C5-BINO on the MiniTower-Pro

201202051143000
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モバビーC5

 この度は、C5ビノを製作して頂き、有難うございました。まだ、冬型の 天候で気流も安定せず、完全な報告とまではいきませんが、とりあえずファースト インプレッションをお送り致します。

 当初C5のシュミカセ専用レデユーサー(以下、専用RD)を主境セルに取り付けていましたが、 専用RD以降のバックフォーカスを長く取りすぎたため、明るい恒星などの周りに光環が 発生しました。そのため、専用RDを取り外し、笠井トレ-デイングのアイピースレデーサーを 取り付けました。松本さんには再加工をお願いする事になり、大変ご迷惑をおかけいたしました。 事前に、星像等については確認したつもりでしたが、明るい恒星等での確認が不足していたようです。
 専用RDを取り外し、笠井RDを取り付けることによって、全体のバックフォーカス は25ミリ程短縮されましたが、それでもRD無で、焦点距離は1560ミリ、笠井RD付きで940ミリ 程度になるようです。

 新しく開発されたピント補償機構とスタビライザー機構は、大変使い易いものとなっています。 このC5ビノは、もともと観望会用をコンセプトとして出発していますので、眼幅が異なる大人や 子供達が同一ピントで観察できるのは、非常にメリットがあるのです。スタビライザーシャフトも、 これが1本あるだけで、左右の2インチチューブの傾き、前後方向、上下方向を決定しますので、 ビノ初心者の私には大変助かります。写真では良く分かりませんが、左右のEMSがベースプレート 上を前後します。この点も重いアイピースを取り付けた際のEMSガードになっています。 更には、左右の鏡筒のズレを許さない一体型めがねフレームなどなど、 随所にこのC5ビノ新機構の凄さを見せ付けられてしまいます。

 さて肝心の星像ですが、笠井RD付きで、パンオプテイック24ミリ(39倍)、ナグラーⅥ・13ミリ (72倍)、ナグラーⅥ・7ミリ(134倍)、ナグラーⅥ・3.5ミリ(268倍)で観望してみました。
 気流が安定しない中での観望でしたが、24ミリ、13ミリでは良く見えました。定番のh-χ、M42、M78 、M35、M36、M37、M38など非常に良く観望できました。7ミリでは、木星、月面、2重星など が好対象になり、これも良く見えます。しかし、3.5ミリでの恒星はかなり厳しい状況でした。 ただ、月面は3.5ミリでも画像は甘くなりますが、双眼視による迫力も出てきます。 尚、24ミリでは、笠井RDを取り付けることによって、視野が少し狭くなります。
 次に、笠井RD無で、笠井EWV32ミリ(48倍)での見え方ですが、視野は格段に広くなり、 それこそ宇宙空間を覗いているような感じになります。ただ、周辺の星像が甘くなる傾向があり、 24ミリを使用するか、32ミリを使用するかは、対象天体によって変える必要があるようです。
 それと、C5はシュミカセではありますが、筒内気流による温度順応についてはさほど気に する必要はないようです。

 このC5ビノは重量が約11キロです。このまま経緯台に取り付けることができ、もちろん移動に際しても このままの状態を保ったまま電車等を利用できます。口径12センチのビノが、この大きさ、この軽さ というのは、いろんな意味において有利に働きます。私には、見た目がカッコ良い点も気に入っています。

 このC5ビノは、GPS機能付きの経緯台に搭載します。この架台は、自動導入・自動追尾が可能で、 北極星が見えない場所でも設定が楽に行え、導入精度も、満足しています。 また、搭載鏡筒もC11程度までは可能のようです。ただ、2軸で追尾するため、高倍率(200倍程度)では、 多少ゆらつきます。しかし、観望に支障をきたす程ではなく、気にはなりません。 尚、電源は100ボルト、12ボルト、乾電池(本体に単38本収納)の選択ができます。 観望会等で使用するに当たって、夕方まだ明るい内に、北極星が見えない場所でも月や惑星等を 基準星として設定でき、自動導入後、大人数で観望しても追尾するという点において大変重宝しています。

天候など回復し、観望の機会が増えましたら、またリポートいたします。

塩塚

Comment by Mtsumoto/ 管理者のコメント;

 このBINOの製作は、近年で最も難産だった物の一つです。 加工自体には問題はなかったのですが、 何度もアイデアを練り直したため、達成感のないまま時間が経ち、お待たせしているストレスに潰されそうな時もありました。 しかし、結果的には思い通りの仕上がりになり、非常に満足しています。

 シュミカセは、主鏡を前に移動させることで、ほぼ無制限にフォーカスを外に出せる利点がありますが、 この例でも示していますように、フォーカスを引き出す程度に応じて、F値が大きくなってしまいます。 通常よりも200mmほど焦点を引き出しますと、F12くらいになってしまう訳です。仮に1/2のレデューサーを鏡筒接眼部に用いますと、一旦400mmほど引き出してから焦点を縮めることになりますので、収差補正的にもさらに 無謀な使い方になるわけです。 その意味では、このようなケースでは、レデューサーはなるべく焦点の 近くで使用する方が有利だと思います。

 最初、私は当タワー型のgoto架台(MiniTower-Pro)のことを知りませんでしたので、その使用に悲観的でしたが、すでに同等負荷を試載して検証済みとのことで、了解いたしました。 実際に、完成後のBINOは、同架台に楽勝で載って問題なく動いているとのこどで、 固定観念で判断していた自分を反省しています。 他社でも同様な経緯台モードに変換できる赤道儀が 開発されており、今後このタイプの架台が普及して行くだろうと予感させられます。

 お仕事の都合で、仕上がったBINOは発送させていただきましたが、納品後にBINO本体と一緒にご訪問 いただき、純正のレデューサーの撤去とEMSと鏡筒間のスペーシングの短縮、その他OPTION加工をやらせていただきました。

 塩塚さん、タイムリーなリポートをありがとうございました。 全く新しいジャンルのBINOですので、 貴重な情報です。 また、一通り観測されましたら、ぜひ追加リポートをよろしくお願いいたします。

(このBINOの製作記は、BINO製作情報速報の、2011年の11月20日、22日、29日、 12月1日、11日、13日、14日、23日、25日、28日 、2012年1月3日、12日、14日、に掲載しています。)