
再三の総”無視”にもめげずに、投稿しています。
今回は数式には踏み込まずに、概念的な話に限定します。
分かる?分からない?ではなく、受け入れるか?受け入れないか?です。
上の図は、薄いレンズによる結像の光路図です。1/s’ – 1/s = 1/f という結像公式が確立しています。
下の図は、複数のレンズで構成されたレンズ系の光路図です。(合成焦点距離は同じとします。)
光学黎明期の人たちは、光学台による実験から、複数レンズ系も、薄い単レンズ系と同じような物と像の結像関係があることにすぐに気付いたはずで、当初はブラックボックスのレンズ系に於いて、外側にある物点と像点は別として、物点距離(s)と像点(s’)距離を決定する基点がどこなのか、戸惑ったに違いありません。
断言はしませんが、当初は帰納的に、「下図のような、1対の倍率=+1の共役面(のちの物側主面と像側主面)がもし存在すれば、薄い単レンズの公式がそのまま使える!」と考えたのではないでしょうか?
それを帰納的に検証するのには、そう時間はかからなかったはずです。
で、実際はどうなのか? ですが、レンズ系が何枚構成であっても、2つの共役な主面が存在することが分かっています。
実際の物体面と実像面が互いに共役面であることにはご異存はないと思います。物と像は交換できます。上の図で言うと、物体面と像面が、倍率=(-1 )倍の共役面となっています。
で、実際の物と像の結像関係とは別系列で、倍率=+1倍の共役面が存在すれば、上の図の光路をレンズの所で2分割して、主点間距離を離しただけですから、元の薄レンズの公式がそのまま使えるわけです。
物側主面が虚物面で、像側主面が虚像面なので、光線は実際にはP,P’,H1,H2,Q,Q’は通りませんが、物側主面上のある点に向かう入射光線は、全て、像側主面上の同じ高さの点から最終レンズ面を抜けて行く、ということです。
(物側、像側主面は、上図のように行儀よくレンズ系の内部に収まっているとは限らず、順番が交差していたり、レンズ系のずっと外にあったりしますが、原理的には同じことです。)