The new central mount almost completed鏡筒を載せてみました

 鏡筒を載せてみました。EMSセットをセットしていないので、この段階ではかなりトップヘビーになります。 最終的には、鏡筒はもっと前に出すことが出来ます。

 鏡筒は両手で水平に抱きかかえて架台のアリミゾに簡単に着脱出来ます。把握強度も十分でした。鏡筒1本でも片手ハンドルで振り回せる重量ではないので、運搬用ハンドルは不要(無い方がシンプル)と判断しました。(鏡筒をお腹にくっつけるように作業すれば、全く問題ありません。)(純正の大きなクランプノブは、ファインダー台座取り付けの邪魔になるので、小さいナットと交換します。完成後はバンドは開閉しません。)



銀ミラー化 150LD-BINO

tm1

tm2

tm3

tm4

tm5

双眼望遠鏡でのSW、楽しませていただいています。

 さて、観測日時も場所や条件も異なりますが、アルミミラーと銀ミラーを使用した、それぞれの 観望の印象を報告させていただきます。

1.従来のミラー(150LD双眼望遠鏡)を使用して

 9月の連休に五ヶ瀬スキー場駐車場で使用しました。
対象は「北アメリカ・ペリカン」と「網状」星雲です。

 使用フィルター  OⅢフィルター
 接眼レンズ    EWV32mm

 空の状態は天の川銀河が明るく見え、かなり暗い空です。 (九州では屈指のポイントのようです)

①「北アメリカ」星雲は写真で見るような形とメキシコ湾 に相当する部分などの濃淡がはっきり分かります。「ペ リカン」星雲はその輪郭が確認できます。

②「網状」星雲は視野ぎりぎりに全体が入ります。西の星 雲は恒星の南北に帯状の星雲が見えます。南側は帯が2 本に分かれたように見えていました。
 東側の星雲はアーチ状で内側に根っこのように出っ張っている様子やアーチが 途中でくびれているような様子が見られました。さらに、 東西の星雲の間に円く広がった淡い星雲やリボン状に長く 伸びた淡い星雲も見られました。(一緒にいた友人が撮影 した網状星雲を参照して確認)

2.銀ミラーに交換して(150LD双眼望遠鏡)

 (1)10月に小石原(東峰村)で使用

 光学系は五ヶ瀬のときと同じです。  空の状態は天の川銀河が微かに見える程度の透明度が良く ない空でした。

「網状」星雲は、東西の星雲をはっきりと確認することが出来 ました。間にある円く広がった星雲は何とか見えました。

 (2)自宅で使用

①対象天体は網状星雲

 光学系は五ヶ瀬の時と同じです。  空の状態は、上弦の月が出ていました。透明度は良い方でし た。東の空は福岡市の光で大変に明るいです。
 こんな空でも「網状」星雲の東側は何とか確認することが出 来ました。(まったく期待していませんでした。)

②対象天体は月(月齢8前後)
 フィルター無し

 接眼レンズ イーソス13mm+ショートバーロー  空の状態はやや霞み勝ちで非常に薄い雲もありました。  空気のゆっくりとした揺れは有りますが、細かな揺れは少  なかった。
 クレーターの内側の複雑な段丘、山の影がよく見えました。 又、「海」の部分の細かな凹凸や谷など飽きることがありませ んでした。  「クラベ6mm」+ショートバーローも使用可能でした。

③ 対象天体は木星

 木星本体の縞の中の濃淡を見ることが出来ました。衛星は点 像に近い状態でした。
3.見えた印象をまとめると

① アルミミラーでも、15cm双眼の口径では相当暗い天体まで 見ることが出来ました。(両眼視の効果は絶大です。)

② フィルターの使用(特にOⅢフィルター)で観望する天 体が広がります。

③ 特筆すべきこと
・月を見ていると、これまで口径を絞る事で色収差を抑 えていたのが、銀ミラーへの変更でフル口径を使って も月面を楽しむ事が出来るようになりました。(色収差が少なくなって見えました。)

・木星の縞模様のコントラストが良くなって見えました。

④ セミ・アポでも月・惑星用に、これまでより高倍率が使える。

⑤ とにかく、理屈抜きに『両眼視』は良く見えます。これ に慣れたら、単眼視は見えにくく、とても疲れます。

 アルミミラーと銀ミラーをサイドバイサイドで見比べた訳で はないので、大変に大まかなレポートになりましたが、今回の銀 ミラー更新で「150LD双眼望遠鏡」がパワーアップしたのは確 かです。今度はベストな空の下で使って見たいです。

 銀ミラー導入への道筋を示して下さった方々、それを実現し て下さった松本さん、有難うございました。 

富山良兼

管理者のコメント;

 富山さんより、150LD-BINOの銀ミラー化の感想をいただきました。 まだ、最高の空の下での観望を待たれる段階だそうですが、中間のご報告として、価値ある 新鮮な情報ですので、掲載をお願いしました。
 ご体験を掛け値なく、真摯に客観的にまとめておられますので、大変参考になるリポートだと思います。

 可視域の各色を最大限に取り込む銀ミラーは、アクロマート等の色収差がある光学系で明るい対象を見た時にはどうなのか、多少心配しておりました が、今回のご報告は意外で嬉しいものでした。

 取り込まれる光の量や質と、私たちの眼の生理や心理的なものが 織り成す効果については、まだまだ未解明な部分があるようで、今後のデータの集積が楽しみです。

 富山さんのタイムリーなご報告に感謝します。ぜひ続報もよろしくお願いいたします。



The new central mount almost completed新型中軸架台、ほぼ完成

 新型の中軸式架台が、アルマイト加工等を残してほぼ完成しました。BINOのイメージがわくように、バンドを取り付けましたが、実際にはバンドが架台に残ることはありません。ハンドは鏡筒に固定し、バンドごと架台に着脱します。



The strategy of loading an encoder in the central alti-axis / 中軸にエンコーダを挿入する方法

This is the strategy of loading in the central alti-axis.

 中軸(垂直回転軸)にエンコーダをセットする方法の種明かしです。65φ以上(一部69φ)で深さ26mm以上のスペースを確保しました。 エンコーダをハウジングのまま収納するには、種類によってはまだ径が十分でないかも分かりませんが、その場合はハウジングからコア部分だけを取り出してセットすることも可能のはずで、また、深さは十分です。エンコーダのシャフトは垂直回転軸の片側に固定し、エンコーダ本体は極薄いブラケットを介して回転軸受けリングの適当な場所に固定します。(垂直回転軸の片方(ソリッドな方)にはまだ追加加工が必要です。)

 前回の150LD-BINOの中軸式架台の写真と見比べていただけば、完成イメージが描けると思います。中軸の穴径を確保するために垂直回転軸は、前回の70mmφから89mmφに拡大しました。



In full swing / フル回転

Though I am doing with the back-orders in full swing, some improvements are being done at the closing stage. Please be patient a little more for the time is being consumed for the best result.I hit on a new idea of the IPD Crayford attaining more rigidity and larger inner diameter, from 50.8mm to 60mm, at the same time.

工期の終盤であっても、より良いアイデアが出た場合には、急遽設計を変更するのが当方のポリシーなので、無意味に納期を引きずっているように見えて、大変心苦しいのですが、よろしくお願いいたします。

架台のエンコーダ対応もその一つですが、IPDクレイフォードについて、剛性アップと内径アップ(50.8mm→60mm)の方法が閃きましたので、そのように変更しています。双望会も明後日に控え、全てをフル回転でこなしております。

IPDクレイフォードの基本メカは、最近開発した方法と同じですが、ガイドレールの保持について、アルミアングルを仲介していたのを止め、ベースパイプの厚肉部に直接固定することとしました。(特にlow-profileの要求が強い場合は、先述のアルミアングルを仲介することもあります。アルミアングルを仲介する方法でも剛性に問題はありませんが、外観の安定感(主にデザイン的なもの)と、内径のアップに意義があります。)

誠に勝手ながら、23~25日は、双望会参加のため、臨時休業いたします。従いまして、この間にいただくメールのご返事は25日の夜以降になりますので、よろしくお願いいたします。



Hit on a great idea on the new mount of TOA130-BINO:中軸エンコーダへの対応

I have been doing with the TOA130-BINO, in spite of appearing a series of news of reforming EMS. I hit on a great idea of setting an encoder in the central alti-axis of the new mount.

 双望会を控えて、EMSのリフォームの記事が多いですが、TOA130-BINO等の製作を休止しているわけではありませんので、ご理解ください。急遽、エンコーダ対応を考慮したための設計変更をしておりました。最後まで難問だった垂直回転軸のエンコーダのセット方法も、ようやく理想的な解が出て、材料を発注しました。

 また、TOA130-BINOの依頼者の方とはしばらく連絡が取れておらず(お忙しいのでしょう)、エンコーダを希望されるかどうか確認していませんが、これは「エンコーダ対応にする」という、この中軸式架台の開発に於ける一般的で重要な意義に基くものです。



Reform of SCHWARZ150S-BINO:SCHWARZ150S-BINOのリフォーム

I regret missing the “before shot” of this binoscope. The second generation (“fourth” was the last version) of the SCHWARZ150S-BINO reformed on three parts, the main Crayford focuser, brass trunnions, and 10mm extension of the bracket.

 山口県のSCHWARZ150S-BINO(第二世代仕様(約6年前?))ユーザーの方が17日に点検調整のために同BINOを持ち込まれました。急遽、数箇所をリフォームさせていただくことになり、佐治アストロパークにお仲間と一緒に宿泊された間、一泊のドック入りをしていただき、一晩で各所のリフォームを施工させていただき、今日お持ち帰りいただきました。

 代表的なものは、クレイフォードフォーカサー、真鍮耳軸、耳軸ブラケットの延長でしたが、操作性が全く別物に変身しました。耳軸ブラケットはスペーサーの挿入で10mm延長しましたが、これで真鍮耳軸の本領を発揮し、フルストロークでの滑らかな操作と完全バランスを達成しました。 クレイフォードフォーカサーについては、ラックピニオン時代のイメージシフトから永遠に開放されると、大変喜んでいただきました。

 この度は予定外のリフォームで、時間がありませんでしたが、次回は銀ミラーへの更新をしていただきましょう。

 写真は全てリフォーム後です。(不覚にも、リフォーム前の懐かしい写真を撮り忘れました。^^;)



FLT132-BINO in the planning:FLT132-BINO 設計中

FLT132 otas have come. They are amazingly beautiful. The slim tube of 141mm in diameter is very suited for the binoscope making.

 実に美しい鏡筒でした。鏡筒径が141mmと細めなのも、BINO作り、特に中軸式架台には極めて好都合です。バンドも最適の形状でした。



新型EMSユニット(TMB: APM130/F6-BINO)」

ultm1

なぜ銀ミラーなのか

 今年の春、TMB/APM-LZOS 130/F6-BINO(リポート1、2) を手にし、素晴らしい 双眼望遠鏡で日々楽しんでおりました。
 しばらくすると、どうやら松本さんが、新型EMSの考想がある事がわかりました。最新の技術を駆使したミラーでEMSを組む とどうなるのか大変興味がありましたので、新型EMSに採用してみては、と話を持ちかけたのがきっかけでした。2~3%の 反射率の改善では、それ程差は出ないのではないか、という意見もありましたが、それでも実際に是非試してみたいとこ ろです。
 そこで、まず私が、データ上、最高の反射率を誇っている某メーカーの誘電体多層膜(dielectric)ミラーを調達し、松本さんは、 ImDIYgoの池田さんから銀ミラーを入手し、いざ、誘電体多層膜ミラー、銀ミラー、 そして従来のアルミ増反射ミラーの比較 対決をする事となりました。誘電体多層膜ミラーは、製作したメーカーによると、銀ミラーより反射率は高い、という話でし た。
 さて結果は? 何と銀ミラーの圧勝でした(報告1、2)。 それも、鏡1枚、普通に反射させて見ただけで、これ程像が 違うのか、と誰が見ても驚く位の差でした。結局、銀ミラーは、青色から赤色まで、全ての波長を均一に高率に反射してい るのが、大きな要因のようです。特に、長波長域での差は10数%以上に及び、なる程、赤外線望遠鏡に採用されている訳で す。どうも反射率98%等と謳っているものは、最も良かった測定値のピークを言っているのであって、各波長の平均値をと れば、随分値は違ってくると思います。検査規格を決めていただきたいところですね。

 さて、銀ミラーは耐久性の問題があり、過去に使われなくなった経緯があります。いくら良くても2~3年で劣化するよう では問題です。温泉に近い所で観望したら、ミラーが真っ黒になってしまったのでは泣くに泣けません。しかし、これ程差 が出るのであれば、消耗品のようにミラーだけ交換しても、と思う位の素晴らしさです。いろいろ調べてみると、マウナケ アの「すばる」の副鏡は銀ミラーを採用しているのがわかり、問い合わせてみると、2年経過した今でも何も問題が起きて いない、との事。また、ImDIYgo の池田さんの調達した銀ミラーは、既に耐久性の問題もクリアしているというではありま せんか。こうなったら、作らない手はありません。池田さんは、その後、過酷な耐久テストを行い、実用に全く問題が無い 事を証明して下さいました。

第1ミラーの大型化

 一見して、ハウジングが大型化しているのがわかります。これは 第1ミラーが大型化し、鏡筒の光束がもれなく接眼部へ 送り込まれるためで、見るからに頼もしいですね。

ハウジング内の迷光対策

 接続バレル内周には遮光シートが貼ってあります。 どんな塗料、表面架工も、これには遠く及びません。明るい像が、 コントラスト、シャープネスを増し、クッキリ、ハッキリ。

比較してみました ~新時代の到来~

 さて、届いた新型 EMS。さっそく交換し見てみました。思わず口に出たのが「えらいこっちゃ」。昼間の地上風景を 散策しましたが、その間、ずっと頭の中は、「えらいこっちゃ、えらいこっちゃ」。何と言っても、像の鮮度が違うのです。 とにかく vivid! 一段と明るく、シャープさが増しています。

 夕闇に包まれてきました。左側に従来型EMS、右側に新型 EMS を取り付け、冷静に比較してみました。いつも光学系の像を チェックしている700m先の高圧線・鉄塔のガイシですが、従来型EMSですと、もう黒いシルエットになっていますが、新型EMSです と、何とガイシに街の明かりが反射して、ガイシの質感が伝わってきます。街灯や、マンションの電球などを見ると、 ガラスの質感が1枚ベールを脱いだようにクリアにシャープに見えています。冷静に比較、等と書きましたが、実はすぐに 頭は興奮状態。いや~、これは一種の革命ですね。

 晴れた日を狙って(これがまた実に少ない)、星空で比較してみました。都会の空ではメジャー天体ばかりになりますが、 M13や、M31では、中心の星の密度が違います。中心の砂状のツブツブ感が増し、周辺の星がより多く見えています。M57で は、輪がよりはっきり見えました。M45や二重星団では、一つ一つの星の点が針を刺すようにくっきりし、見えてくる星の 数が違っています。木星は、帯の模様がより豊富に見えていました。M42は、ガスがより広がり、これからが楽しみです。

 どうやら、銀ミラーは、少なくとも口径一段アップ、高度500m(?)アップの効果があるようです。という事は、ニュート ンの鏡を銀にしたらどうなるのでしょう。今まで見えなかった色が見えてくるかも??

謝辞

 私にとって、この1年間は10年以上、と思える位、濃密で激動の1年でした。このような素晴らしい銀ミラーを見つけて下 さった池田さん、そして新型EMSユニットとして形にして下さった松本さんのお陰で、素晴らしい世界に浸っております。 どうもありがとうございました。

管理者のコメント;

 YK様より、銀ミラー仕様のEMSの、記念すべき最初のリポートをいただきました。
 いろんな意味で感慨無量です。

 銀ミラーを採用する上で、技術的なこと以前の問題に、まずは非常に悩みました。 極めて短期間で銀ミラーの実現性が濃厚になったため、最近お作りした方との公平性をどう保つか?、また、アルミ蒸着 仕様をそのまま残して、プレミアム仕様として銀ミラーを採用し、2本立ての価格体系を作るか? 等々で、最初は厭になるほど悩み抜いたわけですが、銀ミラーサンプルをテストしている内に、次第に自分の 腹が決まりました。サンプルを検証している内に、アルミ蒸着仕様の継続は もはやあり得ない、と思えるほどの衝撃を銀ミラーがもたらしたからです。 すでに当サイトで発表しておりますように、銀ミラーへの一本化という結論に至った次第です。

 銀ミラー(に限らず)の効果を客観的にお示しするには、どうしても数値データをお示しすることになるのですが、 その効果は、数値データだけでは表現しにくいことが分かって来ました。 たとえば、先日”BINO製作情報速報”に 掲載させていただいた私の友人のコメントの、『0.3等級くらい極限等級が上がった』というのがありますが、 これは単純に取り込まれる総光量から計算しますと、理論的にはあり得ない数字だと思われるでしょう。しかし、この 友人は、30年来の変光星観測家であり、無責任な感情的表現をする方ではありません。 この辺も、いずれは理論的に 解明されるかと思いますが、現時点での私の推測は以下の通りです。※

 ※私たちの眼の視感度のピークは低照度になるほど短波長側にシフトします。(プルキンエ現象) これは客観的な事実ですが、これをどう解釈するかで判断が分かれます。 この一つの解釈に、「ただでさえ眼の感度が低い赤い方の光はプルキンエ現象下では無視して良い。」という のがあると思いますが、どうやら全く逆のようで、低照度下で眼の感度が下がる長波長域こそ、より強い刺激を眼に投入 する必要があるようです。また、この領域の少しの光量の差が低輝度の対象の認識の臨界を分けるというのが、どうやら実際に 近いように思います。1~2割の差であっても、臨界点付近の差はその効果に0と1を分けるわけで、見える、見えないの 決定的な違いとなって表れます。

 銀ミラーサンプルを音楽に詳しい方に見せた時、その方が、「携帯用のオーディオ機器は、一般的に言われている 人間の可聴域限界付近の両端で、高音部と低音部を切り捨てているが、その聞けないはずの領域を全て残したものと、切り捨てたものを 聞き比べれば、不思議にその差が分かる。」という意味のことを言って、赤外域まで高反射率が続く銀ミラーの 効果に納得しておられました。 ほぼ1膜が1波長ごとに切り取って行く誘電体多層膜では、条件設定した可視域ぎりぎりの 両端で急にストンと逆鍋底状に光を反射せずに透過してしまうのが、銀の反射率傾向と極端な対照をなしています。 (さらに誘電体多層膜では、入射角に鋭敏に依存してその反射率が落ち込む断崖の位置が大きくシフトするという 危険性も孕んでいます。)

 それと、反射率の向上でアップする光量を(否定的な意図で)口径換算で比較するのはナンセンスです。 構成光学素子の透過率のアップについては、単位射出瞳面積当たりの明るさがアップしますので、射出瞳径を 大きくしてしまう口径アップでは決して補填できるものではありません。たとえば、「反射率(透過率)8% アップは口径100㎜が104㎜になっただけの光量の差だからほとんど認識できない。」というのは大間違いなのです。 「√2倍の口径の単体鏡筒+双眼装置が本来のBINOと同じ明るさ」、というのも同じ間違いで、双眼装置は どんなに大口径に使用しようが、単位射出瞳面積当たりの光量は常に1/2以下なのです。

 説明が長くなりましたが、この度の銀ミラーの採用には、池田さんとYKさんの大きなお働きが不可欠 でした。 簡単ではございますが、ここで改めて深く御礼申し上げます。



Azimuth axis of the TOA130-BINO:水平回転部(TOA130-BINO)

left photo: (from left) top table of the pillar mount, azimuth shaft, rotation drum:

 左の写真:(左から)ピラー脚の天盤、水平回転軸、水平回転ドラム:

 写真では見づらいのですが、水平回転軸の根元にはテーパ加工がしてあり、ドラム側から、先端プラスチックチップのセットビスでテーパ部を押す機構になります。(理由は分かりますね。) 滑らか、かつ高い剛性が両立することはすでに前回の架台で実証済みです。(水平回転軸中心のネジ穴は、エンコーダ対応用(今回より))

 水平回転ドラムを天盤(これから作製)でふさぎ、そこにアームと垂直回転軸を設置します。垂直回転軸は、すでに材料を確保していますが、試験用のエンコーダの入荷を待って、設計を変更(軸径を大きくする)するかどうかを判断します。(最初の設計時点では、エンコーダに対応する予定がなかった。)



EMS-ULS reformed from EMS-LS:EMS-LSからEMS-ULSへのリフォーム

Anothrer reform of EMS-LS into EMS-ULS (silver coated mirrors) with IPD Crayford completed.

 EMS-LSセットの銀ミラー化(→EMS-ULS)が完了しました。まだ正式なユーザーリポートは頂戴していませんが、銀ミラー化の成果についてのご報告が大分集まって来ました。 その中から、地元の友人 (EMSの初期型から全てのEMSを所有『自他共に認める、歴代EMSの記念博物館^^;』) のコメントをそのまま引用しますと;「旧アルミ蒸着仕様でかろうじてそらし目で確認できる微光星が、銀ミラーでは直視で確認できる。感覚的には0.3等級くらい極限等級が上がった印象。星の色が違う、二重星が美しい・・・・。」ということでした。他の方々も同様のことを異口同音におっしゃいます。



Framework of the TOA130-BINO:TOA130-BINOの骨格(TOA130-BINO)

The most importan and difficult phase has been cleared.

 製作中のTOA130-BINO本体の骨組みをお見せします。 難関突破と言ったところで、私のイメージの中では、BINOが完成したも同然です。このバンドの固定方法はBINO作りに於いて一般的に示唆するものがあまりに大きく、少々興奮しています。前後のバンドにハンドルを渡し、バンドは開閉することなくアリガタで架台に着脱することになります。後の基本構造は、前回の150LD-BINOと同じです。



Successful band machining:鏡筒バンド加工成功!(TOA130-BINO)

 純正パーツの加工は失敗すると取り返しが付かないので、特に慎重になります。発案設計後にも敢えて冷却期間^^;を置いてから加工しました。バンドベースの幅が広い特徴を活かし、強力な把握力が達成できました。

(笑えるほど無骨なバンドのクランプノブは、当然ながら使用しません。このままではファインダー台座が取り付きません。)



Dove tail holders for the TOA130-BINO:新型中軸架台のアリミゾ(TOA130-BINO)

You would not admit it to be a dove-tail holder of a telescope, would you?The minimum space between OTAs requires us to make the dove-tail holder in innovative way.

中軸式の架台の基本構造は、前回の150LD-BINO用ですでにほぼ完成していますが、今回はバンドの開閉での鏡筒の着脱ではなく、アリガタによる着脱なので、架台側のアリミゾを工夫しないといけません。

 伝統的なアリガタ、アリミゾの形状ですと、鏡筒間隔が間延びしてしまい、BINOとしての光学的な骨組みに支障をきたします。 アリガタ、アリミゾと聞かれれば、ペッタリとソリッドに板状のパーツを想像されると思いますが、それだと、(バンドベース+アリガタの厚み)X2 と、ほとんど絶望的に鏡筒が離れてしまうわけです。

 そこで考えたのが写真の構造です。前回の失敗を活かし、ノブ同士の干渉(あるいは自由スペース不足)や、クランプの力不足等を配慮し、万全の対策をしました。 アリガタは、真横からクランプネジを締めても、その分力がアリガタをアリミゾに押さえつけてくれる便利なパーツなのですが、事情が許す限り、アリガタの斜面に垂直に力を加えた方が強力であるのは当然なので、アリミゾのクランプネジを、アリガタの斜面に垂直に立てました。それにより、クランプネジ操作時に、隣のクランプノブと手が干渉するのを回避できました。(一石二鳥)

 アリガタは鏡筒バンドにブリッジを渡す板状の物ではなく、前後のバンドのベース部をアリガタ化します。その間には何も橋渡ししないので、その空間に上下回転軸が納まることが出来ます。

 その他、エンコーダのセット方法について、目下検討中です。中軸架台の標準を目指していますので、今回のTOA130-BINOだけの問題ではなく、この後の同形式の架台全般の問題なので、ふんばらないといけません。

 時間がかかっておりますが、大型ハウジング→銀蒸着→中軸架台と、BINO作りを始めて20年を経過して、やっと全ての懸案がクリヤーできつつある段階ですので、なにとぞご理解くださいますよう、お願いいたします。



A pillar mount for the TOA130-BINO in the making:TOA130-BINO用のピラー脚

A pillar mount on which the TOA130-BINO will be mounted. I put three casters at the feet so that I can move the total system easily.

 着手しているTOA130-BINO用のピラー脚です。 製作組み立て中に店舗内を楽に移動できる必要性から、キャスターを付けました。 キャスターはM12ネジ込みで、タカハシの該当部はほぼ同じ太さのインチネジ規格のようで、ネジピッチが微妙に合わず、奥まではネジ込めませんでしたが、実用上は問題ありません。

 

 中軸架台の新型の設計はほぼ煮詰まりました。今度のアリミゾはうまく行くはずです。

 月が変わり、非常に焦っています。23~25日の双望会に参加しますので、しばらくは納期について安請け合いをしないようにしないといけません。^^; とにかく、常に最善を尽くしておりますので、よろしくお願いいたします。