「スノー」さんの ホームズ彗星観測記 (2007年11月6日)

 10月下旬になり、彗星急増光の情報が飛び込んできました。そうですホームズ彗星です。自宅では、台風一過の日の 夜半過ぎに初めて確認できました。15cmBINOで見ると、2重の丸い光芒に包まれた見たことのない光景が広がって いました。双眼による立体感も手伝って、何かの原生生物を見ているような姿でした。

 その後、晴れれば、自宅にて毎夜観望を継続しておりましたが、少しずつ大きく薄くなっていく彗星の姿に、早く遠征観望したい と言う気持ちが強くなって行きました。そして、昨晩、やっと月の影響を逃れられる週末と言うことで、奥日光まで、BINO を連れて遠征に行きました。体調が不良のため、現地滞在時間は2時間未満でしたが、彗星を堪能するには十分でした。

 BINOを設置して、早速、EWV32mmを装着して彗星を覗くと・・・驚きました。明るく丸い広がりの外に更に薄く、 寒色系の大きな広がりが見られます。自宅では、明るい中心部を濃淡のある2重の光芒が包んでいるように見えましたが、実際は 第3の光芒と言うか薄いガスのような広がりがあります。濃い光芒が白色から薄い黄色イメージに対して、 外郭の薄い光芒は淡い 青緑の色が印象的です。

 更に倍率を上げてナグラー16mmを装着すると、薄い光芒が視野一杯に広がりますので、1.5度程度の広がりはありそうです。 自宅では、BINOや20cm反射等で観望してきましたが、このような広がりは確認できませんでした。ちなみに、奥日光でも 小型の双眼鏡では確認できませんでした。実際、この外の広がりは相当薄く、BINOの片側だけで見ると(単眼では)、見落とし そうな淡さです。また、16mm装着時は更に淡くなり、色は感じなくなりました。

 さて、濃い光芒の部分は、もっと倍率を上げられそうですので、ミードUW8.8mm、4.7mmと使用し、倍率を約85~16 0倍まで使って観察して見ました。核周辺の光芒で、核の後ろの濃淡や、第2の光芒の上部の噴出す雰囲気が微かに認められます。 この詳細な感じは、数日前に大口径ドブで見せて頂いた光景と良く似ています。恐らく、一度明瞭に観察させて頂いたおかげで、 昨晩は微かに見えたのだと思います。もちろん、暗く透明度の高い空に恵まれ、BINOの高コントラストに助けられたことは間 違いないでしょう。そして全体的な球状の姿は、双眼による立体感で、まるで彗星帝国が地球に向かってくるような光景です (歳がバレル・・・)。

 昨晩は、短時間でしたので、ホームズ彗星を中心に、合間にメジャーな星雲星団を流す形の観望となりました。この時期は、 透明度の高い空の下で、網状等の夏の対象から、オリオン大星雲と言った冬の天体まで楽しめます。特に空が澄んでいるだけに、 BINOによる天の川流しには最高のシーズンです。そこに、これまでの彗星と様相が異なるホームズ彗星が輝いています。日々、 その姿も変化している上に、暗い空で初めて見えてくるものがあります。これからも可能な限り暗い空にBINOを持ち出し、 ホームズ彗星観望を継続したいですね。もちろん、明るい自宅でも。。。(スノー)

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;
 久しぶりにスノーさんより観測リポートをいただきました。 初期の12cmF5-BINO以来、ずっとmotivationを失われる ことなくEMS-BINOを活用してくださって、大変嬉しく思います。 私の方はまだ同彗星を見ていませんが、BINOの納期を 待ってくださっている方々のことを思いますと、それどころではございません。^^;