First-Light-Report of the FUJINON15cm-EMS-BINO/ フジノンEMSビノ観望記(1)

 天候に恵まれたので短時間ではありますがファーストライトに行ってきました。
 ペルセウス座の二重星団の観望が一番好きなので、それだけじっくり観てきました。
 ファーストライトの主観的印象を3点報告します。  あくまでも改造前の直視観望時の記憶との比較になります。

①想像どおり微光星の数が直視の場合と比べ、はるかに多く見えている印象でした。正に長時間露光による写真のようです。 プリズム(つまり長いガラス中光路と4回反射)を排除して、銀ミラーの2回反射としたことで、これだけ見え味が異なるもなのかと思いました。

②EMSによる90度対空による観望は、当然直視と比べて観望姿勢が楽になりました。  椅子に座ってじっくり対象を見続けられるというこは、今まで見ていなかった部分にも視線が走り、見えなかったものが見えてくる、そんな印象です。情報量が遥かに多い観望となりました。このことだけでもEMS改造をして良かったとつくづく思いました。

③アイピース交換式となり、80度を越える見掛け視界は、まるで‘’別機種‘’で星空を見渡している印象です。 フジノン純正の直視観望の時に「倍率40倍固定だと優秀な対物レンズがもったいないなぁ」と感じていましたが、EMS改造により対物レンズの性能をフル活用している印象です。  以上、短時間の二重星団の一点観望記でした。 この機材で星空探索を再度始めようと思っています。

Comment by Matsumoto / 管理者のコメント;

 ご多忙の合間を縫っての頻度の高いリポートに感謝いたします。  実際の天体でのファーストライトリポート、好結果は予想していたものの、実際にこうしてご報告いただくと、感激ひとしおです。

 古い教科書では、「プリズム双眼鏡はプリズムで発生する諸収差(色収差、球面収差他)を対物、接眼レンズを含めたトータルでキャンセルするように設計されているため、プリズムを撤去、あるいはミラーと交換すると、光学性能が悪化する。」  と書かれていたはずで、専門家になるほど、今回のような改造には批判的であることを承知しています。

 しかし、現実はそう単純ではなく、机上の計算による予測が当たらないことも多いのです。  エレメントの収差を他のエレメントでキャンセルして行くのが光学設計の基本ではありますが、構成エレメントが複雑になるほど別のノイズが集積して、コントラストを低下させる一面もあります。

 何はともあれ、200mm近いガラス中の光路(大型ポロプリズム)を排除し、銀ミラーによる2回反射に置き換えたことで、総合的な性能が向上したことが立証されたわけです。

 

9 th DIY-BINO(50mm) by Mr.YN in Tokyo / 9台目の自作BINO-50mm(東京のYNさん)

「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」とケンコー SW-0 鏡筒の対物レンズ部分で自作

 ケンコーSW-0 鏡筒は 公称口径50mm、公称焦点距離360mm アクロマートレンズです。対物 レンズ4面の内1面のみレンズコーティングされているようです。エントリー用の望遠鏡で す。口径50mmの対物レンズで双眼望遠鏡を作成する多くの場合は鏡筒をそのまま並べても 眼幅内に収まるので、90度正立プリズムを用いて双眼望遠鏡を作成するのがコンパクトで 軽量になり、多く採用されていると思いますが、今回、EMSを用いた方式に興味があり作 成してみました。
 重量はバランスウエイト付きで4.1kgとなりました。HF2経緯台での使用としました。 焦点調節は半固定で接眼鏡の抜き差しで調節する方式としました。合焦ピークで合焦して いることを再確認したい時にはIDPヘリコイドを僅かに回してみて合焦ピーク確認します。 多少面倒ですがこれでもなんとか運用できるので、小型化やシンプル、安価に作成したい 時には良いと思います。
経緯台や「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」は使い回しです。
 アクロマートですが、低倍率では2インチのマスヤマ32mm接眼鏡使用で11.25倍(瞳径4. 4mm)で気持ち良く見える感じです。直視のプリズム双眼鏡とは違った、上空の見やすい 姿勢や見え味が感じられます。 31.7mmサイズの18mm接眼鏡使用時は20倍(瞳径2.5mm)になります。6mm接眼鏡使用時の60 倍程度までが実用と思われます。 接眼鏡の抜き差しクランプでピントを調節するので、スリーブがストレートな接眼鏡でな いと少し扱いづらくなります。
 以下、詳細について追加説明します。
(1) 鏡筒間隔D=160mmとしました。焦点は半固定としてバックフォーカス166mmとしていま す。
(2) パーツとして木材も使用しました。金属使用に比べ軽量になりました。左側の耳軸は 31mm径の黄銅丸棒を用いましたが、右側の耳軸は30mm径の市販の木の丸棒を用いました。 木の丸棒は実際は30mm径より少し太かったようで、クランプできます。しかし、摩擦が大 きいようでハーフクランプは難しいようです。ハーフクランプしたい時は左側の耳軸クラ ンプで行います。
(3) 前後調節のバランスウエイトは約520gで、対物レンズ側が軽いので、前側に取り付け ています。前側に取り付けたので後ろ側に取り付けた場合に比べ手が届きづらくバランス 調節操作性が少し面倒です。
(4) 上下方向軸はマスヤマ32mm接眼鏡使用では鏡筒中心より上に23mm、18mm接眼鏡使用で は鏡筒中心より上に8mmでした。本体重量が軽くなったので、接眼鏡による重量バランス への影響が大きいです。耳軸取付位置は接眼鏡の重たいほうに合わせて23mmとしました。 18mm接眼鏡使用には天頂方向に向けた時にバランスが崩れますが、ハーフクランプにして 摩擦を大きくして運用できる範囲となっています。ただし、ハーフクランプになるのでス ムーズさは少し悪くなります。
(5) 双眼望遠鏡が小型になったのでHF2経緯台で経緯台のアームを90度にしたままでも、 天頂方向に向けられる寸法に収まって取り扱いしやすいです。

Comment by Matsumoto /管理者のコメント;
YNさん、いつもご投稿ありがとうございます。

ENS-UL SET for Taiwan completed !

 通常は数日で出来上がるのですが、たまたま、のっぴきならない問い合わせ等が相次ぎ、2週間もかかってしまいました。 寛大にお待ちくださってありがとうございました。 本日発送いたします。

Follow-up report(3) of the FUJINON-EMS-BINO /続報-3

 確認したいこともあり、画像のとおり近くの空き地でフジノン15cm EMS-BINOを組み立ててみました。

 組立時間は3分かかりませんでした。本体、架台、三脚はそれぞれ少し重量がありますが、時間的には気楽に観望態勢に入ることができることを確認しました。

組み立てたと同時にバランスが取れている状態にしてあるので即観望できます。

 ハンドルで振り回す感覚は快適そのもので、高射砲で狙っているような物騒な感じもあります(笑)

 エレベーター付カーボン三脚CYG54Gの操作も双眼鏡と架台等で約30kgですが、エレベーターハンドルも少し重くはなりますが片手で回転可能でした。(エレベーター耐荷重75kg仕様)
このエレベーター操作で視軸をピタリと合わせることができそうです。

以上、機材組立と操作の感想でした。

 今後、天候とシーイングの抜群な日を待って星空のファーストライトをするつもりです。
直視の場合と比較した観望記をまたお知らせいたします。

Comment by Matsumoto / 管理者のコメント;

 いつもタイムリーなりポートをありがとうございます。
  いよいよ、次は天体でのファーストライトですね。楽しみにしています。

Eye-Focuser on FUJINON15cm-EMS-BINO / アイフォーカサー、FIJINON-EMS-BINOでもベストマッチ!





BINO用アイフォカサーをフジノン15cmEMS-BINOに装着した使用感をお知らせします。

(合焦アイピースについて)

まず、所有しているアイピースの合焦を確認してみました。
常用しているマスヤマ32mm、ナグラータイプ4の22mm、17mm、12mmの4組ですが、ナグラータイプ4の22mmだけあと僅かですが合焦しませんでした。あとの3組は余裕で合焦しました。ナグラータイプ4の22mmだけのためにスリーブカットしてバンドクランプを諦めるのは避けたいと思いました。
というのは、アメリカンサイズのペンタックスXW20mmの使用で合焦し、非常にシャープな映像を見せてくれるので満足しています。
ナグラータイプ4の22mmを使いたいときは通常付属のEMSスリーブで同焦点リングをかませて観望することにしたいと思います。

その他、所有アイピースで合焦したものは下記です。

・モーフィア17.5、12.5
・ペンタックスXL28、40
・ニコンNAV-SW10

(使用感について)

まず最初に感じたことは軽量で頑丈な造りに感心しました。
軽量アイピース用とありましたが、ナグラータイプ4シリーズの重量級アイピースも難なく使用できました。
外付け直進ヘリコイドフォーカサーのガタは皆無です。

そして一番強く感じたことですが、アイピースを覗きながらピントを合わせる作業が目のすぐそばのヘリコイド回転でできるということです。
今までの双眼望遠鏡では鏡筒の合焦を手を伸ばして合わせていましたが、目の近くで行えるということは微調整感覚が一段と増した感覚がするのです。まるで減速装置を使っている感覚と申しましょうか。快適そのものです。

この度、この操作感覚をEMS改造に伴って触れることができたことを幸せに思います。

Mars by the 20cm-BINO,2020,10/6 / 20cm-BINOで最接近の火星を見てみた。

Seeing was awful and the cars running on the front road, rout-53, were always causing the vibrations. Despite of the title, this movie was taken by only the right OTA of the 20cm-BINO, and the impression by watching with both eyes is quite different.

 言い訳がましいですが、20cm-BINOの双眼視のイメージには到底及びません。BINOを使用しても、撮像は常に単眼ですから、双眼、眼視派としては、いつも悔しい思いをします。
 10/6は最接近で、接近中の台風のために以降の天候に期待できないことから、備忘録的に記録しておいたものです。シーイングも悪く、前の国道53号線を走る車の振動に常に悩まされながらの撮影でした。
 WIFIカメラにも問題があるようで、もともと彩度が乏しく、露出を増やす模様が飛んでしまい、暗くすると色があせてしまいます。眼視では、赤い火星がちゃんと見えていたんですけどね。