腕時計の電池交換について

 当方、現在はメガネ専門店なのですが、父の代に時計も並行して扱っていたなごりで、今でも腕時計の電池交換は、責任上続けています。
 ただ、電池交換に関する、お客様との意識の齟齬に当惑することも少なくなく、以下のような説明文を用意しています。
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腕時計の電池交換について

電池交換は交換後の時計の(機能)余命を保証するものではございません。

当方では、お持込になった時計の古い電池の電圧を測定し、電圧があまり下がっていない場合は、時計自体の不調の可能性が高いと判断し、電池交換をお断りしておりますが、古い電池が放電していた場合は、一応時計は正常と予想して新しい電池と交換し、さらに針が始動することを確認してお渡ししています。

ただし、(工場出荷後)数年以上未清掃(分解掃除)、未注油でご使用の時計は、いつ停止しても不思議はありません。(数日後あるいは当日でも停止することもあり得ます。予測もできません。)

発信装置が電子化される以前(50年以上前)は、腕時計は貴重品であり、精密機械として、定期的なメンテ(理想的には毎年の分解掃除)が必要なことが広く一般に認知されていました。 ところが、腕時計が電池で駆動するようになり、平均単価も急激に下がった結果、精密機械という認識が忘れられ、懐中電灯のように電池交換だけで継続使用されるのが一般的になって来ました。 それは、腕時計の単価と修理技術者の工賃のアンバランスが生じ、修理代で新品が買えてしまうという、やむを得ない事情もございます。

 ただ、2回も3回も電池交換のみで使用している腕時計は、工場出荷時から少なくとも4~6年は経過しており、いつ停止してもおかしくないことは、ご認識いただく必要がございます。 電池で強引に動かしている状態なのです。(発信部が電子化されても、アナログウォッチは精密機械には違いありません。腕時計は、ミクロのゴミでも簡単に停止してしまう、極めてデリケートなメカなのです。)

                       メガネのマツモト
                          松本龍郎