Calculation of the Principal Points / 主点位置の計算方法

 理解しやすくするために、両主点位置をレンズ系の外に作図しました。たとえば、H1が実際にはレンズ系第一面より右側に存在する場合は、t>0 となり、同様にH2がレンズ系最終面よりも左側にあれば、t’ <0 となるだけです。
 また、移行マトリックスは左→右向きの距離を正(+)と定義します。
 まとめますと、レンズ系のシステムマトリックスを
A D
B C 、とし、
 物側主点の位置は、レンズ系の第一面を基点として定義 ( t ) することとし、像側主点は、レンズ系最終面を基点として定義 ( t’ )することとします。
 従って、tが第一面から物側主点までの距離、t’が最終面から像側主点までの距離で、符号は上図と解説に従います。

解説 ↑;
H1 – H2  の 横倍率=+1の 物像マトリックス を計算します。
結果は何と!
1  D
0  1 、
 という、超シンプルな行列になりました。(右上の要素のDは常にレンズ系のパワー)
 両主面は、横倍率=+1の共役面ですから、左上と右下の要素は常に1,物像関係なので、左下の要素は常に0。(計算不要)
最終的に整理する直前の行列と比較し、
A + Dt = 1, C – Dt’ = 1, から、
t = (1-A)/D ,
t’ = (C-1)/D, となるわけです。
 マトリックスの方法が、いかに近軸解析に奏功するか! ご理解いただけましたでしょうか?

補足;
一般に、物像マトリックスは、
1/M   D
0    M 、 (Mは横倍率)
で、物と像が両主面の場合は、M= +1  となる訳です。

 5/25の記事のモデル(システムマトリックス)に、今日ご紹介した公式 ( t = (1-A)/D ; t’ = (C-1)/D )を当てはめてみて、結果に矛盾がないことをご確認ください。
 シンプルな公式を機械的に当てはめるだけですから、分かる?分からない?の話ではありません。まずは、やり方を真似てみて、 ”これは凄い!” とお気付きいただけば、→ 何故だろう?と、次に進むモチベーションになるはずだと確信しています。九九を覚えるのに、一々理屈を考えたでしょうか? まずは、公式を疑わずに、実際に試していただきたいと切に思っています。