12cmF5-BINO on the smaller Center Mount / 軽量中軸架台仕様&目幅スライド

12cm F5 BINO  レポート    愛知県 てる

 まず初めにこの度はこの素晴らしい双眼望遠鏡の製作をして頂いた事に深く感謝いたします。

又受け取りの際にはせっかく鳥取まで行くとの事で、小旅行を兼ねて夫婦でお邪魔させて頂き、申し訳ありませんでした。

以前より双眼鏡ファンであった私は、雑誌等で松本様のEMSを使った双眼望遠鏡が非常に気になっていて「一度覗いてみたい」と思っていたところ、「双望会」の存在を知り参加する事にしました。

初双望会で事もあろうに初めて覗いたEMS双眼望遠鏡が「TOA130+ナグラータイプ4 22mm」という素晴らしい組み合わせで、覗いた瞬間 「凄いクリアーな視界! 星々の色がめちゃくちゃ美しい」今までに経験したことが無い美しい視界に目から鱗が落ちる思いでした。

これ以後、言うまでもなく恐ろしい病にかかってしまい、寝ても覚めても「EMS双眼望遠鏡がほしい・・・」とかなりの重傷ぶりでした(笑)。

今回のオーダーに当たって使用する鏡筒は迷いなく決めていました。 観望の対象は「彗星」と決まっていましたので、倍率は低めで広視界が前提となるので、F5のアクロマートで十分と考え決めました。(彗星が無いときは星雲・星団にも使いますよ~)

もちろん予算の関係もありますが、高倍率で見るのは主に「惑星」となる為、こちらの方はアポクロマート屈折+双眼装置に任せるので問題なしです。

口径については所有の双眼鏡が「フジノン40×150ED」と「ミヤウチ20×100」が有りましたので、大きく重いフジノンは稼働率が低く又、10cm以下はプリズム双眼鏡に任せるという判断で 12cm と決めました。もちろん7~8cmも気にはなりましたが、こちらは今後の楽しみという事にしておきます。又、架台の方は出来るだけ稼働率を上げる為少しでもコンパクトにしたかったので小型中軸式架台としました。

出来上がりの主な仕様は

・軽量中軸架台

・左右鏡筒一体搭載方式

・右側鏡筒スライド式目幅調整

・EMSはULS

・3インチフォーカサー

・架台延長筒+ハンドルユニット(兼カウンターウエイト)+ドットファインダー、といった感じで、オリジナルのケンコー120SEはあまりカッコ良いとは言えませんが、出来上がりはなかなか精悍になっていて ほっとしました。

まず初めに実際に使ってみての感想・気が付いた事(主に操作性)を箇条書きにしてみました。

①高度軸径が小さいのでクランプの効きが弱く、鏡筒の前後バランスをしっかりとっておく必要がある。

②右側の鏡筒が目幅調整の為スライドするので、こちら側の鏡筒ハンドルを持って向きを変えると視線方向がわずかにズレ、その都度ミラーの微調整が必要。

③予想より結構重く、一体搭載としては私にとって限界的な重量か。

12cm F5 BINO 12kg

フジノン40×150ED 18.5kg+27kg+8.3kg=53.8kg

ミヤウチ20×100 5.7kg  (本体)

参考ニコン20×120 16kg(本体

④ガタ無くスムーズに動く架台は気持ちがいい!

⑤当たり前ですが90度対空は疲れ知らずに長く観察出来る。(フジノンの直視での天頂付近は地獄です)

⑥優秀な現代の2インチアイピースが使えるメリットは計り知れない!

以上揚げましたが、①は初めから予想出来た事であり、②はフロント側にもクランプを追加する事で解決しました。 又③は使用頻度を高くする為の許容重量という点での感想であり、私個人が鍛えれば良いだけ?  の話で、いずれも「欠点」とは考えなくて、「特性」と捉えています。

つぎは気になる光学面、つまり見え方ですが、私はこのBINOに「どこまでフジノンに迫れるか」を期待していましたので、倍率と視界がなるべく同じにして観察してみたいと思っていますが、なかなか天気にも恵まれないまま日にちだけが経過してしまいましたので取り敢えずは第一報とさせて頂きます。

次の機会は下記の対決❓を報告させて頂きます。

フジノン 40×150ED   実視界:1.7度 見掛け視界:68度

12cm F5  EMS BINO 実視界:1.8度 見掛け視界:68度   (使用アイピース:SE社 16mm)

Comment by Matsumoto;

てるさん、12cmF5-BINO(特別仕様)のリポートをありがとうございました。

ご希望に従って、この口径クラスでは微妙に判断が分かれる、一体構造BINOでかつ鏡筒スライド式、かつ軽量中軸架台仕様という、何重にも冒険的な仕様に挑戦してみました。 何とか仕上がった、という意味では成功でしたが、工作の手間と見返りを考えると、微妙な結果となり、少なくとも定番として継続仕様とするに至っていません。 難点も多く残してしまいましたが、上手に使いこなしてくださっているようで、嬉しく思います。 また続報を楽しみにしています。^^

当BINOの製作記は、製作情報速報の2015年12/5~2015年12/30頃まで掲載しております。