Customizing the EMS-US set adapting to the smallest IPD,”51mm”!! / 最小目幅51mmへの挑戦!!(EMS-US)

The standard housing of the EMS is 59mm in the outer diameter, and 50.8mm in the inner one.So, it seemed to be almost impossible for the standard housing to adapt to the smallest IPD of 51mm, or at least to be required the large trimming of the housing and the repainting afterward.In spite of the negative estimations, I found a good solution to get the minimum IPD of 51mm without trimming the housing at all. The answer is the eccentric 2-inch cap. Of course I should shift the mirror to some extent to the lower side in advance.That’s “Deceptively Easy” isn’t it?

「瞳孔距離 51mm の家族に双眼視の感動を味あわせたい!」 そんな真剣なご相談を受ければ、一肌脱がないわけには行きません。^^; さらに防塵フィルターも設置されたいとのことで、頭をひねりました。 まず、EMSの標準ハウジングの外径=59mmで、目幅方向対面部のトリミングが最初から施してあるため、 アダプターを少しトリミングすれば、57mm程度までのカスタマイズは簡単です。 ところがそれ以下になると、今度は塗装済みのハウジング自体を削らないといけません。ハウジングの内径は50.8mmあるため、一定の壁厚を残せば、54mmくらいまでが現実的なところです。 それにしても、トリミング部の補修塗装等、頭が痛いものです。

いろいろ考えた結果、良い方法があることに気付きました。 それは、31.7ADの基部の2インチキャップの36.4φ,P=1ネジを偏心させることです。EMSのハウジングは、ミラーのセンタリング移動も出来るので、金物の偏心に即してミラーをシフトすることが可能です。(と言うか、ミラーのシフトでカバーできる範囲の2インチキャップの偏心で51mmが達成できるということです。)

この手の加工はCNCフライスの真骨頂で、今回もヘリカル加工が功を奏したことは言うまでもありません。

以前は、20年以上前に特注した36.4φ,P=1のタップを多用していましたが、それを使うよりもずっと能率的かつ正確です。 このタップ、数年前に見学に見えた(望遠鏡関係の)加工業者さんにお貸ししたきり返って来ませんが^^;、ヘリカル加工を習得してからはタップがなくても困らなくなりました。(停電時やマシンの故障時以外は^^;)

SWAROVSKI ATX95-BINO completed!! / SWAROVSKI ATX95-BINO、完成!!

SWAROVSKI ATX95-BINO is completed. But, one of the objective unit is kept by the client (not here) and this photo actually is the composite one of the left and the right unit.You can see how I have treated the annoying bayonet.

SWAROVSKI ATX95-BINOが完成しました。 ただし、今回当方でお預かりした対物ユニットは一個のみでしたので、左の完成写真は、左右仕様でそれぞれ別々に撮影した写真の合成です。依頼者の方がBINOの上級者になられますと、こうした芸当も出来るようになります。

左のアリミゾは前後軸で、右のアリミゾは左右軸に配置しており、従って左の鏡筒は前後のみに移動出来、右の鏡筒は左右のみに移動できるようになっています。つまり、簡易な目幅調整が非常にシンプルな構造で実現しています。 光軸の初期調整は、左のアリミゾが水平方向の微調整を、右のアリミゾが上下方向の微調整をそれぞれ受け持ちます。 運搬用ハンドルユニット(兼ファインダーベース)は今、アルマイトに出しています。 (多分、アルマイトは今日仕上がると思うので、今日中に発送できると思います。)

今回のBINO作りでの最大の難関、かつ解決への核心は、いまいましい^^;バヨネットをどう扱うか、ということでした。理想的なのは、純正のオスのバヨネットに完璧に適合するメスのバヨネットを作ることですが、これは加工のハードルが高過ぎたことと、それだと構造的に十分にlow-profileに出来そうになかったため、それは早々に回避しました。

そうなると、バヨネットの爪の奥の細い径の所に固定ビスを当てるのが常識的な考えかと思いますが、それだと、対物ユニットにEMSを圧着させることが出来ません。 そこで、私は、一見あり得ない方法に打って出ました。ローレットネジの先端ポリアセタールがバヨネットの爪の裏側ではなく、またバヨネットの爪の真心でもなく、爪の厚みの奥の角線に当たるようにしましたが、目算は適中しました。 こうすることで、バヨネットがテーパフランジと同じ役割を果たすわけです。

さらに、バヨネットの爪を逆手に取り、上の画像の赤い矢印で示したアジャスタブルな突起を配置することにより、EMSの固定アングルに完璧な再現性を持たせることにも成功いたしました。

黄色い矢印は、EMSの接続フランジを固定するものです。 ここを分解することはまずありませんが、アダプターの内部構造が見えるように分解して撮影しました。 実際には、アダプターはEMS側に常にセットして、接続の再現性を持たせます。