップの在庫があったため、難なく対応。

 問題はEMSの方。特にこの仕様は、FS102鏡筒の限られたバックフォーカスを節約するため、第1ミラーのエッジが突出しており、そのまま梱包するのは、どうしても気が引ける。数十年前にこの裸の状態で納品したはずはないと思うのだが、今更詮索しても意味がありません。^^; 梱包出荷の段階で慌て、午前中はずっとこのプロテクターリング兼蓋の製作にかかりきりでした。

この保護キャップ、本体の一部だと思って、なくさないでくだいね。^^

2-inch sleeve set of EMS

 2011年の秋頃より、お客様のご要望から、当方のEMSのアイピース用アダプター(スリーブ)も、真鍮割りバンド方式のクランプを採用しています。

 あれから9年が経とうとしているのですが、ごく最近になって、この方式のクランプの弊害についてのご報告が目立つようになりました。具体的には、クランプすると、アイピースが浮き上がる(傾斜する)、とか、抜けにくいことがある、といったご指摘ですが、いつかは来るだろうと思っていた問題です。
 EMSの接眼アダプター類の真鍮バンドは、その位置、溝の深さ、真鍮リングの幅、厚み等々、他社さんの平均を取ったつもりで、EMSだけが特殊な寸法を採用しているわけではないので、これはEMSの問題ではなく、業界に一般的な問題だとご認識いただけると幸いです。

この問題を根本的に解決するには、背景の経緯を歴史的?にたどってみる必要があると思います。

 真鍮バンド式クランプが普及するより前に、アイピースのバレル(挿入部)に脱落防止?用の溝を彫った物が登場しました。どのメーカーさんが最初だったか、記憶しませんが、次々に各社が追随し、現在では、挿入バレルに溝がない
アイピースは皆無に近い状態になっています。
 その頃からか、あるいは少し遅れて、今度は望遠鏡のスリーブ(接眼アダプター)側の内径にも内溝を彫って、そこに真鍮製の割りバンドを挿入したタイプが特に高級望遠鏡を中心に普及し始め、これまた現在ではほとんどの望遠鏡に採用されています。
 ここで、何が問題になって来るかと言うと、アイピースメーカーさん各社が好き勝手な位置に、好き勝手な幅と深さの溝を彫っているということです。全く統一基準がありません。 さらに、望遠鏡側のバンドクランプもしかりです。

 私の意見を結論から申しますと、アイピースメーカーさんは、直ちにバレルの溝の施工を止めるべきだということです。望遠鏡の接眼アダプターが真鍮バンド式になった時点で、アイピースの溝は邪魔物どころか、危険な要因になっているのです。下手をすると、アイピースが抜けなくなることもあり得ます。
 真鍮バンド式クランプを止める選択肢も考えられますが、仮に従来のネジ止めに戻しても、溝の箇所が不幸な位置に来ると、止めねじで押すことでアイピースが浮き上がることはあり得ます。

 さて、アイピースの脱落防止について、どれだけの根拠があるのかを冷静に考えてみる必要があります。
まず、ニュートン式の望遠鏡であれば、わざわざ仰角が大きく付くような状態に接眼部を向けて使用する方はいません。
 また屈折式(カセグレンも)はどうでしょう? ほとんど天頂ミラーかEMSをセットしているのではないですか?
 つまり、アイピースが重力で落ちるような状態で望遠鏡にセットすることは稀なのです。
 
 さて、不幸にして、お手持ちのアイピースとご使用のバンドクランプの相性が不幸な関係だった場合にどうするか? ですが、まずは、本当にそうなのかをチェックしましょう。
 真鍮バンドが歪んで、ローレットネジを緩めても十分に後退せず、スリーブ内径に一部でも少し飛び出していると、アイピースを抜く時にひっかかります。これは、真鍮バンドを一旦外して真円度を修正して戻せば治ります。
 クランプをするとアイピースが浮き上がるのは、バンド位置とアイピースの溝が不幸な関係にあるので、アイピースのバレルの根本にスペーサーリングを嵌めて溝位置をずらせば解決します。 あるいは、真鍮バンドを撤去して、従来のネジ止め方式に戻しても良いでしょう。
 というように、回避策や対症療法はありますが、やはり、アイピースの溝をなくすのが急務だと私は思っています。

 メーカーの皆さん、あるいはメーカーに影響力のある皆さん、真剣に考えてみませんか?

AAS-2に関するご報告(重要)

標準添付のUSB電源ケーブルが少し抵抗値が高く,モバイルバッテリーの電流供給能力が低いと,電圧が落ちて動作不良の原因になることがありますので,
  WiFi電波が出ない/電波は出てるが動作がおかしい(SkySafariとうまく接続できない/異常に長い時間フリーズする)等の現象がありましたらご連絡ください。
  新たに対策したUSB電源ケーブルをお送りします。

(私も数年以上AAS-2を使用していますが、そうした兆候は全くありませんし、今回初めてそのご指摘により調査したところ、バッテリーの電流供給能力が低い物をご使用の際に稀に発生する症状だと分かりました。問題なくご使用いただいている場合は、初期添付のケーブルで引き続きご使用ください。)